ケース面接対策

パレートの法則とは|80対20の意味と上位の原因をパレート図で絞り込む方法を解説【ケース面接】

経済学者のヴィルフレド・パレートが所得の分布に当てはめた法則は、国の所得の80%を人口の20%が得ているというものでした。ただ、原因がいくつも挙がるお題を前にすると、80対20という数字だけではどの原因に手を打つかを決められません。

いまパレートの法則は、少数の原因が結果の大部分を占めるという目安として使われています。ケース面接では80対20の比率に合わせて考えず、お題の目的に合う基準(件数・時間・金額)で原因ごとの大きさを測り、大きい順に並べて、上位の原因に打ち手を絞りましょう。

この記事では、パレートの法則の意味から、上位の原因に手を打った後に残る原因の扱いまで解説します。

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所得の偏りから生まれたパレートの法則

パレートの法則の80対20という数字は、パレートが所得の分布に見た偏りに由来します。この法則がどうして原因を絞る道具になったのかと、80対20をどこまで当てにしてよいかを確認しましょう。

パレートが所得の分布に当てはめた法則

パレートの法則(80対20の法則)は、もともとイタリア生まれの経済学者ヴィルフレド・パレート(1848〜1923年)が所得の分布に当てはめた法則です。この法則では、国の所得の80%を人口の20%が得ているとされます。パレートは1895年に、比較的少数の人が富の大部分を持っていることも観察しています。

所得と富は別の指標なので、面接で由来を話すときは、80対20を所得の分布の話として伝え、1895年の富の観察と混ぜないようにしましょう。

出典:Oxford Reference「Pareto’s Rule (80/20 rule)」(A Dictionary of Business and Management (6 ed.))、Juran Institute「Pareto Principle (80/20 Rule) & Pareto Analysis Guide」

ジュランが名付けた重要な少数

パレートらが観察した偏りを、経済の話にとどめずに捉え直した人物に、ジョセフ・ジュラン博士がいます。ジュランは、パレートらが観察したことは経済活動に限らず多くの場面に当てはまり、品質の問題では例外なく成り立つように見えると最初に指摘しました。1950年代初めには、共通の結果を生む要因の集まりでは比較的少数の要因が結果の大部分を占めるという現象を、パレートの原則と名付けました。

ジュランは、結果の大部分を占める少数をvital few(重要な少数)と呼び、残りの多くの要因をuseful manyまたはtrivial manyと呼んでいます。こうしてパレートの法則は、経済の話から離れ、結果を生む原因の中から重要な少数を探す道具として使われるようになりました。ケース面接でも原因がいくつも挙がったら、結果の大部分を占める少数の原因はどれかと考えてみましょう。

出典:Juran Institute「Pareto Principle (80/20 Rule) & Pareto Analysis Guide」

80対20は目安の比率

80対20の比率は、目安(rule of thumb)として、所得以外のさまざまな場面に当てはめられています。目安の例として、次の4つが挙げられています。

  • 在庫の20%に集まる価値の80%
  • 交換部品の品ぞろえの20%で直せる車の故障の80%
  • 製品の20%から生まれる会社の利益の80%
  • 起こりうる原因の20%が引き起こすシステム障害の80%

4つは目安として当てはめた例で、統計の結果として示されたものではありません。そのためケース面接では、80対20を確定した事実のように言わず、少数の原因に偏っているのではないかという仮説として使いましょう。原因を何で比べるかによって、上位に来る原因そのものが入れ替わることもあります。

出典:Oxford Reference「Pareto’s Rule (80/20 rule)」(A Dictionary of Business and Management (6 ed.))

パレート図で上位の原因を見つける

少数の原因に偏っているという仮説は、原因ごとの大きさを比べて大きい順に並べると確認できます。業務の負荷や費用、クレームのように原因がいくつも挙がるお題では、何で比べ、どう並べ、どこで区切るかを決めましょう。

原因を比べる基準はお題の目的で決める

原因を比べる基準は、件数、時間、金額などの中から、お題の目的に合わせて選びましょう。目的が業務の時間や費用を減らすことなら、件数ではなく、原因ごとにかかる時間や金額で比べる必要があります。件数が多い原因でも、1件にかかる時間が短ければ、時間で比べたときに順位が下がることがあります。

