「顧客視点で考えることが重要だとはわかっているけど、具体的にどうすれば…」
「打ち手を考えても、顧客のどの段階にアプローチすれば良いのかわからない」
戦略コンサルティングファームの選考、特にケース面接において、顧客理解の深さは戦略の質を左右する決定的な要素です。その顧客理解を構造的かつ動的に行うための強力なフレームワークがカスタマージャーニーマップです。
この記事では、実際にMBB(マッキンゼー、BCG、ベイン)の内定を獲得した筆者が、カスタマージャーニーの基本的な考え方から、ケース面接での実践的な使い方、そして陥りがちな失敗例までを、具体的なケース問題を交えながら徹底的に解説します。
この記事を読めば、カスタマージャーニーを単なるマーケティング用語としてではなく、顧客のインサイトを炙り出し、最適な打ち手を発見するための「思考の地図」として使いこなせるようになります。
1. カスタマージャーニーの基本的な考え方と使い方
まず、カスタマージャーニーがどのようなフレームワークなのか、その基本的な考え方を理解しましょう。
カスタマージャーニーとは?
カスタマージャーニーとは、顧客が製品やサービスを認知し、興味を持ち、購入し、最終的にファンになるまでの一連のプロセス(旅)を可視化したものです。
顧客が各段階で「何を考え(思考)」「何を感じ(感情)」「どのように行動し」「どこで接点を持つか(タッチポイント)」を時系列で描き出すことで、企業は顧客体験(CX: Customer Experience)全体を俯瞰し、課題や改善機会を発見することができます。
【視覚で理解するカスタマージャーニー】
ステージ | 認知・注意 | 興味・関心 | 比較・検討 | 購入 | 利用・継続 | 共有・推奨 |
---|---|---|---|---|---|---|
行動 | TVCMを見る | スマホで検索 | 口コミサイトを見る | 店舗へ行く | 商品を使う | SNSに投稿 |
思考 | 「こんな商品があるんだ」 | 「もう少し詳しく知りたい」 | 「A社とB社どっちがいい?」 | 「これを買おう」 | 「使いやすいな」 | 「みんなにも教えたい」 |
感情 | ワクワク | 期待 | 悩み | 満足 | 愛着 | 共感 |
タッチポイント | テレビ、SNS広告 | Webサイト、ブログ | 比較サイト、SNS | 店舗、ECサイト | 製品本体、サポート | SNS、口コミサイト |
ケース面接におけるカスタマージャーニーの役割
ケース面接において、カスタマージャーニーは特に以下の2つの場面で強力な武器となります。
- 課題の特定: 顧客体験のどの段階で顧客が離脱しているのか(ボトルネック)、あるいは不満を感じているのか(ペインポイント)を特定する。
- 施策の立案: 特定した課題に対し、「どの段階」の「誰」に「どのような」アプローチをすれば最も効果的かを具体的に設計する。
他のフレームワークとの違い
- 購買ファネル(AIDMA/AISASなど)との違い:
AIDMA(Attention, Interest, Desire, Memory, Action)やAISAS(Attention, Interest, Search, Action, Share)といった購買ファネルは、顧客の心理変容を直線的なプロセスとして捉えます。
一方、カスタマージャーニーは、より現実に近い複雑で非直線的な顧客の行動や感情の起伏までを捉えようとする点で異なります。ファネルが「認知から購買までの量的な転換率」を見るのに適しているのに対し、カスタマージャーニーは「各接点での質的な体験」を分析するのに適しています。 - 4P分析との関係:
4P分析が企業視点でのマーケティング施策を考えるのに対し、カスタマージャーニーは顧客視点での体験を分析します。実践的には、カスタマージャーニーで顧客の課題を特定した後、その課題を解決するための具体的な打ち手を4P分析で構造化する、という流れで使うと効果的です。
カスタマージャーニーは、企業目線から顧客目線へと強制的に視点を切り替えさせ、顧客への深い共感を促すためのフレームワークなのです。
2. ケース面接でカスタマージャーニーが活きるお題の見極め方とポイント
カスタマージャーニーは、特に顧客体験(CX)がビジネスの成否を大きく左右する業界やテーマで絶大な効果を発揮します。このフレームワークが有効に機能するお題を見極め、効果的に活用するためのポイントを理解しましょう。
カスタマージャーニーが活きるお題の典型パターン
以下のような、顧客の購買プロセスやサービス利用プロセスが複雑、あるいは長期にわたるお題では、カスタマージャーニーを思考の軸とすることを検討しましょう。
