ケース面接対策

【マッキンゼーの7Sとは】MBB内定者がフレームワークの使い方をわかりやすく解説|具体例で学ぶ⑮

「企業の組織改革を考えよ、と言われても、漠然としていてどこから分析すればいいかわからない…」
「マッキンゼーの7Sって聞いたことあるけど、7つも要素があって複雑そう…」

戦略コンサルティングファームのケース面接では、売上向上や新規事業立案といった「事業戦略」だけでなく、「組織」に関するお題が出されることがあります。どんなに優れた戦略も、それを実行する「組織」が伴わなければ絵に描いた餅に終わってしまいます。

この複雑で捉えどころのない「組織」というものを、構造的に分析するための強力なフレームワークが「マッキンゼーの7S」です。

この記事では、実際にMBB(マッキンゼー、BCG、ベイン)の内定を獲得した筆者が、組織分析の古典的フレームワークである「マッキンゼーの7S」について、その基本的な考え方から、ケース面接での実践的な使い方、よくある失敗例までを、具体的なケース(JTCの組織改革)を交えながら徹底的に解説します。

この記事を通じて、7Sを用いた組織診断の考え方や、実効性のある組織改革提案のヒントを得られるはずです。



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マッキンゼーの7Sとは?基本的な考え方をケース面接向けに解説

まず、「マッキンゼーの7S」がどのようなフレームワークなのか、その基本構造と本質を理解しましょう。

マッキンゼーの7Sは、その名の通り、世界的なコンサルティングファームであるマッキンゼー・アンド・カンパニーが開発した、優れた組織に共通する7つの経営要素を網羅的に示したフレームワークです。

これらの要素はすべてアルファベットの「S」から始まるため、7Sと呼ばれています。そして、このフレームワークの最も重要なポイントは、「7つの要素は相互に関連し合っており、組織変革を成功させるには、これらの要素の整合性を取ることが不可欠である」という点です。

7つの要素は、「ハードの3S」「ソフトの4S」に大別されます。

要素英語概要
ハードの3S
(比較的変更しやすい)
戦略Strategy企業の目的達成のための計画・方針、事業の方向性
組織構造Structure組織の構造、部門間の関係、指揮命令系統
システムSystems人事評価、報酬、会計、情報システムなどの仕組みや制度
ソフトの4S
(変更が難しい)
共通の価値観Shared Value組織のメンバーが共有する価値観、理念、ビジョン
スキルSkills組織全体として持つ独自の強み、専門性、技術力
人材Staff組織に所属する人材、その採用・育成・配置
スタイルStyle組織文化、リーダーシップのスタイル、風土

7Sの視覚的理解:相互に関連する7つの要素

7Sの中心には「共通の価値観(Shared Value)」が位置づけられ、他の6つの要素がそれを取り囲むように相互に連携している、というイメージで捉えると分かりやすいでしょう。

  • ハードの3S(戦略、組織構造、システム): 組織図や制度など、比較的目に見えやすく、経営陣の意思決定によって変更しやすい要素です。いわば組織の「骨格」や「制度」です。
  • ソフトの4S(共通の価値観、スキル、人材、スタイル): 組織文化や人の能力といった、目に見えにくく、時間をかけて醸成される要素です。変更が難しく、組織の「血肉」や「魂」に例えられます。

なぜ7S分析が重要なのか?

組織改革が失敗する多くの原因は、ハードの3S(例えば、組織構造の変更や新しい人事制度の導入)だけに手をつけてしまい、ソフトの4S(現場の価値観やスキル、企業文化)がそれに追いつかない「不整合」にあります。

7S分析は、組織を構成する7つの要素を網羅的にチェックすることで、「戦略と組織文化が乖離していないか?」「新しいシステムを使いこなせる人材やスキルはあるか?」といった、組織内の不整合やボトルネックを特定するための強力な診断ツールとなるのです。

ケース面接でマッキンゼーの7Sが活きるお題と見極めのポイント

マッキンゼーの7Sは、組織に関する課題を扱う際に非常に強力ですが、どんなお題にでも使えるわけではありません。このフレームワークが特に活きるお題のパターンと、それを見極めるポイントを解説します。

