企業研究

マッキンゼーのフェルミ推定の解き方|公式練習ケースの計算設問から自動車保有台数の検算まで

マッキンゼー・アンド・カンパニー(マッキンゼー)の選考を控え、フェルミ推定のような数値の問題がどこで出るのか分からず、何から対策すればいいのかと悩む方は少なくありません。

マッキンゼーの数値の計算は、単独の試験ではなく、経験を聞く面接に続く問題解決面接(ケース面接)の中で問われます。公式の練習ケースで計算設問の形をつかみ、自分で仮定を置く例題を解いて公表統計と比べる練習から始めましょう。

こちらでは、マッキンゼーの選考で数値の計算が問われる場面から、公式練習ケースの計算設問、乗用車の保有台数の例題と公表統計での検算まで解説します。

戦コン出身者/元面接官による
模擬ケース面接指導体験会(無料)
  • 本番形式で模擬ケース面接を実施
  • 現状のレベル・改善点をフィードバック
  • 内定への戦略がわかる

※少数精鋭での運営のため、枠が埋まり次第締め切ります。

マッキンゼーの選考では数値の計算が問題解決面接の中で問われる

フェルミ推定の対策を始める方は、まずマッキンゼーの面接の種類と、各面接で見られる力を確認しましょう。ケースを解く練習と計算だけの練習のどちらに時間を使うかは、そのうえで決められます。

多くのクライアント対応職の選考には経験を聞く面接と問題解決面接がある

マッキンゼーのクライアント対応職に応募すると、多くの場合、自分の経験を話す面接と、ビジネスケースを解く面接の両方を受けることになります。英語の面接案内では、多くのクライアント対応職でpersonal experience interview(PEI)の後にproblem-solving interviewが続くとされています。職種によってはexpertise interview(専門性を確かめる面接)も加わるため、自分の職種の面接の構成は、応募時に採用担当者の案内で確かめましょう。

problem-solving interview(問題解決面接)は、ケース面接と呼ばれることもあります。この面接では、面接官からビジネスケースが示され、分析的な考え方と複雑な問題への取り組み方が評価されます。数値問題の対策も、この問題解決面接に向けた準備の一部として進めましょう。

出典:McKinsey & Company「Interviewing at McKinsey」

フェルミ推定という名前の単独の試験は公式の面接案内に見当たらない

マッキンゼーの英語の面接案内には、PEIと問題解決面接、職種による専門性の面接が挙げられています。この面接案内に、フェルミ推定という名前の単独の試験の記載はありません。

数値の計算は、ケースの流れの中で設問の一つとして出てくると考えられます。そのため、単独の計算テストを探して解き込むより、ケースを解きながら数字を使う練習に時間を充てましょう。この練習なら、本番と同じように、ケースの条件を読み取ってから計算する流れに慣れておけます。

出典:McKinsey & Company「Interviewing at McKinsey」

問題解決面接では事実やデータの意味を読み取る力が見られる

数値問題で示す力は、マッキンゼーが面接で見ている観点のうち、Problem Solvingの項目に当たると考えてよいでしょう。日本オフィスの面接準備ページでは、面接で主に見る観点としてConnection、Drive、Leadership、Growth、Problem Solvingが挙げられています。Problem Solvingの項目では、架空のクライアントのケースを通して、曖昧な課題の構造化、重要な課題の発見、事実やデータの意味の理解、結論の提示、自分の考えの明確化が求められます。

Problem Solvingの観点に沿って答えるには、計算で出した数字が何を意味するかまで言葉にすることが必要です。ケースの途中で面接官から新しい情報やデータが示されることもあるため、そのときは最初に置いた仮定を直して計算し直す必要があります。練習では、答えの数字を出したら、その数字が大きいのか小さいのかを何と比べて判断したかまで、声に出して説明してください。

出典:マッキンゼー・アンド・カンパニー「面接準備」

公式の練習ケースでは計算の設問が事業の判断の途中に置かれている

計算の設問に備えるなら、マッキンゼーが公開している練習ケースで実際の設問を解いてみるのが近道です。計算の設問を含むケースと、その解き方を確認しましょう。

公式サイトには推奨解答付きの練習ケースが公開されている

マッキンゼーの数値問題の形は、公式サイトで公開されている練習ケースで確かめられます。掲載されているケースは、Beautify、Diconsa、Electro-Light、Talbot Trucksの4つです。日本語の面接準備ページにも、ディコンサとElectro-Lightの2つが例題として載っています。

これらの練習ケースは実際の選考で出題された問題ではなく、準備のための教材です。数値問題を練習するなら、計算の設問を含むTalbot TrucksとElectro-Lightの2つから取り組みましょう。

