戦略コンサルを志望する際、資格の勉強と選考対策のどちらに時間を取るかで迷うことがあります。
経営コンサルタントの関連資格には公認会計士や中小企業診断士などがありますが、これらの資格がなくても経営コンサルタントにはなれます。選考で見られるのも資格より問題解決力です。
こちらでは、ファームの募集要項にある応募条件、戦略コンサルで役立つ資格、資格を取る時期について解説します。
- 本番形式で模擬ケース面接を実施
- 現状のレベル・改善点をフィードバック
- 内定への戦略がわかる
※少数精鋭での運営のため、枠が埋まり次第締め切ります。
戦略コンサルの応募に必須の資格はない
資格の勉強に時間を使うかどうかは、志望ファームの応募条件に資格が含まれているかで最初に決まります。新卒と中途の募集要項に書かれた応募条件を読めば、資格がなくても応募できるかが分かります。
新卒の応募条件
戦略コンサルの代表的なファームの新卒採用を見ると、応募条件は卒業の時期や職歴、語学力などで、資格の保有は含まれていません。
マッキンゼー・アンド・カンパニー日本オフィスの国内大学新卒採用の応募資格は、国内の4年制大学または大学院の学士課程・修士課程に在籍し、2027年9月~2028年8月末に卒業予定であることです。あわせて、フルタイム勤務の経験がないことと、日本語で業務を進められることも求められます。
卒業の時期と職歴の有無だけを応募資格にしているファームもあり、ボストン コンサルティング グループ(BCG)がその一つです。2028年新卒の経営コンサルタント職の応募資格は、国内の大学・大学院に在籍して2027年9月~2028年8月に卒業予定であることと、フルタイムでの職務経験がないことの2つです。
ベイン・アンド・カンパニーの国内新卒では、2027年4月~2028年8月に国内の4年制大学または大学院を卒業予定で、2028年4月または9月に入社できることが条件です。日本語と英語がともにビジネスレベルであること、日本での就労ビザを取得できること、フルタイムでの職歴がないことも求められます。
マッキンゼー、BCG、ベインのいずれも資格は求めていない一方で、マッキンゼーは日本語、ベインは日本語と英語の力を応募資格に入れています。語学の条件を自分が満たしているかを、志望先の募集要項で確認しておきましょう。
出典:マッキンゼー・アンド・カンパニー「国内大学新卒採用情報」、ボストン コンサルティング グループ「2028年新卒採用情報」、ベイン・アンド・カンパニー「国内新卒」
中途の応募条件
中途で戦略コンサルを目指す場合も、ベイン・アンド・カンパニーの中途採用を見ると、応募条件には職歴と語学力が並び、資格は求められていません。同社の中途採用の週末選考会では、フルタイムでの職務経験が2年以上13年未満であることが応募資格の一つです。
応募するポジションは、アソシエイトコンサルタント、シニア アソシエイトコンサルタント、コンサルタントのいずれかです。さらに、日本語と英語がともにビジネスレベル(日本語がネイティブでない方はJLPT N1相当)で、日本(東京)で勤務できることも求められます。
中途の応募条件は、ファームや募集によって違います。応募する方は、資格の有無よりも先に、自分の職務経験の年数と語学力を、志望ファームの中途採用ページに書かれた条件と照らし合わせてください。
経営コンサルタントは資格がなくてもなれる
経営コンサルタントの関連資格には、公認会計士、税理士、中小企業診断士、経営士があります。ただし、これらの資格を持っていなくても、経営コンサルタントにはなれるとされています。関連資格の名前を見かけても、応募の前に取らなければならないと考える必要はありません。
それでも資格を持っておきたい方には、経歴や志望に合わせて選べる資格がいくつかあります。財務の分析を強みにしたい方には公認会計士や日商簿記などの会計系の資格、経営全般の知識を幅広く学びたい方には中小企業診断士が候補です。社会人経験を積んでから海外の大学院に進むことを考えている方にはMBA、志望先が英語の力を求めている方には語学資格も選択肢になります。選考で何が評価されるかを知ってから、取る資格を決めても遅くはありません。
出典:厚生労働省 職業情報提供サイト(job tag)「経営コンサルタント」
選考では資格より問題解決力が見られる
応募に資格が必須でないと分かると、資格を持っていることが選考で評価されるのかが次に気になります。選考で見られる力と資格の扱いを知り、資格の勉強と選考対策のどちらに重点を置いて準備するかを決めましょう。
面接で見られる力
戦略コンサルの面接では、資格の有無よりも、問題解決力などの力が評価の対象になります。BCGのクライアント対応職の選考では、ケース面接で問題解決力と分析力が評価されます。チーム面接では、この2つに加えてコミュニケーション能力も評価の対象です。
