ケース面接対策

【SWOT分析とは】MBB内定者がフレームワークの使い方をわかりやすく解説|具体例で学ぶ⑫

「ケース面接で企業の現状分析を求められたけど、どこから手をつければいいんだろう?」
「SWOT分析って言葉は知っているけど、ただの4分割でしょ?使い方がよくわからない…」

戦略コンサルティングファームのケース面接では、具体的な施策を考える前に、まずクライアント企業が置かれている状況を正確に把握する「現状分析」が不可欠です。この分析フェーズで思考の質を高めるための、古典的かつ強力なフレームワークが「SWOT分析」です。

この記事では、実際にMBB(マッキンゼー、BCG、ベイン)の内定を獲得した筆者が、ビジネス分析の基本ツールである「SWOT分析」について、その本質的な考え方から、ケース面接での実践的な使い方、そして陥りがちな罠まで、具体的なケース(任天堂の成長戦略)を交えながら徹底的に解説します。

この記事を読み進めれば、SWOT分析を単なる情報整理の枠組みにとどめず、戦略的な示唆を導くための思考の武器として活用できるようになるでしょう。



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SWOT分析とは?基本的な考え方をケース面接向けに解説

まず、「SWOT分析」がどのようなフレームワークなのか、その基本をしっかりと押さえましょう。

SWOT分析は、企業や事業の現状を「内部環境」「外部環境」の2つの側面に分け、それぞれを「プラス要因」「マイナス要因」で評価することで、戦略立案のための示唆を得るフレームワークです。

4つの要素の頭文字をとって「SWOT(スウォット)」と呼ばれます。

プラス要因マイナス要因
内部環境
(自社でコントロール可能)
S: Strength(強み)W: Weakness(弱み)
外部環境
(自社でコントロール困難)
O: Opportunity(機会)T: Threat(脅威)

それぞれの要素について、具体的に見ていきましょう。

  • S: Strength(強み)
    • 何を分析するか?: 競合他社と比較して優れている、自社内部のプラス要因。
    • 具体例: 高いブランド力、独自の技術、優秀な人材、強力な販売網、強固な顧客基盤など。
  • W: Weakness(弱み)
    • 何を分析するか?: 競合他社と比較して劣っている、自社内部のマイナス要因。
    • 具体例: 低いブランド認知度、陳腐化した技術、人材不足、限定的な販売チャネル、高いコスト構造など。
  • O: Opportunity(機会)
    • 何を分析するか?: 自社の成長にとって追い風となる、外部環境のプラス要因。
    • 具体例: 市場の成長、規制緩和、新しい技術の登場、消費者の価値観の変化、競合の失速など。
  • T: Threat(脅威)
    • 何を分析するか?: 自社の成長にとって向かい風となる、外部環境のマイナス要因。
    • 具体例: 市場の縮小、規制強化、代替品の出現、消費者の嗜好の変化、強力な新規参入者の登場など。

SWOT分析と3C分析の違い

よく似たフレームワークとして「3C分析」がありますが、目的と視点が異なります。

  • 3C分析: 「市場/顧客(Customer)」「競合(Competitor)」「自社(Company)」の3つの視点から、事業のKSF(重要成功要因)を特定するのが主な目的です。
  • SWOT分析: 内部環境(強み・弱み)と外部環境(機会・脅威)を整理し、それらを掛け合わせることで、具体的な戦略オプションを導き出すことを目的としています。

ケース面接では、まず3C分析で事業環境を大まかに把握し、その結果をSWOT分析の各要素に落とし込んで整理・深化させ、次の戦略立案に繋げる、という使い方が効果的です。SWOT分析は、3C分析の結果を戦略に繋ぐ「橋渡し」の役割を担うと考えると分かりやすいでしょう。

ケース面接でSWOT分析が活きるお題と見極めのポイント

SWOT分析は、多くのビジネスケースで活用できる汎用性の高いフレームワークですが、特にその威力を発揮するお題のパターンが存在します。ここでは、SWOT分析が活きるお題の見極め方と、使う際の思考のポイントを解説します。