出典:McKinsey & Company「Interviewing at McKinsey」、マッキンゼー・アンド・カンパニー「面接準備」

電動トラックのケースは総保有コストが等しくなる上限価格を逆算させる

Talbot Trucksは、電動トラック(eTruck)の上限価格を、総保有コスト(TCO)から逆算させる練習ケースです。設問2では、ディーゼルトラックの価格が10万ユーロ(€100,000)で、耐用期間の終わりに残存価値がないという条件が示されます。続く設問3では、eTruckの総保有コストがディーゼルトラックと同じでないと顧客に魅力的と見なされない、という前提が置かれます。問いは「総保有コストがディーゼルトラックと等しくなるには、eTruckの価格をいくらまで付けられるか」です。

総保有コストは、車両の価格に、使っている間にかかる費用などを足した、持ち主が負担する費用の合計を指します。比較に使うデータは練習ケースのページに表で示されているので、ページを開いて自分で上限価格を計算してみましょう。

出典:McKinsey & Company「Talbot Trucks」

スポーツドリンクのケースは損益分岐に必要な市場シェアを求めさせる

Electro-Lightは、SuperSodaが発売を考える電解質のスポーツドリンクを題材にした練習ケースです。設問2では、目標価格と初期の固定費から、損益分岐に届くには電解質飲料の市場シェアがどれだけ必要かが問われます。設問に示される条件は、次のとおりです。

  • 容器は16オンス(1/8ガロン)で、小売店向けの価格は1本2ドル
  • 発売に必要な固定費はマーケティング費用などを含めて総額4,000万ドル
  • 1本あたりの製造・配送コストの見積もりは1.90ドル

まず、価格とコストの条件から1本あたりの利益を出すと、2ドルから1.90ドルを引いた0.10ドルになります。固定費の4,000万ドルを0.10ドルで割ると、損益分岐に必要な販売量は4億本で、1本を1/8ガロンとして換算すると5,000万ガロンです。この5,000万ガロンを市場規模で割れば、損益分岐に必要なシェアが分かります。市場規模は練習ケースの図で示されるため、シェアの答えは自分で計算して推奨解答と比べてください。

計算の後の設問3では、電解質飲料市場で目標の12.5%のシェアを得るために、SuperSodaが何をする必要があるかが問われます。

出典:McKinsey & Company「Electro-Light」

計算は電卓を使わず紙に書き出して面接官に話しながら進める

マッキンゼーの面接では、計算の設問が出ても電卓は使用できません。Talbot TrucksとElectro-Lightの計算の設問に付いたヒントでは、面接中は計算を紙に書き出すとよいとされています。同じヒントは、計算を急がず時間をかけ、手順を面接官に話しながら進めることも勧めています。話す量が多いほど面接官も助けやすくなるためです。

桁の多い割り算は、万や億の単位をそろえてから計算すると、途中で桁を取り違えにくくなります。練習では、Electro-Lightの4,000万ドルを0.10ドルで割る式を紙に書き、声に出しながら計算してみましょう。

出典:McKinsey & Company「Talbot Trucks」

計算した数字は事業を進めるかどうかの判断につなげる

練習ケースの計算の設問は、数字を出して終わりではなく、その先にある事業の判断の材料として置かれています。Talbot Trucksで求める上限価格は、eTruckが顧客にとって魅力的な価格かを考える基準です。Electro-Lightでも、損益分岐に必要なシェアを出した後に、目標のシェアを得るための打ち手を考える設問が続きます。

実際のコンサルタントの仕事でも、概算した数字をもとに、事業を進めるかどうかを考える場面があるでしょう。練習では、計算の答えを出したら、その数字から事業について何が言えるかを一言で述べてみましょう。

出典:McKinsey & Company「Talbot Trucks」、McKinsey & Company「Electro-Light」

フェルミ推定対策について詳しく知りたい方は、Strategistsが無料で公開しているフェルミ推定の教科書をご覧ください。

▶ 無料の教科書はこちら

日本の乗用車の保有台数を自分で仮定を置いて推定してみる

公式の練習ケースでは計算の条件が与えられますが、フェルミ推定では計算に使う数字を自分で仮定する必要があります。乗用車の保有台数を推定する例題で、要素に分けて仮定を置き、推定値を出すまでを練習しましょう。

数える対象を乗用車の保有台数と決めてから式を立てる

「日本に車は何台あるか」と聞かれたら、計算に入る前に、何を数えるかを決めておきましょう。乗用車だけを数えるのか、トラックやバス、二輪車まで含めるのかによって、答えの数字は大きく変わります。この例題で数える対象は、普通車・小型車・軽四輪車の乗用車の保有台数で、自家用と営業用の両方を含みます。貨物車・乗合車・特種用途車・二輪車は対象外です。