マッキンゼーの7Sが活きるお題のパターン

1. 「組織改革」や「チェンジマネジメント」がテーマのお題

  • お題例:
    • 「伝統的な日本の大企業(JTC)の組織改革を成功させるには?」
    • 「ある企業がM&Aを行った後の、PMI(統合プロセス)における組織面の課題と対策は?」
    • 「イノベーションが生まれない組織風土を、どのように変革すべきか?」
  • なぜ活きるのか?
    これらのお題は、まさに組織の「現状(As-Is)」「あるべき姿(To-Be)」のギャップを埋めることがテーマです。7Sは、組織の現状を網羅的に診断し、どこに問題があるのか(例:「戦略は良いが、それを実行するスキルが人材にない」「新しいシステムを導入したが、古い組織構造が足かせになっている」など)、要素間の不整合を特定するための強力なレンズとなります。7つの要素をチェックリストとして使うことで、課題の見落としを防ぎ、多角的な分析が可能になります。

2. 策定した事業戦略の「実行可能性」を問われるお題

  • お題例:
    • 「あるメーカーがDX(デジタルトランスフォーメーション)戦略を推進する上での、組織的なボトルネックは何か?」
    • 「新規事業戦略を立案したが、社内の抵抗が大きく進まない。どのように推進すべきか?」
  • なぜ活きるのか?
    ケース面接では、華やかな戦略を提案するだけでなく、「その戦略は、本当にこの組織で実行できるのか?」という実現可能性の観点が厳しく評価されます。7Sを用いることで、「新しい戦略(Strategy)」を実行するために、他の6つのS(組織構造、システム、スキル、人材など)が整合しているか、あるいは何を変更する必要があるかを体系的に検討することができます。「この戦略を実行するには、現在の縦割りな組織構造(Structure)を変え、部門横断的なスキル(Skills)を持つ人材(Staff)を育成する必要があります」といった、戦略と組織を連動させた、解像度の高い提案が可能になります。

3. 企業の「強み・弱み」を組織的な観点から深掘りするお題

  • お題例:
    • 「クライアント企業のコアコンピタンス(中核的な強み)は何か、それをどう強化すべきか?」
    • 「競合と比較した際の、クライアント企業の組織的な課題を特定し、解決策を提案せよ」
  • なぜ活きるのか?
    企業の強みや弱みは、製品や技術だけでなく、組織内部に根差していることが多いです。7Sは、企業の内部環境を構成する7つの要素を網羅的に示しているため、SWOT分析における「S(強み)」と「W(弱み)」を、より解像度高く、構造的に分析するためのツールとして活用できます。例えば、「強みは優秀な人材(Staff)と、彼らが共有する独自の価値観(Shared Value)にある」といった形で、強み・弱みの源泉を組織的な観点から特定するのに役立ちます。

フレームワークを使う際の重要なポイント

  • 中心は「共通の価値観(Shared Value)」:
    7つの要素の中でも、中心に位置する「共通の価値観」は組織の根幹です。組織改革を考える際は、まず「この組織は何を大切にしているのか?」という価値観を理解し、他の要素がその価値観と整合しているか、あるいは価値観自体を変える必要があるのか、という視点を持つことが重要です。
  • 「ハード」と「ソフト」の連携を意識する:
    組織改革は、変更しやすい「ハードの3S」(戦略、構造、システム)から着手することが多いですが、それだけでは成功しません。ハードの変更と同時に、変更が難しく時間のかかる「ソフトの4S」(価値観、スキル、人材、スタイル)をどのように変えていくか、その施策をセットで考えることが極めて重要です。
  • 診断ツールとして使う:
    7Sは、あくまで組織の現状を「診断」するためのフレームワークです。7つの要素をチェックリストとして使い、「この要素は現状どうなっているか?」「理想の状態は?」「理想とのギャップは?」と考えていくことで、組織課題を網羅的に洗い出すことができます。

ケース面接で陥りがち!マッキンゼーの7S利用時のよくある失敗

マッキンゼーの7Sは、組織という複雑な対象を構造的に捉えるための強力なツールですが、その複雑さゆえに、使い方を誤ると表層的な分析に終わってしまう危険性もはらんでいます。ここでは、7S分析を用いる際によくある失敗例とその回避策を解説します。

失敗例1:7つの要素を単に列挙するだけで終わるケース

ケースのお題に対して、「組織を分析するフレームワークにマッキンゼーの7Sがあります。これは戦略、組織構造、システム、共通の価値観…」と、7つの要素をただ順番に説明してしまうパターンです。