比べる基準を変えると上位に来る原因が入れ替わることがあるため、並べる前に、何で比べるかを面接官に伝えておきましょう。Strategistsは、並べた順位を人に説明する練習をすると、「何で比べた順位か」と尋ね返されたかどうかで、比べる基準を伝え忘れていないかを確認できると考えています。

大きい順に並べて累積の割合を出す

原因ごとの大きさを測ったら、パレート図を作って上位の原因を確認しましょう。パレート図は、全体の問題に対して各要因が与える影響の大きさを表す図で、要因を大きい順に並べ、上位2つ、上位3つと順に足した累積の影響も表示します。

一般には、要因ごとの値を大きい順の棒グラフにし、累積の割合を折れ線で重ねて、左の縦軸に値を、右の縦軸に累積の割合を取ります。累積の割合の分母は、すべての要因を足した合計です。ケース面接で図を描く時間がなくても、紙に要因を大きい順に書き、値と累積の割合を横に書き添えれば同じ確認ができます。

出典:Juran Institute「Pareto Principle (80/20 Rule) & Pareto Analysis Guide」

上位の区切りは累積の伸びが鈍るところ

上位の原因は、累積の割合が80%に届く位置で機械的に区切らず、累積の伸びが鈍るところで区切りましょう。重要な少数と残りの多くの要因の間には、はっきりした区切りがないこともあり、その状態はAwkward zoneと呼ばれます。

区切りがはっきりしないときは、打ち手を何種類まで実行できるかと、上位の原因に手を打ったときに目標に届くかで、どこまでを上位にするかを決めましょう。

出典:Juran Institute「Pareto Principle (80/20 Rule) & Pareto Analysis Guide」

コールセンターの打ち手をパレートの法則で絞る例題

件数で並べた順位と対応時間で並べた順位は、問い合わせの種類によって入れ替わることがあります。通販会社のコールセンターを題材に、ケース面接の練習として、比べる基準の選び方から上位の区切り方、打ち手の効果の計算まで、1問通して解いてみましょう。

業務の負荷を月の対応時間で測る

例えば、健康食品と化粧品を通信販売する中堅のJ社で、問い合わせが増えてオペレーターの負荷が高まり、電話がつながりにくくなっているとします。このコールセンターの業務の負荷を減らす方法を考えるお題です。

解き始める前に、コールセンターの役割、業務の負荷を何で測るか、目標、守る条件を面接官に尋ねると、次の答えが返ってきたとします。

  • 役割:注文の受付、商品についての質問、返品や交換、定期購入の解約や変更、クレームなどの電話対応
  • 負荷の測り方:オペレーターの月の対応時間(1件の通話と後処理の合計×月の件数)
  • 目標:月の対応時間を今より20%減らすこと(これで電話がつながりにくい状態が解消する)
  • 制約:オペレーターの人数は変えないこと

比べる基準が月の対応時間に決まり、オペレーターの人数も増やせないので、問い合わせの種類ごとに件数と1件あたりの対応時間を掛けて、月の対応時間を出しましょう。

件数と対応時間で入れ替わる順位

面接官に尋ねると、月の問い合わせは30,000件で、8種類に分かれていたとしましょう。種類ごとの月の件数と1件あたりの対応時間(通話と後処理の合計)から、月の対応時間を出すと次の表になります。

種類月の件数1件あたりの対応時間月の対応時間対応時間の割合
定期購入の解約や変更4,500件12分4,500件×12分=54,000分22.5%
商品の成分や使い方の質問6,000件8分6,000件×8分=48,000分20%
返品や交換3,000件15分3,000件×15分=45,000分18.75%
配送状況の確認9,000件4分9,000件×4分=36,000分15%
注文の受付4,500件6分4,500件×6分=27,000分11.25%
クレーム600件30分600件×30分=18,000分7.5%
支払いや請求の確認1,800件5分1,800件×5分=9,000分3.75%
その他600件5分600件×5分=3,000分1.25%
合計30,000件-240,000分-

月の対応時間の合計は240,000分(4,000時間)で、対応時間の割合はこの240,000分を分母にしています。件数で並べると、1位は配送状況の確認の9,000件(30,000件の30%)、2位は商品の成分や使い方の質問の6,000件(20%)です。定期購入の解約や変更は4,500件で、注文の受付と並ぶ件数の3位にとどまります。