- BtoCの店舗ビジネス・サービス業の売上向上
- お題例:
- 「アパレル店舗の売上を向上させるには?」
- 「あるホテルのリピート率を改善するには?」
- 「美容室の新規顧客を獲得するには?」
- なぜ活きるか: これらのビジネスでは、顧客が来店する前から、店内で過ごす時間、そして退店後に至るまで、一連の体験そのものが価値となります。カスタマージャーニーを描くことで、来店前の認知・検討段階の課題や、店内での体験の改善点、退店後の再来店に繋がる接点の創出といった、多岐にわたる論点を網羅的に洗い出すことができます。
- お題例:
- 高関与商材(検討期間が長い、高価格な商品)のマーケティング戦略
- お題例:
- 「自動車メーカーA社のEV(電気自動車)の販売台数を増やすには?」
- 「ある不動産会社の住宅販売件数を向上させるには?」
- なぜ活きるか: 自動車や住宅のような高関与商材では、顧客は衝動買いをせず、SNSでの情報収集、Webサイトでの比較、ショールームでの体験、家族との相談など、長く複雑な検討プロセスを経ます。カスタマージャーニーマップでこのプロセスを可視化することで、各段階で顧客がどのような情報を求めているのか、どのような不安を感じているのかを理解し、適切なタイミングで適切なアプローチを仕掛けることができます。
- お題例:
- サブスクリプションモデルなど、継続利用が重要なビジネス
- お題例:
- 「ある動画配信サービスの解約率を下げるには?」
- 「フィットネスジムの会員継続率を向上させるには?」
- なぜ活きるか: サブスクリプションモデルでは、「購入(契約)」はスタート地点に過ぎません。その後の「利用(オンボーディング)」「継続」「推奨」というプロセスが事業の成否を分けます。カスタマージャーニーで契約後の顧客体験を描き、顧客が価値を感じられずに離脱してしまう「死の谷」を特定し、そこを乗り越えるための施策を考えることが極めて重要です。
- お題例:
ケース面接でカスタマージャーニーを使う際のポイント
- ペルソナを具体的に設定する:
誰の「旅」を描くのかを明確にするために、まず具体的なターゲット顧客像(ペルソナ)を設定しましょう。「20代女性」ではなく、「都心で働く28歳独身女性、流行に敏感で週末は友人とショッピングを楽しむ」のように、解像度を高く設定することで、その後の思考や感情の分析がリアルになります。 - ステージ(段階)を適切に設定する: ビジネスモデルに合わせて、ジャーニーのステージを適切に設定することが重要です。一般的な「認知→興味→検討→購入→利用→推奨」だけでなく、お題に応じてカスタマイズしましょう。
- 例(ホテル): 「旅行計画」→「情報収集・比較」→「予約」→「旅行前」→「滞在中」→「チェックアウト後」
- ネガティブな感情(ペインポイント)に注目する:
顧客体験の課題を発見するためには、顧客がどのような場面で「不便」「不安」「不満」「面倒」といったネガティブな感情を抱くか(=ペインポイント)を特定することが鍵となります。このペインポイントこそが、最大の改善機会です。 - 思考や感情の「WHY」を深掘りする:
各ステージでの顧客の行動だけでなく、「なぜそう考えたのか?」「なぜそう感じたのか?」を深掘りすることで、顧客のインサイト(深層心理)に迫ることができます。このインサイトが、ユニークで効果的な打ち手の源泉となります。
カスタマージャーニーは、企業が陥りがちな「プロダクトアウト(作り手目線)」の発想から脱却し、真の「マーケットイン(顧客目線)」で思考するための強力なツールです。顧客になりきって、その「旅」を追体験する意識で取り組みましょう。
3. カスタマージャーニー活用の罠:ケース面接でやりがちな失敗例
カスタマージャーニーは顧客理解を深める強力なツールですが、使い方を誤ると、ただの「お絵描き」で終わってしまい、戦略的な示唆に繋がらない危険性があります。ここでは、ケース面接で陥りがちな失敗例とその回避策を解説します。
失敗例1:「理想の旅」を描いてしまう妄想型
- 症状:
顧客のリアルな行動や感情を分析するのではなく、「こうあってほしい」という企業側の理想的な顧客行動を描いてしまう。全てのステージで顧客がポジティブな感情を持ち、スムーズに購買・推奨に至る、都合の良いストーリーを作ってしまう。 - なぜダメなのか:
カスタマージャーニーの目的は、顧客体験の「課題(ペインポイント)」を発見することにあります。理想の姿だけを描いても、どこを改善すべきかという論点が見えてきません。現実から目を背けた分析は、何一つ示唆を生み出さないのです。 - 回避策:
- 常に「ペインポイント(不満・不安)」を探す意識を持つ: 各ステージで、「顧客が面倒だと感じるところはないか?」「不安になる瞬間はないか?」「期待外れだと感じる部分はないか?」と、あえてネガティブな側面に光を当てましょう。
- 客観的な事実や一般的な行動をベースにする: 自分の経験だけでなく、「一般的に、服を買うときは何を参考にするだろうか?」「店舗で試着するとき、どんなことが気になるだろうか?」といった客観的な視点で顧客行動を捉えましょう。
失敗例2:「行動」の記述だけで終わる観察日記型
- 症状:
カスタマージャーニーの各ステージで、顧客の「行動」(例:「スマホで検索する」「店舗に行く」「試着する」)を時系列で並べるだけで終わってしまう。その行動の裏にある「思考」や「感情」にまで踏み込めていない。 - なぜダメなのか:
重要なのは、顧客が「何をしたか」だけでなく、「なぜその行動を取ったのか」です。行動の背景にある思考や感情を理解しなければ、本質的な課題解決には繋がりません。例えば、「試着したが買わなかった」という行動の裏には、「値段が高いと感じた」「店員の接客が気になった」「もっと良いものがあるかもしれないと思った」など、様々な思考・感情が隠れています。 - 回避策:
- 各行動に対して「なぜ?」を問いかける: 「なぜ検索したのか?(→比較したいから)」「なぜ試着したのか?(→サイズ感を知りたいから)」のように、常に行動の背景にある動機や目的を深掘りしましょう。
- 感情の起伏を意識する: ポジティブな感情(ワクワク、満足)とネガティブな感情(不安、不満)の浮き沈みを曲線で描いてみるなど、感情の変化を可視化すると、課題点が明確になります。
失敗例3:ペルソナが曖昧な「みんなの旅」型
- 症状:
ターゲット顧客(ペルソナ)を具体的に設定せず、「顧客は〜」という大きな主語でジャーニーを描いてしまう。その結果、様々な顧客層の行動や思考が混ざってしまい、矛盾したジャーニーマップが出来上がる。 - なぜダメなのか:
20代の学生と40代のビジネスパーソンでは、情報の収集方法も、購買の意思決定プロセスも、重視する価値も全く異なります。ペルソナが曖昧だと、分析の焦点がぼやけ、打ち手も誰にも響かない総花的なものになってしまいます。 - 回避策:
- 最初にペルソナを明確に定義する: 「今回分析する顧客は、〇〇というニーズを持つ△△な人です」と、ジャーニーを描き始める前にペルソナを明確に定義し、面接官と共有しましょう。
- 必要であれば複数のジャーニーを描く: もし複数の重要な顧客セグメントが存在する場合は、「今回はまず〇〇というセグメントのジャーニーを考え、次に△△のジャーニーとの違いを考えます」のように、分けて分析するアプローチも有効です。
これらの失敗例を避けるためには、カスタマージャーニーを「特定の顧客ペルソナになりきり、そのリアルな体験(特にネガティブな側面)を追体験することで、本質的な課題を発見するための思考実験」と正しく位置づけることが不可欠です。次の章では、これらのポイントを踏まえ、具体的なケース問題の解説に挑戦します。
4. 【ケース面接 過去問解説】アパレル店舗の売上向上施策
ここからは、これまでの解説を踏まえ、カスタマージャーニーを思考の軸としたケース問題の思考プロセスを、ステップバイステップで解説していきます。
1. 前提設定、問題の背景の言語化
お題:クライアントは、20代〜30代の働く女性をターゲットにした、きれいめカジュアル系のオリジナルブランドを展開するアパレル企業です。全国のファッションビルに50店舗を展開していますが、近年、店舗の売上が伸び悩んでいます。原因を特定し、店舗売上を向上させるための施策を提案してください。
- 面接官への確認事項(デモ):
- スコープ: 「議論の対象は、EC売上を除く『リアル店舗』の売上向上に限定します。また、商品企画や製造といった上流工程ではなく、あくまで店舗での販売活動に焦点を当てて考えてよろしいでしょうか?」
- 売上減少の内訳: 「売上減少の要因は、客数の減少、客単価の低下、どちらの影響が大きいでしょうか?(面接官:特に、一度来店しても購入に至らない『購買転換率(CVR)』の低下が課題です)」
- クライアントの状況: 「ブランドの知名度は一定程度あり、SNSでの発信など、基本的なマーケティング活動は行っている、という前提でよろしいでしょうか?」