問題解決の力は、ほかのファームの面接でも評価の観点に入っています。マッキンゼー・アンド・カンパニー日本オフィスの面接では、主にConnection、Drive、Leadership、Growth、Problem Solvingが見られます。どちらのファームの観点にも、資格の保有は含まれていません。面接に向けた準備では、これらの力を受け答えで示す練習に重点を置くのが一般的です。
出典:ボストン コンサルティング グループ「面接について」、マッキンゼー・アンド・カンパニー「面接準備」
ケース面接で問われる力
ケース面接とは、実際に起こりうるビジネス上の課題を出され、段階を踏んで取り組む面接形式です。応募者は、アプローチを組み立て、的確な質問をし、データを分析して簡単な計算をしたうえで、最も重要な要因を見極めます。その過程では、考えを明確に伝える力と論理的に考える力に加えて、ビジネスの勘と創造性も必要です。
ケース面接とあわせて、フェルミ推定の問題が出される選考もあります。フェルミ推定は、直接数えにくい数量を、手元の情報と自分で置いた仮定から短い時間で見積もる問題です。
Strategistsは、資格の勉強で知識を増やしても、出された課題をその場で解く力は、別に練習しなければ身につきにくいと考えています。
出典:ボストン コンサルティング グループ「ケース面接の準備」
ケース面接対策について詳しく知りたい方は、Strategistsが無料で公開しているケース面接の教科書をご覧ください。
面接で話す材料になる知識と職歴
資格そのものが評価の対象にならなくても、資格の勉強で得た知識が面接で話題になることはあるでしょう。
マッキンゼーの面接には、これまでに身につけた知識やスキルをクライアント企業のためにどう生かせるかを話し合う観点(Expertise)があります。BCGのスキル面接でも経験やスキル、志望動機を尋ねられ、履歴書に書かれていない自分の魅力も話してほしいとされています。資格を書類に書くだけで終わらせず、勉強で得た知識をどんな課題の解決に使えるかまで話せるようにしておきましょう。
他の仕事を経験してから経営コンサルタントに転じる場合は、学歴よりも、どんな専門業務を経験してきたかという職歴が重視されます。論理的な思考や分析力、自分の考え方を表現する能力、人間性など、幅広い能力と資質も必要とされています。
出典:マッキンゼー・アンド・カンパニー「面接準備」、ボストン コンサルティング グループ「面接について」、厚生労働省 職業情報提供サイト(job tag)「経営コンサルタント」
資格の勉強がケース面接で役立つ場合
資格の保有が選考の必須条件にならない一方で、資格の勉強で身につけた知識がケース面接で生きる場面はあります。財務や会計、論理的な分析の基礎知識があると、ケース面接で数字を使って分析したり、考えを説明したりするときに、間接的に役立つことがあります。ただし、知識があるだけでケース面接で答えられるわけではなく、その知識を使って課題を解く練習が別に必要です。
持っておく資格を選ぶときは、勉強で得る知識がケース面接の分析や入社後の仕事のどこで使えるかを基準にすると、取る意味のある資格を絞り込めます。
戦略コンサルで役立つ資格
戦略コンサルタントの仕事は、企業の経営課題について調べてデータを分析し、解決策を経営者に提言することです。分析の中では財務諸表や事業の数字を読む場面があり、会計や経営の資格で学ぶ知識はそうした場面で使われることがあります。
応募条件にない資格でも持っておきたい方は、仕事のどこで知識を使うかを資格ごとに調べ、自分の経歴と志望に合う資格を絞り込みましょう。
外資系ファームに多いMBA取得者
外資系の経営コンサルティング会社では、MBA取得者の割合が高いとされています。マッキンゼー・アンド・カンパニー日本オフィスの経験者採用のページでも、応募経路の一つに「キャンパス採用(新卒、MBA等の海外大学院)」が挙がっています。
経営コンサルタントとして実際に働いている人が、この職業に多いと感じている学歴としては、大卒を挙げた割合が66.0%、修士課程卒(修士と同等の専門職学位を含む)が28.3%、博士課程卒が5.7%です。これは厚生労働省の職業情報提供サイト(job tag)が複数回答で示したデータで、これらの学歴が必須とは限らないと注記されています。
MBAは応募条件ではないため、取るかどうかは、新卒で応募するか、社会人経験を積んで海外大学院を経てから応募するかという時期の判断と合わせて考えるとよいでしょう。
出典:厚生労働省 職業情報提供サイト(job tag)「経営コンサルタント」、マッキンゼー・アンド・カンパニー「経験者採用」