  • なぜダメなのか?
    • これも他のフレームワークと同様、思考停止の表れです。面接官はあなたの知識を試したいのではなく、フレームワークを使って、目の前の課題をどう分析するかを見ています。
    • 7つの要素を羅列しただけでは、クライアントの具体的な課題が何一つ見えてきません。
  • どう回避するか?
    • 課題仮説から入る: まず、「この企業の組織課題は、〇〇にあるのではないかと考えます。この仮説を検証・深掘りするために、組織を構成する7つの要素を網羅的に分析できるマッキンゼーの7Sの観点から考察します」というように、分析の目的を明確にしてからフレームワークを導入します。
    • 各要素を「お題」に引きつけて語る: 「戦略については…」ではなく、「この企業の戦略は、現状〇〇ですが、市場の変化に対して△△という点で課題があります」というように、常にクライアントの具体的な状況と結びつけて説明します。

失敗例2:各要素がバラバラで、相互の関連性が無視される

7つの要素をそれぞれ個別に分析するものの、それらの繋がりや相互作用についての考察が全くないパターンです。「戦略はAです。組織構造はBです。人材はCです。」と、7つの独立したレポートを提出しているような状態です。

  • なぜダメなのか?
    • 7S分析の最も重要な本質である「7つの要素の相互連関性」を理解していないと判断されます。優れた組織は、7つの要素が有機的に結びつき、整合性が取れている状態です。
    • 組織課題の根本原因を見誤る可能性があります。多くの場合、問題は単一の要素にあるのではなく、要素間の「不整合」や「ミスマッチ」に起因します。
  • どう回避するか?
    • 常に「整合性」を問う: 「新しく掲げた戦略(Strategy)と、現在の年功序列的な人事システム(Systems)は整合しているだろうか?」「部門間の連携を重視する戦略なのに、サイロ型の組織構造(Structure)のままでは矛盾していないか?」というように、要素と要素の関係性に焦点を当てて分析します。
    • 因果関係を考察する: 「なぜこの組織ではイノベーションが生まれないのか?」という問いに対し、「失敗を許容しない企業文化(Style)が原因で、優秀な人材(Staff)がリスクを取る挑戦を避けるようになっているからだ」というように、要素間の因果関係を明らかにします。

失敗例3:「ソフトの4S」の分析が抽象的・精神論に終わる

「ハードの3S」は比較的分析しやすい一方、「ソフトの4S」(特に共通の価値観、スタイル)の分析が、「社員のモチベーションが低い」「風通しが悪い」といった抽象的で精神論的な表現に終始してしまうパターンです。

  • なぜダメなのか?
    • 具体性に欠け、客観的な分析になっていません。コンサルタントは、文化や風土といった定性的な要素も、具体的な事象や仕組みに落とし込んで分析することが求められます。
    • 具体的な打ち手に繋がりません。「モチベーションを上げる」という精神論ではなく、その原因となっている具体的な制度(Systems)や組織構造(Structure)にまで踏み込む必要があります。
  • どう回避するか?
    • 具体的な「事実」や「仕組み」に分解する:
      • 「風通しが悪い」→「なぜ? A: 階層が多く、意思決定に時間がかかるから(Structure)」「B: 失敗に対するペナルティが厳しい人事制度があるから(Systems)」「C: 上司が部下の意見を聞かないリーダーシップだから(Style)
      • 「モチベーションが低い」→「なぜ? A: 成果が給与に反映されないから(Systems)」「B: 会社のビジョンが共有されていないから(Shared Value)」「C: 成長機会が与えられていないから(Staff)
    • このように、「ソフト」な課題も、その原因となっている「ハード」な仕組みや具体的な行動にまで分解して分析することで、打ち手の解像度が一気に高まります。

7S分析を使いこなすとは、7つの要素を覚えることではなく、それらの相互関係を理解し、組織という複雑なシステムを動的に捉える視点を持つことです。これらの失敗例を回避し、本質的な組織診断を行いましょう。

【ケース面接 徹底解説】マッキンゼーの7Sで解く「JTCの組織改革」

ここからは、本記事の核心であるケース解説です。「JTC(Japanese Traditional Company = 伝統的な日本の大企業)の組織改革」という、抽象度が高く組織論の本質が問われるお題を用い、マッキンゼーの7Sをどのように実践的に活用するのか、思考プロセスを追いながら具体的に解説します。