これらの確認により、課題が「店舗に来た顧客が、なぜか購入せずに帰ってしまう」という、より具体的な論点に絞り込まれます。この「来店から退店までの顧客体験」を深掘りするために、カスタマージャーニーが極めて有効なフレームワークであると判断できます。
2. 仮説創出のための業界・商材の特徴分析
- アパレル業界の特性:
- トレンドの移り変わりが早い。
- オンライン(EC)とオフライン(店舗)の連携(OMO)が重要。
- SNS(特にInstagram)での情報発信やインフルエンサーの影響力が大きい。
- ターゲット顧客(20代〜30代働く女性)のインサイト(仮説):
- 購入前にSNSやWebで情報収集・比較検討を行うのが当たり前。
- 店舗には「実物を見たい」「試着したい」「新しい発見をしたい」という目的で来店。
- 店員からの過度な接客を嫌う傾向がある一方、的確なアドバイスは求めている。
- タイムパフォーマンスを重視し、無駄な待ち時間や探し回ることを嫌う。
3. 論点の構造化:カスタマージャーニーによる課題の深掘り
ペルソナ設定:
- 都内のIT企業に勤める28歳女性。
- オフィスカジュアルにも休日にも使える、きれいめな服が好き。
- 普段はInstagramやファッションサイトで情報収集。
- 週末に友人と会う前に、ふらっと店舗に立ち寄る。
カスタマージャーニーマップ(来店〜退店)によるペインポイントの洗い出し
ステージ | 行動 | 思考・感情(ペインポイント仮説) | タッチポイント |
---|---|---|---|
①入店 | 店舗の前を通りかかり、ディスプレイを見て入店する。 | ・「入りたいけど、店員さんにすぐ話しかけられそう…」(心理的障壁) ・「店内が混んでて見づらそう…」 | 店舗外観、ディスプレイ |
②商品探索 | 店内を回り、気になる商品を手にとる。 | ・「欲しいアイテムがどこにあるかわかりにくい」(探しにくさ) ・「手に取ったけど、どうコーディネートすればいいかわからない」 | 商品、POP、店内レイアウト |
③試着 | 気になった商品を試着室で試着する。 | ・「試着室が空いてない…並ぶのは面倒」(待ち時間) ・「サイズが合わない…他のサイズを探しに行くのが手間」(在庫確認の手間) ・「店員さんを呼ぶのが気まずい」 | 試着室、店員 |
④接客 | 店員に相談したり、コーディネート提案を受けたりする。 | ・「話しかけてきたけど、あまり私の好みをわかってくれていない」(提案のミスマッチ) ・「グイグイこられて断りにくい…」 | 店員 |
⑤購入検討 〜退店 | 購入を迷う。今回は見送って店を出る。 | ・「値段が少し高いかな…ECのセールまで待とうかな」(価格への躊躇) ・「手持ちの服と合うか不安。一度家に帰って考えたい」 ・「何も買わずに店を出るのが気まずい」 | 値札、レジ、店員 |
分析から得られる示唆・論点(KSFの特定)
ジャーニーを描くことで、CVR低下の要因として「探す・試着する・相談する」といった各ステップにおける小さなストレス(フリクション)の積み重ねや、オンライン(EC)との比較による購買の先延ばしが根本的な課題であるという仮説が立てられます。
したがって、KSF(成功要因)は、「店舗ならではの価値(実物確認、試着、相談)を最大化しつつ、オンラインにはない『今ここで買いたい』と思わせるシームレスで心地よい購買体験を提供すること」であると結論付けられます。
4. 打ち手
特定したKSFに基づき、具体的な施策を提言します。
- スタンスと施策の絞り込み:
複数のペインポイントが存在するが、特に「試着」フェーズは購入意思決定に最も影響を与える重要な段階であり、かつ改善の余地が大きい。ここにフォーカスした施策を推奨する。 - 具体的な施策(How to win):
- コンセプト: 「『試着』をエンターテイメントに変える、次世代フィッティング体験の提供」
- 施策内容:
- 試着室のDX化(テクノロジー活用):
- サイネージ付き試着室の導入: 試着室内に大型のタッチパネルを設置。
- 在庫連携: 試着した商品の色違い・サイズ違いの在庫をその場で確認・取り寄せ依頼できる。
- リコメンド機能: 試着した商品に合うコーディネートアイテム(ボトムス、小物など)をパネル上に表示し、追加の試着を促す(クロスセル)。
- オンライン連携: 気に入った商品をその場で購入せず、ECサイトのお気に入りリストに登録できる機能。
- 予約システムの導入: スマホアプリから試着室の空き状況確認と予約ができるようにし、待ち時間を解消。
- サイネージ付き試着室の導入: 試着室内に大型のタッチパネルを設置。
- 接客スタイルの変革:
- 店員は、顧客がサイネージで助けを求めるまで基本的に話しかけない「サイレント接客」を導入。過度な接客によるストレスを排除。
- 一方、助けを求められた際は、サイネージに表示される顧客情報(過去の購入履歴やお気に入りリストなど)を基に、パーソナライズされた的確なアドバイスを提供する。
- 試着室のDX化(テクノロジー活用):
- リスクと次の一歩:
- リスク: システム導入への初期投資コスト。店員のオペレーション変更への対応。
- 次の一歩: まずは旗艦店となる数店舗で実証実験を開始。システムのUI/UX改善や、最適な接客オペレーションを確立した上で、全店展開の投資対効果を検証する。
5. 学びの抽象化、今回の問題を通じて伝えたいこと
- 顧客体験は「点」ではなく「線」で捉える: 顧客の満足度は、一つの優れたサービスだけでなく、ジャーニー全体の体験の連なりによって決まる。ボトルネックは意外な「小さな不満」の積み重ねかもしれない。
- オフライン(店舗)の価値の再定義: ECが当たり前になった時代において、店舗が提供すべき価値は、単なる「商品を売る場所」から、「商品を体験し、ブランドの世界観を感じ、新たな発見をする場所」へと変化している。
- テクノロジーは顧客体験向上のための手段: DXは目的ではなく、顧客のペインポイントを解消し、より良い体験を提供するための手段である。
6. 差がつくポイント、元面接官からのコメント
- ペルソナの解像度: 「20代働く女性」のインサイトをどれだけリアルに描写できているか。自身の経験や周りの友人などを基に、手触り感のある課題を提示できるか。
- ジャーニーの網羅性と具体性: 顧客が店舗で体験する一連の流れを、モレなく、かつ具体的に分解できているか。「入店→探索→試着→購入」といった大枠だけでなく、その間にある細かな行動や感情の機微を捉えられているか。
- 課題と施策の直結: 特定したペインポイント(例:「試着室での在庫確認の手間」)と、提案する施策(例:「試着室のDX化」)が、明確に因果関係で結びついているか。
- OMO(Online Merges with Offline)の視点: 店舗の課題解決を考える際に、ECサイトとの連携を視野に入れ、オンラインとオフラインを横断した顧客体験全体を設計できているか。
- 実現可能性への言及: 先進的な施策を提案する際に、その導入コストやオペレーションへの影響といったビジネス的な制約にも目を向け、現実的な導入ステップ(例:テスト導入)まで言及できると評価が高い。
5. まとめ:カスタマージャーニーを使いこなし、ケース面接を突破する
本記事では、顧客理解を深めるための強力なフレームワークであるカスタマージャーニーについて、その基本的な考え方から、ケース面接での実践的な活用法、陥りがちな罠、そして具体的な過去問(例題)を用いた思考プロセスまでを徹底的に解説しました。
カスタマージャーニー攻略の要点まとめ
- カスタマージャーニーとは?
- 顧客が製品やサービスを認知してからファンになるまでの一連のプロセス(旅)を、行動・思考・感情・タッチポイントの観点から可視化したもの。
- ケース面接での活かし方:
- 特にBtoCビジネスや顧客体験(CX)が重要なテーマで有効。
- 顧客のペインポイント(不満・不安)やボトルネック(離脱点)を特定し、具体的な改善施策の論点を洗い出すために活用する。
- 成功の鍵と失敗の罠:
- 成功の鍵: ①具体的なペルソナを設定する、②顧客のネガティブな感情に注目する、③行動の裏にある「思考・感情」を深掘りする。
- 失敗の罠: ①企業側の理想を描いてしまう、②行動の羅列だけで終わる、③ペルソナが曖昧で誰の旅かわからないこと。
重要なのは、カスタマージャーニーマップを綺麗に作ること自体が目的ではない、ということです。ツールを通じて顧客の立場になりきり、そのリアルな体験を追体験することで、データだけでは見えてこない「インサイト」を発見し、真に顧客のためになる打ち手を考える。この「顧客への共感力」こそが、コンサルタントに求められる重要な資質なのです。
ケース面接は、あなたの論理的思考力だけでなく、顧客やビジネスに対する深い洞察力も見ています。カスタマージャーニーという武器を使いこなすことで、説得力のある顧客起点の戦略を構築する能力を面接官に力強く示すことができるでしょう。
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1問を題材に「次に活かせる」学びを詳しく解説します。

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