ところが対応時間で並べると、1位は定期購入の解約や変更の54,000分(240,000分の22.5%)で、配送状況の確認は36,000分(15%)の4位に下がります。配送状況の確認は1件4分と短く、解約や変更は1件12分と長いため、件数×1件の時間で比べると54,000分と36,000分で解約や変更が上回る計算です。

対応時間の累積の割合は、上位から22.5%、42.5%、61.25%、76.25%と伸び、8種類のうち上位3種類(37.5%)で61.25%を占めています。80対20にはなっていないものの、対応時間は上位の少数の種類に偏っています。ただ、累積に加わる割合は22.5%、20%、18.75%、15%と少しずつ小さくなるだけなので、累積の伸びが鈍るところを探しても、どこで区切るかを決められません。

対応時間の上位2種類に打ち手を絞る

目的が対応時間を減らすことなので、打ち手を向ける種類は対応時間で並べた上位から選びましょう。累積の伸びでは上位を区切れないため、上位に含める種類の数は、手を打ったときに目標に届くかを見て決めることになります。

打ち手の効果と費用を尋ねると、面接官は、打ち手は種類ごとに1つで、どれもその種類の月の件数の50%の電話がオペレーターに来なくなり、費用もほぼ同じだと答えたとします。面接官が示した種類ごとの打ち手は、次のとおりです。

  • 定期購入の解約や変更:Web上で解約や変更の手続きができる仕組み
  • 商品の成分や使い方の質問:よくある質問のページとチャットボット
  • 配送状況の確認:発送時のメールで配送状況を確認できる仕組み

目標は240,000分×20%=48,000分を減らすことです。電話が50%減るなら、減る時間はその種類の月の対応時間の半分になるため、対応時間の大きい種類ほど多く減ります。

対応時間が1位の解約や変更だけに手を打つと、54,000分×50%=27,000分が減るものの、目標の48,000分には届かない計算です。2位の成分や使い方の質問にも手を打つと、48,000分×50%=24,000分が加わり、合わせて51,000分(850時間)になります。

51,000分÷240,000分=21.25%で目標の20%を上回るので、打ち手は上位2種類の解約や変更と成分や使い方の質問に絞りましょう。打ち手の後の月の対応時間は240,000分−51,000分=189,000分で、今の78.75%になるため、検算でも20%以上減っていると確認できます。

件数の上位に打ち手を向けた場合との比較

件数で並べた上位2種類、配送状況の確認と商品の成分や使い方の質問に打ち手を向けた場合も、計算しておきましょう。配送状況の確認で36,000分×50%=18,000分、成分や使い方の質問で24,000分が減り、合計は42,000分です。42,000分÷240,000分=17.5%で、目標の48,000分まで6,000分足りない計算になります。

配送状況の確認は件数では1位でも1件4分と短く、電話を半分にしても減る時間は18,000分で、解約や変更の27,000分を下回ります。件数の多さだけで打ち手の向け先を選ぶと、目標に届かない打ち手を薦める結果になるため、面接官には時間で比べた順位を根拠に結論を伝えましょう。

解約や変更の電話がWebに移る割合の下限

結論は、電話の半分がWebに移るという面接官の仮定に支えられているため、移る割合がどこまで下がっても目標に届くかを確認しましょう。成分や使い方の質問で24,000分減るとき、目標の48,000分に届くには、残りの48,000分−24,000分=24,000分を解約や変更で減らす必要があります。24,000分÷12分=2,000件で、2,000件÷4,500件≒44.4%なので、解約や変更の電話の約44%以上がWebに移れば目標に届きます。

Webに移る割合が40%にとどまると、減る時間は4,500件×40%×12分=21,600分で、24,000分と合わせても45,600分です。目標まで2,400分足りないため、2種類に手を打った後の残りを時間で並べ直し、次に大きい返品や交換(45,000分)にも打ち手を向けると添えましょう。