SWOT分析が活きるお題のパターン

1. 「〇〇社の事業戦略/成長戦略を考えよ」という、現状分析が起点となるお題

  • お題例:
    • 「任天堂の今後の成長戦略を立案してください」
    • 「地方で展開するスーパーマーケットチェーンの売上向上策を検討してください」
  • なぜ活きるのか?
    戦略を立案する上で、「自社が置かれている状況を正確に把握すること」は全ての出発点です。SWOT分析は、内部環境(強み・弱み)と外部環境(機会・脅威)を体系的に整理し、現状認識を構造化するための最適なツールです。この分析を通じて、「自社の強みを活かして機会を掴むにはどうすればよいか?」「脅威を回避しつつ、弱みを克服するには?」といった、戦略の方向性を導き出すための具体的な示唆を得ることができます。

2. クライアントの強みや弱みが特徴的な企業のお題

  • お題例:
    • 「高い技術力を持つが、マーケティングが弱いBtoBメーカーの成長戦略」
    • 「ブランド力は絶大だが、デジタル化に遅れている老舗企業のDX戦略」
  • なぜ活きるのか?
    クライアントの「強み」と「弱み」が明確な場合、SWOT分析は特に効果を発揮します。その明確な「強み」を、外部の「機会」にどうぶつけていくか。また、外部の「脅威」が、自社の「弱み」を直撃するリスクはないか。このように、内部要因と外部要因を掛け合わせて考えることで、クライアントの特性に即した、鋭い戦略仮説を導き出しやすくなります。

3. 市場環境の変化が激しい業界のお題

  • お題例:
    • 「規制緩和が進むエネルギー業界における、既存電力会社の新規事業戦略」
    • 「AI技術の進化を踏まえた、教育業界の企業の今後の戦略」
  • なぜ活きるのか?
    市場環境が大きく変化している状況では、外部環境の「機会」と「脅威」を正確に捉えることが極めて重要になります。SWOT分析のフレームワークを使うことで、これらの外部要因を網羅的に洗い出し、それらが自社の「強み」「弱み」とどう相互作用するのかを整理できます。これにより、変化に適応し、それを成長のチャンスに変えるための戦略を体系的に検討することが可能になります。

フレームワークを使う際の重要なポイント(クロスSWOT分析への意識)

ケース面接でSWOT分析を使う際、単に4つの象限を埋めて満足してはいけません。最も重要なのは、分析結果から戦略的な示唆を導き出すことです。そのために有効な思考法が「クロスSWOT分析」です。

クロスSWOT分析は、内部要因と外部要因を組み合わせて戦略の方向性を導き出す手法であり、分析を実際の打ち手に繋げる役割を果たします。

O: Opportunity(機会)T: Threat(脅威)
S: Strength(強み)SO戦略(積極化戦略)
強みを活かして機会を掴む
ST戦略(差別化戦略)
強みを活かして脅威を回避する
W: Weakness(弱み)WO戦略(改善戦略)
弱みを克服して機会を掴む
WT戦略(防衛/撤退戦略)
弱みと脅威による最悪の事態を回避する

ケース面接のディスカッションでは、4つの象限を整理した上で、

  • 「クライアントの強みである〇〇を活かし、機会である△△を捉えるために、積極化戦略(SO戦略)として□□という方向性が考えられます」
  • 「一方で、脅威である〇〇が、当社の弱みである△△を直撃するリスクがあるため、これを回避する防衛戦略(WT戦略)も検討すべきです」

というように、クロスSWOT分析の視点で議論を展開することで、分析から戦略への思考のブリッジをスムーズに行うことができ、評価を高めることができます。

ケース面接で陥りがち!SWOT分析利用時のよくある失敗

SWOT分析は、そのシンプルさゆえに、かえって思考が浅くなりがちなフレームワークでもあります。ケース面接でSWOT分析を用いる際に、多くの受験者が陥る典型的な失敗例とその回避策を理解し、一歩先の分析を目指しましょう。

失敗例1:単なる事実の羅列で終わる「So What?のない分析」

4つの象限に、思いつく限りの事実を並べただけで、そこから「だから何が言えるのか?」という戦略的な示唆が全くないパターンです。例えば、「強み:ブランド力、技術力。弱み:コスト高。機会:海外市場の成長。脅威:円安。」のように、単語を並べて満足してしまいます。