式は、人口から世帯数を出して世帯ごとの保有台数を掛け、法人の保有分を足す形で組み立てましょう。世帯の人数や台数、法人分の割合は、この例題のために置いた練習用の仮定で、実際の統計ではありません。

人口から世帯数を出して地域ごとに保有台数を仮定する

世帯数を出すには、まず公表されている最新の総人口を、計算しやすい数に丸めて使いましょう。総務省統計局の人口推計では、2026年9月1日現在の総人口は概算値で1億2,265万人とされています。総人口を1.2億人に丸め、世帯あたりの人数を2.4人と仮定すると、世帯数は5,000万世帯です。

次に、世帯を住む地域で分けて、車の持ち方の違いを数字に表しましょう。車がなくても暮らしやすい大都市の世帯の割合を0.4、それ以外の地域を0.6と仮定すると、大都市は2,000万世帯、それ以外は3,000万世帯になります。大都市の世帯が平均0.5台、それ以外の地域の世帯が平均1.5台を持つと仮定すると、大都市は1,000万台、それ以外は4,500万台と計算できます。2つを足した家計の保有分は5,500万台です。

出典:総務省統計局「人口推計」

法人の保有分を足して推定値をまとめる

乗用車は家計だけでなく会社や事業者も保有しているため、法人の保有分を足して推定値を出しましょう。法人の保有分を、家計の保有分に0.1を掛けた量と仮定すると、550万台になります。家計の5,500万台と法人の550万台を足すと、推定値は6,050万台です。面接で答えるときは、概数にして約6,000万台と伝えましょう。

面接官は、答えの数字だけを聞いても、その数字が妥当かどうかを判断できません。紙に書いた式を指しながら、世帯の人数から法人分の割合まで、どの数字をどう仮定したかを話す練習をしておきましょう。

戦コン出身者/元面接官による
模擬ケース面接指導体験会(無料)
  • 本番形式で模擬ケース面接を実施
  • 現状のレベル・改善点をフィードバック
  • 内定への戦略がわかる

※少数精鋭での運営のため、枠が埋まり次第締め切ります。

推定値を対象のそろった公表統計と比べて見直す仮定を選ぶ

例題で推定値が出たら、公表統計と比べて確かめましょう。比べる統計は推定と同じ対象を数えたものを選び、ずれていたら原因になった仮定を探します。

乗用車の保有台数と比べると推定はわずかに下回った

例題の推定値を同じ対象の公表値と比べると、推定は実際の台数をわずかに下回っていました。自動車検査登録情報協会の保有台数表では、2026年6月末現在の乗用車(普通車・小型車・軽四輪車の自家用と営業用の合計)は62,292,502台です。約6,229万台の公表値に対し、推定値の6,050万台は約179万台少なく、差は約3%です。

出典:自動車検査登録情報協会「自動車保有台数(令和8年6月末現在)」

その他のフェルミ推定対策のコツや押さえておくべきポイントは、Strategistsが無料で公開しているフェルミ推定の教科書でご確認ください。

▶ 無料の教科書はこちら

全車種の合計と比べると対象のずれで差が大きく見える

比べる公表値を全車種の合計にすると、同じ推定値でも差は大きく見えます。自動車検査登録情報協会によると、2026年6月末現在の自動車保有台数は全車種の総計で83,086,808台です。この総計には、乗用車のほかに貨物車、乗合車、特種用途車、二輪車も含まれています。

約8,309万台と比べると、推定値の6,050万台は約2,259万台、約27%少なく見えます。この差の大部分は推定の誤りではなく、数えた対象の違いによるものです。推定値を公表値と比べるときは、まず統計が何を数えているかを確かめ、自分の推定と対象をそろえましょう。

出典:自動車検査登録情報協会「自動車保有台数」

世帯数を確かめると仮定の誤差が打ち消し合っていたと分かる

例題の推定値は乗用車の公表値に近かったものの、途中で仮定した世帯数は公表値と大きくずれていました。自動車検査登録情報協会の発表では、2026年1月1日現在の世帯数は61,747,140世帯とされています。例題では世帯数を5,000万世帯と仮定していたので、約6,175万世帯の公表値より約1,175万世帯、約19%少なかったことになります。

同じ発表の世帯当たり普及台数1.001台は、自家用乗用車全体の台数を世帯数で割った値です。例題の世帯ごとの台数は家計が持つ分だけを置いた仮定なので、数えた範囲が同じとは限らず、そのまま比べないようにしましょう。

世帯数を公表値の約6,175万世帯に置き換えても、ほかの仮定を変えなければ、世帯ごとの平均は0.4×0.5と0.6×1.5を足した1.1台のままです。家計の保有分は約6,792万台となり、法人の保有分を足すと約7,471万台です。今度は乗用車の公表値を約1,242万台、約20%上回ります。