お題:クライアントは、ある伝統的な日本の大手製造業(JTC)。近年、市場の変化が激しくなる中で、イノベーションが生まれず、若手・中堅社員の離職率も高まっている。この企業の組織改革を成功に導くための課題と、その解決策の方向性を提案してください。


1. 前提設定、問題の背景の言語化(面接官とのすり合わせ)

  • クライアントについて:
    • 特定の企業名は設定せず、一般的なJTCの特徴を持つ大手製造業とします。
    • 特徴:年功序列、終身雇用が根強い。高品質なモノづくりで過去に成功体験を持つ。意思決定が遅い。組織が縦割り。
  • 課題の深掘り:
    • 「イノベーションが生まれない」とは、具体的にどのような状況でしょうか?(例:新規事業の成功事例が過去10年ない、製品開発のリードタイムが競合の2倍かかっている、など)
    • 「離職率が高い」のは、特にどのような層(職種、年次)でしょうか?
    • → 今回は、「デジタル技術を活用した新サービス開発が進まず、その領域を担う若手・中堅のデジタル人材の離職が特に多い」と定義します。
  • 目標設定:
    • 組織改革のゴールとして、「3年後までに、デジタル領域で新たな収益の柱となる事業を創出する組織能力を獲得し、デジタル人材の離職率を業界平均以下に抑制すること」と設定します。

【議論のゴール】
デジタル化の潮流に適応できていないJTCにおいて、イノベーション創出と人材定着を実現するための組織課題を7Sの観点から構造的に特定し、その解決の方向性を提言する。

2. 仮説創出のための業界・商材の特徴分析(7S分析の実施)

クライアントが抱える課題(イノベーション不全、人材離職)の原因を、マッキンゼーの7Sを用いて網羅的に診断し、ボトルネックとなっている要素間の「不整合」を明らかにします。

7Sの要素現状のJTC(As-Is)あるべき姿(To-Be)ギャップ(課題)
Strategy (戦略)既存事業の改善・効率化が中心デジタルを活用した新サービス創出戦略と現場の行動が一致していない
Structure (組織構造)機能別・事業部別の縦割り組織部門横断的なアジャイルチーム迅速な意思決定と連携が困難
Systems (システム)年功序列ベースの人事・評価・報酬制度挑戦と成果を評価する制度リスクを取るインセンティブがない
Shared Value (価値観)安定・継続、失敗を恐れる文化挑戦・学習・スピード重視組織の根幹にある価値観の変革が必要
Skills (スキル)既存の製造技術・品質管理能力デジタル技術、サービス開発スキル新戦略に必要なスキルセットが不足
Staff (人材)同質性の高い、終身雇用前提の人材多様な専門性を持つ人材の流動化外部のデジタル人材獲得・定着が困難
Style (スタイル)トップダウン、合意形成重視の意思決定権限移譲、現場主導の意思決定意思決定スピードが遅く、挑戦が阻害される

【分析からの示唆・課題仮説】
このJTCの最大の問題は、経営層が「戦略(Strategy)」としてデジタル化を掲げている一方で、それを実行するための他の6つのSが全く追いついていないという深刻な「不整合」にある。特に、「共通の価値観(Shared Value)」「人事システム(Systems)」といった、変化しにくいソフト・ハードの要素が、新しい戦略の実行を根本的に阻害しているのではないか。

3. 論点の構造化とイシューの絞り込み

7S分析から明らかになった複数の課題の中から、改革の出発点として最もインパクトが大きいイシューを絞り込みます。

  • ① 共通の価値観・スタイルの変革 (△):
    • 論拠: 課題の根源であり最も重要だが、文化や価値観の変革は非常に時間がかかり、直接的な打ち手も難しい。これをいきなりメインターゲットにすると、議論が精神論に終始するリスクがある。
  • ② 人材・スキルの獲得と育成 (⚪︎):
    • 論拠: デジタル人材の獲得・育成は不可欠。しかし、魅力的な制度や文化がなければ、採用してもすぐに離職してしまう。採用・育成と同時に、彼らが活躍できる「土壌」を整備する必要がある。
  • ③ 戦略と整合性の取れた人事システムへの改革 (◎):
    • 論拠: 評価や報酬といった「システム」は、社員の行動を規定する最も強力なドライバーの一つである。現在の年功序列的なシステムが「挑戦しない」「リスクを取らない」行動を助長している根本原因。ここを変革することは、人材(Staff)の定着に直接的な効果があるだけでなく、挑戦を促すスタイル(Style)スキル(Skills)の獲得にも繋がる。具体的な制度設計が可能であり、改革のテコとして最もインパクトが大きく、かつ実行可能性が高いこれを最重要イシューとする。