  • なぜダメなのか?
    • 分析は目的ではなく、あくまで戦略立案のための手段です。事実を整理しただけでは、コンサルタントとしての価値である「示唆の抽出」ができていません。
    • 各要素がバラバラに存在しており、それらの関係性が見えず、次のアクションに繋がりません。
  • どう回避するか?
    • クロスSWOT分析を徹底する: 「強み」と「機会」を掛け合わせるなど、必ず内部要因と外部要因を関連付けて考える癖をつけます。「当社の強みである高いブランド力を活かせば機会である海外市場の成長に乗じて、高価格帯セグメントでシェアを獲得できるのではないか?」というように、常に戦略仮説に繋げる意識を持ちましょう。
    • 各要素の「意味合い」を考える: 例えば「脅威:円安」であれば、「これは当社の海外からの原材料輸入コストを増加させる(弱みを直撃する)一方で、海外売上を円換算した際の価値を高める(機会にもなりうる)」というように、その事実が自社にとってどのような意味を持つのかを深掘りします。

失敗例2:内部環境と外部環境の混同

「強み(S)」「弱み(W)」といった内部環境要因と、「機会(O)」「脅威(T)」といった外部環境要因を混同してしまうケースです。例えば、「強み:市場が成長している」や「機会:当社のブランド力が高い」といった記述が典型例です。

  • なぜダメなのか?
    • SWOT分析の根幹である「コントロール可能か否か」という軸が崩れてしまい、論理的な思考ができていないと判断されます。
    • 戦略の方向性を見誤る原因になります。自社でコントロールできること(弱みの克服など)と、できないが適応すべきこと(脅威への対応など)を区別することが戦略の第一歩です。
  • どう回避するか?
    • 常に主語を意識する: 「それは自社の努力で変えられることか?」と自問自答する癖をつけましょう。「市場の成長」は自社ではコントロールできないので外部環境(機会)、「ブランド力」は自社が築き上げたものなので内部環境(強み)です。
    • 3C分析との連携を意識する: 3C分析の「自社(Company)」の分析結果がSとWに、「市場/顧客(Customer)」と「競合(Competitor)」の分析結果がOとTに繋がる、という関係性を理解しておくと混同しにくくなります。

失敗例3:「強み」と「弱み」が表裏一体であることへの無頓着

物事には必ず二面性があります。ある側面から見れば「強み」であることが、別の側面から見れば「弱み」になるケースは少なくありません。この視点が欠けていると、分析が表層的になります。

  • なぜダメなのか?
    • 多角的・複眼的な思考ができていないと見なされます。
    • 戦略立案において、自社の強みを活かそうとした結果、思わぬ弱点が露呈するリスクを見逃す可能性があります。
  • どう回避するか?
    • 常に裏側を考える: 例えば、「強み:歴史と伝統に裏打ちされた高い品質」を挙げたとします。その裏側には、「弱み:伝統を重んじるあまり、意思決定が遅く、新しい挑戦へのフットワークが重い可能性がある」という側面がないかを考えます。
    • 具体例:
      • 強み: 直営店のみでの販売による高品質な顧客体験の提供
      • 弱み(裏側): 販路が限定的で、リーチできる顧客層が狭い
      • 強み: 特定領域に特化した高い専門性
      • 弱み(裏側): 事業ポートフォリオが偏っており、市場変動リスクが高い

この視点を持つことで、分析に深みが増し、より現実的でバランスの取れた戦略立案に繋がります。

これらの失敗例を頭に入れ、SWOT分析をただの「作業」で終わらせず、戦略的な思考を深めるための「プロセス」として実践することが、ケース面接突破の鍵となります。

【ケース面接 徹底解説】SWOT分析で解く「任天堂の成長戦略」

ここからは、実際のケース解説です。「任天堂の成長戦略」という、多くの人が興味を持ちやすい一方、その独自性ゆえに分析が難しいお題を用い、SWOT分析をどのように実践的に活用するのか、思考プロセスを追いながら具体的に解説します。

お題:クライアントは任天堂。3年後を見据えた成長戦略を立案してください。


1. 前提設定、問題の背景の言語化(面接官とのすり合わせ)