公認会計士など会計の専門資格
公認会計士や税理士、USCPA(米国公認会計士)は会計・税務の専門資格で、戦略コンサルの応募条件には含まれていません。受験の要件や日程は試験ごとに違うため、取るかどうかを考えるときは、各試験の実施団体の公式ページで確認する必要があります。
経営コンサルタントは、M&Aや知的所有権の活用、技術マネジメント、人材育成など専門性が高いサービスでは、専門家とチームを組むこともあります。チームを組む専門家の例は、中小企業診断士や公認会計士、弁理士、弁護士、社会保険労務士などです。そのため、コンサルタント自身がすべての専門資格を持つ必要はありません。ただ、会計や経営の基礎知識があると、専門家と話を進めるときに役立つことがあります。
公認会計士などの会計の専門資格は、財務や会計の知識を仕事に生かしたい方が、入社後の仕事も見据えて選ぶ候補です。
出典:厚生労働省 職業情報提供サイト(job tag)「経営コンサルタント」
財務諸表を読む力の目安になる日商簿記2級
会計の専門資格を目指すほどではなくても財務の知識を身につけたい方は、日商簿記検定も候補にできます。3級は、小規模企業の企業活動や会計実務を踏まえ、基本的な商業簿記を修得したレベルです。2級は、高度な商業簿記と工業簿記(原価計算を含む)を修得し、財務諸表の数字から経営内容を把握できる人に求められるレベルとされています。
戦略コンサルの分析で財務諸表を読む場面に備えるなら、2級が目安になります。2級と3級にはネット試験もあるので、受ける時期と方法は、日本商工会議所の案内を見て決めてください。
経営全般を学べる中小企業診断士
中小企業診断士の勉強では、会計に加えて戦略や組織、業務の進め方まで、企業経営の課題全体について学べます。日商簿記や公認会計士などの会計系の資格では会計・税務の知識を学ぶのに対し、中小企業診断士の知識は、財務の数字に限らず経営の課題を広く捉える場面で生きることがあります。身につけたい知識を会計に絞るのか、経営全体に広げるのかを考え、会計系の資格と中小企業診断士のどちらを候補にするかを決めましょう。
語学資格を取る前に確認する面接の言語
会計や経営の資格とは別に、TOEICなどの語学資格を取るかどうかで迷う方もいます。語学資格の勉強を始める前に、志望ファームの面接が何語で行われるかを調べておきましょう。マッキンゼー・アンド・カンパニー日本オフィスの国内大学新卒採用では、面接はすべて日本語で行われ、内定後に一人ひとりの英語レベルに合わせた英語研修が実施されます。
語学の条件は募集ごとに違い、英語の力を応募条件に入れるファームもあります。そうした募集に応募する方にとって、語学資格のスコアは英語の力を示す材料の一つです。志望先の募集要項を読み、応募条件を満たす英語の力がすでにあると分かれば、スコアを上げる勉強よりケース面接などの選考対策に時間を使う方法もあります。
出典:マッキンゼー・アンド・カンパニー「国内大学新卒採用情報」
- 本番形式で模擬ケース面接を実施
- 現状のレベル・改善点をフィードバック
- 内定への戦略がわかる
※少数精鋭での運営のため、枠が埋まり次第締め切ります。
資格を取る時期は試験の負担を見て決める
資格の勉強は、試験の段階や科目が多いほど、選考準備と並行するのが難しくなります。中小企業診断士と公認会計士の試験の流れを知り、選考前に取るか入社後に回すかを決めましょう。
中小企業診断士の試験の流れ
中小企業診断士の第1次試験は、年齢、性別、学歴などに関係なく、だれでも受験できます。一方、第2次試験を受けられるのは、令和7年度または令和8年度の第1次試験の合格者などに限られています。第2次試験は中小企業の診断と助言に関する実務の事例を扱う筆記試験で、形式は短答式または論文式です。
令和8年(2026年)の第1次試験の科目は次のとおりで、いずれも多肢選択式の筆記試験です。
- 経済学・経済政策
- 財務・会計
- 企業経営理論
- 運営管理(オペレーション・マネジメント)
- 経営法務
- 経営情報システム
- 中小企業経営・中小企業政策
第1次試験は令和8年(2026年)8月1日と8月2日に行われ、第2次試験は令和8年(2026年)10月25日に行われます。合格発表は令和9年(2027年)1月13日です。
中小企業診断士の試験の日程は夏の第1次試験から翌年1月の合格発表まで続くため、受ける年の選考準備と時期が重ならないかを先に調べておきましょう。日程は年度ごとに発表されるので、翌年度以降に受ける方は、その年度の実施要項を改めて読んでください。
合格後にも実務経験が必要な公認会計士