面接官には、解約や変更と成分や使い方の質問の2種類に打ち手を絞り、解約や変更の電話の約44%以上がWebに移ることを条件として伝えてください。

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パレートの法則を使うときの注意点

例題で返品や交換が次の候補に残ったように、上位の原因に打ち手を絞っても、残りの原因が消えるわけではありません。残った原因と売上の少ない商品の扱い方を決め、パレートの法則より因数分解が合うお題も見分けましょう。

上位に手を打ったら残りを並べ直す

上位の原因に手を打ったら、残りの原因を同じ基準で並べ直し、次の打ち手を決めましょう。限られた資金の使い道を決めるときは、最も重要な20%の問題を優先し、それらを取り除くと、残りの問題に再び80対20の法則が当てはまるとされています。例題のJ社でも、2種類の電話が減った後は、対応時間が45,000分の返品や交換が最も大きい種類になり、次の打ち手の候補になります。

出典:Oxford Reference「Pareto’s Rule (80/20 rule)」(A Dictionary of Business and Management (6 ed.))

残りの原因はまとめて減らせる打ち手を探す

残りの多くの原因に今すぐ手を打つか、後回しにするかを決めるときは、まとめて扱える打ち手があるかを見ましょう。品質改善のチームの例では、残りの要因(useful many)は1つずつ直しても品質は大きく上がらないため、まとめて扱える簡単な解決策がない限り、当面はチームの課題から外すとされています。

例題のJ社なら、対応時間の割合が3.75%の支払いや請求の確認と、1.25%のその他の問い合わせを1種類ずつ別の打ち手で減らしても、減る対応時間はわずかです。ただし、成分や使い方の質問のために作るよくある質問のページに支払いや請求の確認の答えも載せるように、複数の種類の電話をまとめて減らせる打ち手があるなら、残りの種類にもその打ち手を使いましょう。

出典:Juran Institute「Pareto Principle (80/20 Rule) & Pareto Analysis Guide」

ケース面接で売上の少ない商品を切る前に尋ねること

売上を伸ばすお題でパレートの法則を使い、売上の少ない数多くの商品や顧客を切ろうと考える方もいるでしょう。売上の少ない商品でも数が多ければ、合計すると無視できない大きさになるという、ロングテールと呼ばれる見方もあります。売上の少ない商品を目当てに来た客が主力の商品も買っていく場合は、切った後に主力の売上まで減るおそれもあります。

下位の商品や顧客を切ると答える前に、その合計の売上と、主力の商品の売上とのつながりを面接官に尋ねましょう。事業の形によって、上位に集中するか下位の多くの商品や顧客も生かすかの答えは変わるため、尋ねた数字を根拠にどちらを選ぶかを伝えてください。

差の原因を式で探すお題には因数分解を使う

目標や計画との差の原因を探すお題では、パレートの法則より、売上や受注額を要素に分けて式に表し、要素ごとに計画と比べる因数分解が合います。パレートの法則は、原因の種類ごとの大きさを共通の基準で測って大きい順に並べ、上位に打ち手を絞るときに使います。お題を聞いたら、差がどの要素から生まれたかを探すのか、どの種類の原因に打ち手を向けるかを選ぶのかを見分けて、使う道具を決めましょう。

まとめ

パレートの法則で上位に来る原因は、件数・時間・金額のどれで比べるかによって入れ替わることがあります。コールセンターの例題でも、件数で1位だった配送状況の確認は対応時間では4位で、打ち手を向ける先が変わりました。原因を大きい順に並べる前に、お題の目的から何で比べるかを決めることが欠かせません。

ある週の自分の時間の使い道を用事ごとに書き出し、回数で並べた順位と、かかった時間で並べた順位を比べてみましょう。順位が入れ替わったら、何で比べたかを添えて上位の用事を説明し、続けてJ社の例題を工場の不良品の種類など別の題材と数字に替えて解き直してください。

本記事のテーマを頭で理解しても、実際のケース面接で使いこなせるかどうかは別問題です。
「示唆が出せない」「分析が浅い」といった課題は独学では気づきにくく、放置すると本番まで改善されないまま終わることも少なくありません。

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結論、我々が辿り着いた答えは
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②練習する:繰り返し練習し学んだことを自分の体に染み付かせる
③実践する:実践で到達度や課題を明確化する
→①②に戻る
というサイクルを回すことが「理想的な上達プロセス」
なのではないか?ということでした。

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課題ケース演習の流れ

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