まず、議論の土台を固めるために、前提を明確にします。

  • クライアントについて:
    • 任天堂は、ゲーム専用機(ハード)とソフトウェア(ソフト)を一体で開発・販売するプラットフォーマーです。このビジネスモデルを前提として考えます。
    • 対象事業は、モバイルゲーム等も含まれますが、今回はNintendo Switchを中心としたゲーム専用機事業にスコープを絞ってよろしいでしょうか?(面接官:はい、それでお願いします)
  • 目標設定:
    • 「成長戦略」のゴールとして、「3年間で、ゲーム人口のさらなる拡大と、既存ユーザーのエンゲージメント向上を通じて、持続的な成長基盤を強化すること」と設定してもよろしいでしょうか?売上や利益の具体的な数値目標は、施策のインパクトを測る際に検討します。(面接官:良いでしょう)
  • 市場環境:
    • 競合はソニー(PlayStation)やマイクロソフト(Xbox)といった高性能ハードメーカーに加え、スマートフォンゲーム、PCゲームなど、可処分時間の奪い合いという観点では多様なエンタメが存在すると認識しています。(面接官:その通りです)
  • 現状認識:
    • Nintendo Switchは発売から数年が経過し、ハードウェアとしてはライフサイクルの後半に差し掛かっている可能性がある、という認識で進めてもよろしいでしょうか?(面接官:はい、その視点は重要ですね)

【議論のゴール】
ハードのライフサイクル後半期において、任天堂がゲーム人口を拡大し、持続的成長を実現するための3年間の戦略を立案する。

2. 仮説創出のための業界・商材の特徴分析(SWOT分析の実施)

次に、任天堂の現状をSWOT分析を用いて構造的に整理します。

プラス要因マイナス要因
内部環境S: Strength(強み)
・強力なIP(知的財産)
・ハード・ソフト一体開発力
・全年齢対象のブランドイメージ
・独自のゲーム体験創造力
W: Weakness(弱み)
・ハードウェア性能の限界
・ハードライフサイクルへの依存
・サードパーティ製ソフトの不足(過去の課題)
・オンラインサービスの収益化の遅れ
外部環境O: Opportunity(機会)
・ゲーム人口の拡大(年齢・性別)
・IPの多角展開(映画、テーマパーク)
・新技術(クラウド、VR/AR)の進化
・eスポーツ市場の成長
T: Threat(脅威)
・競合ハードの高性能化
・スマホ/PCゲーム市場の拡大
・可処分時間の奪い合い(動画配信等)
・開発費の高騰と長期化

【分析からの示唆】

  • 強み(S)と機会(O)の掛け合わせ(SO戦略): 任天堂の最大の武器である強力なIPは、ゲームの枠を超えて映画やテーマパークといった多角展開の機会と非常に相性が良い。これにより、ゲームへの新規ユーザー流入やブランド価値向上が期待できる。
  • 強み(S)と脅威(T)の掛け合わせ(ST戦略): 競合がハードの性能で勝負してくる(脅威)のに対し、任天堂は独自のゲーム体験創造力(強み)で差別化を図り、性能競争を回避してきた。この戦略は今後も有効。
  • 弱み(W)と機会(O)の掛け合わせ(WO戦略): ハード性能の限界(弱み)を、クラウドゲーミングなどの新技術(機会)を活用して補完できないか?
  • 弱み(W)と脅威(T)の掛け合わせ(WT戦略): ハードのライフサイクルへの依存(弱み)と、スマホゲーム等による可処分時間の奪い合い(脅威)が重なると、次世代機への移行期にユーザーが大量に離反するリスクが最も大きい。

3. 論点の構造化とイシューの絞り込み(クロスSWOT分析からの戦略方向性の特定)

SWOT分析から得られた示唆をもとに、3年間の成長戦略の核心となるイシューを絞り込みます。

  • ① ハードウェアに依存しないIP価値の最大化 (◎):
    • 論拠: SWOT分析から明らかなように、任天堂の最も永続的かつ強力な資産はハードではなくIPです。ハードのライフサイクルという宿命的な弱み(W)と、多様なエンタメとの可処分時間競争という脅威(T)を乗り越え、持続的に成長するためには、IPの価値をゲーム機の内外で最大化し、収益源を多様化させることが最重要課題。映画やテーマパークの成功(機会Oの活用)は、この方向性の正しさを証明しています。これを最重要イシューとします。
  • ② 既存Switchユーザーのエンゲージメント維持・向上 (⚪︎):
    • 論拠: 次世代機へのスムーズな移行と、ハードライフサイクル後半の売上最大化のためには、現在の巨大なユーザーベース(強み)を維持し、満足度を高め続けることが不可欠です。オンラインサービスの強化や、継続的な良質ソフトの提供が鍵となります。これは最重要イシュー①を支える重要な基盤となります。
  • ③ 新規ユーザー層の継続的な開拓 (⚪︎):
    • 論拠: 任天堂の強みである「全年齢対象のブランド」を活かし、ゲームにあまり触れてこなかった層(例:シニア層、フィットネス・教育に関心のある層)を取り込むことで、市場自体を拡大する(機会Oの活用)ポテンシャルがあります。