公認会計士試験には受験資格の制限がなく、年齢や学歴、国籍などにかかわらず、だれでも受験できます。試験は、短答式試験(マークシート方式で答える試験)と論文式試験(文章で解答する試験)の2段階です。最初に受ける短答式試験は12月と5月の年2回行われ、受験者はどちらかの回に出願します。短答式試験に合格するか免除を受けた人が、年1回8月の論文式試験を受けます。
短答式試験は財務会計論、管理会計論、監査論、企業法の4科目です。論文式試験は会計学、監査論、租税法、企業法と、経営学・経済学・民法・統計学から選ぶ1科目の計5科目です。論文式試験の合格発表は11月中旬から下旬頃に行われます。さらに、試験に合格した後も、実務経験(業務補助等)と実務補習、登録の手続きを経て、公認会計士の資格を得ることになります。
公認会計士は試験の科目が多く、合格後も実務経験が求められるため、戦略コンサルの選考準備と同じ時期に目指すかどうかは慎重に判断しましょう。
出典:公認会計士・監査審査会「公認会計士試験に関するQ&A」
資格の勉強を始める時期
国家資格や検定試験の多くは、合格までに相応の学習期間がかかります。選考の直前に新しく勉強を始めると、ケース面接やフェルミ推定の対策に使う時間が足りなくなることがあります。中小企業診断士や公認会計士のように試験の段階が多い資格を目指すなら、選考準備より前の時期か、入社後に実務と両立しながら取り組む時期を選ぶと、選考対策の時間を確保しやすいでしょう。
一方、試験の段階が少ない検定や受ける日を自分で選べる試験なら、選考準備の合間に受ける計画も立てられます。受けたい試験の日程と方式を実施団体の案内で確認してから、選考準備のどの時期に受けるかを決めましょう。
MBAは、試験に合格して取る資格とは違い、大学院に入学して学び、取得する学位です。入学選考と在学期間が必要になるため、新卒の選考準備と並行して取るものではありません。MBAを目指すかどうかは、選考とは別の時期の判断として考えましょう。
資格より先に取りかかる選考準備
資格の勉強より先に手を付ける準備は、新卒か中途かで変わります。自分の立場に合う準備を選び、最初に何から始めるかを決めましょう。
新卒はレジュメの準備とケース面接の練習から
新卒で戦略コンサルを目指す方は、学業と並行して、応募書類の準備とケース面接やフェルミ推定の練習に早めに取りかかりましょう。マッキンゼー・アンド・カンパニー日本オフィスの国内大学新卒採用では、応募の際にレジュメ(学歴・スキル・実績をまとめた書類)の提出が必須です。レジュメは英語か日本語で提出し、その後に適性検査と面接による選考が行われます。
ファームによっては、インターンシップへの参加も選考の一部です。ベイン・アンド・カンパニーの国内新卒選考は、書類審査、オンライン適性検査、複数回の面接、インターンシップ、本採用面接、内定の順に進みます。採用選考のプロセスは変更になる場合があるため、応募する年度の募集要項で選考の流れを確認してください。
レジュメの準備と並行して、ケース面接の練習を始める日を先に決めておくと、書類の準備だけで時間が過ぎることを防げます。
出典:マッキンゼー・アンド・カンパニー「国内大学新卒採用情報」、ベイン・アンド・カンパニー「国内新卒」
中途は職務経歴書の準備から
中途や第二新卒で戦略コンサルを目指す方は、資格の勉強より先に、これまでの職務経験を選考で具体的に説明できるよう、担当した仕事と自分の役割を書き出しておきましょう。ベイン・アンド・カンパニーの中途の週末選考会では、書類選考、オンラインテスト、1次・2次のオンライン面接による選考会、翌週以降の対面の面接の順に選考が進みます。応募の際には、Recruit Portalへの履歴書と職務経歴書の添付が必須です。
職務経歴書は最初の書類選考で読まれるため、どんな専門業務を担い、どんな成果を出したかを具体的に書いておきましょう。書き出した経験は職務経歴書と面接の両方で使えるので、応募の前に一度声に出して説明してみるとよいでしょう。
まとめ
戦略コンサルを目指すうえで、資格は応募の前提ではなく、選考で問われる力を補う材料の一つにとどまります。資格を取るかどうかは、勉強で得る知識が自分の経歴や志望に合うか、選考準備と時期が重ならないかで決められます。
最初の一歩として、志望するファームの公式の募集要項を開き、応募条件に資格や語学の条件が書かれているかを確認してください。そのうえで、資格の勉強とケース面接などの選考対策のどちらに先に時間を使うかを、予定表に書き込んで決めましょう。
本記事のテーマを頭で理解しても、実際のケース面接で使いこなせるかどうかは別問題です。
「示唆が出せない」「分析が浅い」といった課題は独学では気づきにくく、放置すると本番まで改善されないまま終わることも少なくありません。
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