世帯数を少なく置いた誤差と、世帯ごとの台数か法人分の割合を高めに置いた誤差が、打ち消し合っていたと分かります。練習でも、答えを出したら途中の値を一つ公表統計と比べ、どの仮定がずれていたかを書き出しておきましょう。

出典:自動車検査登録情報協会「令和8年 自家用乗用車の世帯当たり普及台数を発表」

ずれた理由を仮定ごとに説明できるように声に出して練習する

面接では統計を調べて答えを確かめられないため、答えの数字に加えて、仮定を置いた理由と、仮定を変えたときに答えがどう動くかを説明できることが大切です。Talbot Trucksの設問1のヒントでも、答える前に考えを整理する時間を取ると、結果の正確さにかかわらず、論理的で整理された考え方を面接官に示せるとされています。練習で推定値と公表値のずれを見つけたら、どの仮定が原因かを声に出して説明してみましょう。

例題なら、「世帯数を5,000万世帯と少なく置いたが、世帯ごとの台数か法人分の割合を高めに置いたため、答えは公表値に近づいた」と説明できます。公表統計のないお題では検算ができません。その場合は、人口から数える方法と供給側から数える方法のように、別の分解で解き直して答えを比べてみてください。

出典:McKinsey & Company「Talbot Trucks」

練習の時間は過去問集めより公式ケースと自分の解き方の見直しに使う

例題を解いて公表統計で検算し、ずれた理由まで説明する練習には、1問ごとにまとまった時間がかかります。過去問、Solveの対策、本での学習、第三者との練習のうち、どれに時間を使うかを決めましょう。

ネットで紹介されている過去問はマッキンゼーが示した出題ではない

インターネットで見つかるマッキンゼーのフェルミ推定の過去問は、マッキンゼーが出題例として公式に示したものではありません。本番で同じお題が出る保証はないため、お題を集めて答えを覚えても、初めてのお題には使えないでしょう。集めた過去問を使うなら、答えを覚える材料ではなく、例題と同じように対象の確認から検算まで通して解き直す材料にしましょう。

ゲーム型のアセスメントSolveは準備不要と案内されている

Solveは、マッキンゼーのコンサルタント採用の過程で、問題解決力を示すために受けるゲーム型のアセスメントです。マッキンゼーはSolveについて、準備は不要で、好奇心と創造性を持って臨んでほしいと案内しています。Solveの結果は、応募書類のほかの内容や他のアセスメントとあわせて考慮されます。

数値の練習の時間は、Solve向けの計算より、問題解決面接で数字を使う練習に充てましょう。

出典:McKinsey & Company「Solve, McKinsey’s assessment game」

フェルミ推定の基本の解き方を本で学んでから公式の練習ケースに進む

フェルミ推定にまだ慣れていない方は、本で基本の解き方を学んでから公式の練習ケースに取り組みましょう。本では、お題を要素に分ける考え方や、概算の進め方を一通り確かめられます。お題を分けて概算する手順を一人で進められるようになったら、Talbot TrucksやElectro-Lightの計算の設問と、この記事の例題を、時間を計って解き直してください。

仮定の置き方は第三者に説明して意見をもらう

一人で練習していると、仮定の置き方が適切かを自分では判断しきれず、説明が相手にどう伝わっているかも確かめられません。そのため、練習の計画には、第三者に意見をもらう機会を入れておきましょう。Strategistsは、本番に近い形式で解いて第三者から客観的なフィードバックを受ければ、一人では気づけない仮定の置き方の癖を知り、直していけると考えています。

例題や公式の練習ケースを経験者の前で声に出して解き、説明が伝わったかを尋ねてみましょう。指摘された点を書き出しておけば、次に解くお題で同じ癖を直せます。

まとめ

マッキンゼーの選考では、数値の計算は単独の試験としてではなく、問題解決面接のケースの中で問われます。数字を出して終えず、公表統計と比べてずれた理由を仮定から説明するところまでが、一続きの練習になります。

例題を自分の仮定で解き直して公表値と比べたら、公式の練習ケースの計算の設問を、電卓を使わずに声に出して解いてみましょう。答えの数字だけでなく、置いた仮定を自分の言葉で説明できるようになることが、問題解決面接への確かな備えになります。

本記事のテーマを頭で理解しても、実際のケース面接で使いこなせるかどうかは別問題です。
「示唆が出せない」「分析が浅い」といった課題は独学では気づきにくく、放置すると本番まで改善されないまま終わることも少なくありません。

Strategistsでは、MBB内定者・出身者によるマンツーマンの模擬ケース面接指導を提供しています。
初回メンタリング(60分)は無料で受講可能です。

📚 もっと体系的に学びたい方へ

Strategists資料館では、ケース面接・フェルミ推定の教科書と
ファーム別過去問データベースを無料公開しています。

タイトルとURLをコピーしました