【絞り込み結果】
組織改革の第一歩として、「デジタル戦略と連動した新人事システム(評価・報酬・育成)の構築」を最重要イシューと設定する。

4. 打ち手

最重要イシューである「新人事システムの構築」について、具体的な施策の方向性を提案します。

【推奨戦略】
「挑戦の可視化と正当な評価」を実現する、デジタル人材向け新人事制度の導入

  • How to Win(具体的な施策):
    1. 複線型キャリアパスの導入:
      • 従来の管理職を目指す「マネジメントコース」に加え、高度な専門性で貢献する「エキスパートコース」を新設。デジタル領域の高い専門家が、管理職にならずとも高い処遇を得られるキャリアパスを明確にする。
    2. 挑戦を促す評価制度の導入:
      • 目標設定: 従来のKPI達成度評価に加え、「挑戦目標(ストレッチゴール)」の設定を義務化。たとえ失敗しても、そのプロセスや学びが評価される仕組みを導入(減点主義からの脱却)。
      • 評価プロセス: 360度評価などを導入し、上司だけでなく同僚や部下からも多角的なフィードバックを得る機会を作る。
    3. 市場価値に連動した報酬制度:
      • 年功序列的な給与体系を撤廃し、職務内容と市場価値(特に需要の高いデジタルスキル)に基づいて給与水準を決定する「ジョブ型」の要素を導入。これにより、若手でも高い成果を出せば、大幅な昇給が可能になる。
      • 新規事業の成功に貢献したチームや個人に対して、短期的なインセンティブ(特別ボーナス)や、ストックオプションに近いインセンティブ制度を導入する。
    4. スキルアップ支援制度の拡充:
      • 外部の専門研修や資格取得への費用補助、副業の推奨、社外の専門家との交流機会などを制度として整備し、社員の自律的なスキルアップを支援する。
  • リスクと対策:
    • リスク: 既存社員からの不公平感や反発。
    • 対策: まずはデジタル部門や新規事業部門などでパイロット導入し、成功事例を作ってから全社展開を目指す。制度変更の意図や目的について、経営層から丁寧なコミュニケーションを繰り返し行う。
  • 優先順位・マイルストン:
    • 1年目: 制度設計とパイロット導入部門の選定。既存社員への意図説明と意見交換。
    • 2年目: パイロット部門での新人事制度の運用開始と効果測定。課題の洗い出しと制度の微修正。
    • 3年目: 成功事例を基に、他部門への展開計画を策定。
  • 次の一歩:
    まず、離職した若手・中堅デジタル人材へのヒアリング(可能であれば)、および現在所属している社員への匿名アンケートを実施し、現行の人事制度に対する具体的な不満点や、どのような制度であれば定着・活躍したいと考えるかを特定すべきです。

5. 学びの抽象化、今回の問題を通じて伝えたいこと

  • 組織は複雑なシステムである: 組織の課題は、単一の要素ではなく、複数の要素間の「不整合」から生じることが多い。7Sは、その不整合を構造的に発見するための有効な地図となる。
  • 「ハード」と「ソフト」は両輪: 組織構造やシステムといった「ハード」の改革と、文化や価値観といった「ソフト」の改革は、常にセットで考える必要がある。多くの場合、ハードの改革がソフトの変革を促すきっかけとなる。
  • 人は「インセンティブ」で動く: 組織改革を絵に描いた餅で終わらせないためには、社員が新しい行動を取るための「動機付け(インセンティブ)」を制度(特に人事・報酬システム)として設計することが極めて重要である。