【絞り込み結果】
3年間の成長戦略の主軸は「①ハードウェアに依存しないIP価値の最大化」とし、これを実現するための基盤として「②既存Switchユーザーのエンゲージメント維持」「③新規ユーザー層の開拓」を両輪で進めるべきと判断します。

4. 打ち手

最重要イシューである「IP価値の最大化」を核とした具体的な施策を提案します。

【推奨戦略】
「任天堂IP経済圏の確立」による、ゲーム内外でのエンゲージメントサイクル創出

  • How to Win(具体的な施策):
    1. メディアミックスの加速(ゲーム外接点の拡大):
      • 映像事業の本格化: 「ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー」の成功モデルを他の主要IP(ゼルダの伝説、どうぶつの森など)でも展開。映画だけでなく、高品質なアニメシリーズ等を制作し、動画配信サービスでグローバルに展開する。
      • マーチャンダイジングの強化: アパレルブランドとのコラボ、高品質なフィギュアやグッズの展開をグローバルで加速させ、日常的にIPに触れる機会を増やす。
    2. ゲーム事業との連動強化(ゲーム内への還流):
      • IP連動イベントの実施: 映画公開やテーマパークの新エリアオープンと連動したゲーム内イベントやコンテンツ配信を実施し、相乗効果を最大化する。(例:映画版キャラクターの衣装をゲーム内で入手可能にする)
      • 「My Nintendo」アカウントのハブ化: ゲームのプレイ履歴だけでなく、映画の視聴、テーマパークへの来場、グッズ購入といったあらゆるIP接点での活動を「My Nintendo」アカウントに統合する。活動に応じてポイントや限定デジタルコンテンツ(壁紙、アイコン等)を付与し、IP経済圏内での回遊を促進。
    3. オンラインサービスの進化:
      • 収集したアカウントデータを活用し、ユーザーごとにパーソナライズされたゲームのレコメンドやニュース配信を強化。
      • 単なるオンライン対戦機能だけでなく、コミュニティ機能やイベント機能を拡充し、ユーザーエンゲージメントを高める。
  • リスクと対策:
    • リスク: IPの世界観毀損リスク。メディアミックス作品の質の低下は、原作ゲームのブランド価値も損なう。
    • 対策: 宮本茂氏のようなクリエイティブのトップが監修するなど、任天堂自身がクリエイティブの主導権を強く握り、品質を徹底管理する体制を維持・強化する。
  • 優先順位・マイルストン:
    • 1年目: 次期映像化IPの選定と制作開始。「My Nintendo」アカウントの機能拡張計画策定。
    • 2年目: 新規映像作品の公開。アカウント連携機能のローンチと、連動キャンペーンの実施。
    • 3年目: 映像化の成功モデルをさらに横展開。アカウントデータを活用したパーソナライズドサービスの本格展開。
  • 次の一歩:
    まずは、保有IPの中で、グローバルでの映像化ポテンシャルが最も高いものは何かを市場調査・分析し、次期プロジェクトの優先順位を決定すべきです。

5. 学びの抽象化、今回の問題を通じて伝えたいこと

  • 企業のコアコンピタンスの特定: 企業の持続的成長を考える上で、時代が変わっても揺るがない「真の強み(コアコンピタンス)」は何かを見極めることが重要。任天堂の場合、それはハードウェアではなく、良質なIPとその創造力である。
  • 事業ドメインの再定義: ハードウェアのライフサイクルという「宿命」から脱却するためには、自社を単なる「ゲーム会社」ではなく、「IPを軸としたエンターテインメント企業」と再定義する視点が不可欠。
  • エコシステム戦略: 顧客を自社のサービス群(経済圏)に囲い込み、回遊させることでLTV(顧客生涯価値)を最大化するエコシステム戦略は、多くのプラットフォームビジネスにおいて有効な成長戦略である。

6. 差がつくポイント、元面接官からのコメント

  • 任天堂への深い理解: 単なるゲーマーとしての視点ではなく、任天堂のビジネスモデル(ハード・ソフト一体)、歴史(過去の成功と失敗)、経営哲学(故・岩田社長の「ゲーム人口の拡大」など)を理解した上で議論できているか。
  • SWOT分析の質: 各要素が単なる事実の羅列になっていないか。特に「強み」と「弱み」が表裏一体である点(例:ファミリー向けという強み vs コアゲーマーへの訴求力という弱み)など、複眼的な視点で分析できているか。
  • クロスSWOTの鋭さ: 分析から戦略への飛躍が論理的か。「強みであるIPを、機会であるメディアミックスに活かす」といったクロスSWOTの思考を明確に示せているか。特に「WT(弱み×脅威)」のリスク認識(ハード依存のリスク)を戦略の出発点にできているかは大きな差がつくポイント。
  • 施策の独自性と一貫性: 「映画を作る」「グッズを出す」という断片的な施策ではなく、それらを「My Nintendo」アカウントで繋ぎ、「IP経済圏」という大きな構想にまとめ上げられているか。戦略と打ち手に一貫したストーリーがあるか。
  • ディスカッションでの視座の高さ: 面接官との議論において、単なるゲームの話に終始せず、「エンターテインメント業界全体の動向」「IPビジネスの本質」「プラットフォーマーとしての戦略」といった高い視座で対話できるか。

まとめ:「SWOT分析」を戦略的思考の羅針盤として使いこなす

この記事では、戦略コンサルティングファームのケース面接における現状分析の基本フレームワーク「SWOT分析」について、その本質的な考え方から、任天堂を題材とした具体的なケース解説までを詳述してきました。

最後に、SWOT分析をあなたの思考の武器にするための要点を振り返ります。

「SWOT分析」とは?

企業の現状を内部環境(強み S, 弱み W)外部環境(機会 O, 脅威 T)に分け、プラス・マイナスの両面から構造的に整理するフレームワークです。

  • 目的: 現状を網羅的に把握し、分析から戦略的な示唆を導き出すための『橋渡し』。
  • ポイント: 内部環境は自社でコントロール可能、外部環境はコントロール困難という区別を徹底すること。

ケース面接での実践ポイント

  • 現状分析が起点となるお題で特に有効。
  • 単なる事実の羅列で終わらせない: 最も重要なのは、分析から「だから何が言えるのか?(So What?)」を引き出すこと。
  • クロスSWOT分析を意識する:
    • SO戦略(強み × 機会): 最も優先すべき攻めの戦略。
    • ST戦略(強み × 脅威): 強みを活かして脅威を乗り越える。
    • WO戦略(弱み × 機会): 弱みを克服し、チャンスを掴む。
    • WT戦略(弱み × 脅威): 最悪の事態を避ける防衛・撤退戦略。
      これらの掛け合わせで思考することで、分析が具体的な戦略の方向性へと繋がります。
  • 思考のツールとして活用する: SWOT分析は答えそのものではありません。あなたの思考を整理し、深め、面接官に分かりやすく伝えるための羅針盤として活用してください。

SWOT分析は、ビジネスの世界で広く使われている基本的なフレームワークだからこそ、その使いこなし方で思考の深さが如実に表れます。本記事で解説したポイントを意識して練習を重ね、ぜひあなたの強力な武器にしてください。あなたの挑戦が成功裏に終わることを心から応援しています。

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我々のチームが最初に考えたのが
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どういうやり方をするのが正解なのだろうか?
それについて考えるところから始まりました。

結論、我々が辿り着いた答えは
①学習する:プロから正しく学ぶ
②練習する:繰り返し練習し学んだことを自分の体に染み付かせる
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そこで、この「理想的な上達プロセス」に沿う形で
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このトレーニングの役割です。

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③実践&現状把握:模擬ケース面接

専属メンターと模擬面接を実施。
詳細なフィードバックをもらうことで
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1問を題材に「次に活かせる」学びを詳しく解説します。

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メンタリングの質へのこだわり

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参加特典

大谷

新卒でMBB2社に内定。Strategists卒業生。通常半年から1年ほど対策期間を要する新卒の戦略コンサル就活において、たった3ヶ月で内定を獲得。「内定獲得の秘訣は対策の量ではなく、質である」という考えから、現在は質の高いコンテンツ作成や指導を行っている。

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