6. 差がつくポイント、元面接官からのコメント

  • JTCへの解像度: 「日本の大企業」が抱えがちな組織課題(年功序列、縦割り、意思決定の遅さ、過去の成功体験への固執など)を、自身の経験や見聞に基づき、具体的に言語化できているか。
  • 7Sの動的な活用: 7つの要素を静的なチェックリストとして使うだけでなく、「戦略が変わった時に、他のSはどう変わるべきか?」という動的な視点で、要素間の因果関係や整合性を論じられているか。
  • 課題の根本原因への踏み込み: 「イノベーションが生まれない」という事象に対し、「なぜなら挑戦するインセンティブがないからだ」「なぜなら失敗が許されない文化だからだ」というように、Whyを繰り返し、根本原因に迫る思考ができているか。
  • 施策の現実性とインパクト: 提案する施策が、JTCという組織の現実(既存社員からの抵抗など)を踏まえた上で、実行可能な「最初の一歩」として示されているか。その上で、なぜその一手が改革の「テコ」として最もインパクトが大きいのかを論理的に説明できているか。
  • 「人」への洞察: 組織は人の集まりであるという視点を持っているか。制度論だけでなく、社員のモチベーションやキャリアパスといった、働く個人の視点から課題や解決策を語れると、提案に深みと説得力が増す。

まとめ:「マッキンゼーの7S」を武器に、組織の本質を見抜く

この記事では、戦略コンサルティングファームのケース面接における「組織改革」という難解なお題を攻略するための強力なフレームワーク、「マッキンゼーの7S」について、その本質から実践的な使い方、具体的なケース解説までを詳述してきました。

最後に、7S分析をあなたの思考ツールキットに加えるための要点を振り返ります。

「マッキンゼーの7S」とは?

優れた組織に共通する7つの経営要素(戦略、組織構造、システム、共通の価値観、スキル、人材、スタイル)を網羅的に示し、それらの相互の関連性・整合性に着目して組織を分析するフレームワークです。

  • ハードの3S(戦略・組織構造・システム): 比較的変更しやすい、組織の「骨格」。
  • ソフトの4S(共通の価値観・スキル・人材・スタイル): 変更が難しく時間のかかる、組織の「血肉」。
  • 核心: 7つの要素が有機的に連携し、整合性が取れていることが強い組織の条件。

ケース面接での実践ポイント

  • 「組織改革」「戦略実行」などのお題で、現状を網羅的に診断し、課題を特定する際に活用する。
  • 単なる要素の羅列で終わらない: 7Sの各要素が、クライアントの具体的な状況においてどうなっているかを分析する。
  • 「不整合」を見つけ出す: 最も重要なのは、7つの要素間の矛盾やミスマッチを発見すること。多くの場合、組織課題の根本原因はここにある。
  • 「ハード」と「ソフト」の両面から施策を考える: 制度や構造(ハード)の変更と、文化や人材(ソフト)への働きかけをセットで提案することで、実効性のある改革案となる。
  • 思考の診断ツールとして活用する: 7Sは、複雑な組織というシステムを構造的に理解し、どこにメスを入れるべきかという本質的な論点を見つけ出すための強力な羅針盤です。

戦略コンサルタントは、事業戦略だけでなく、それを実行する「組織」というソフトな側面にも深く切り込みます。マッキンゼーの7Sを使いこなすことは、あなたが多角的な視点を持つ、優れた問題解決者であることを示す強力な証明となるでしょう。この記事が、あなたの挑戦の一助となることを心から願っています。

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「理想的な上達プロセス」についてでした。

スポーツでも勉強でも、何か新しいことを始めるとき
「最短距離で最高峰を目指そう!」と思ったら
どういうやり方をするのが正解なのだろうか?
それについて考えるところから始まりました。

結論、我々が辿り着いた答えは
①学習する:プロから正しく学ぶ
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そこで、この「理想的な上達プロセス」に沿う形で
さまざまな教材・トレーニングメニューを綿密に設計・用意し
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プログラムの全体像はこちらです。

①正しく学ぶ

Strategistsのオリジナル教材、教科書・動画講座を使って
必要な思考法や知識を体系的にインプットしていただきます。

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②反復練習で定着:課題ケース演習

厳選した良問を、自主課題としてメンターが指定。
時間制限を設けず熟考する形式で自主演習し、
さらに専用フォームに筆記ケース形式でアウトプットしていただきます。
教科書や動画講座で学んだ思考法や知識を思い返しながら
実際の過去問を題材に試行してみる。
あなたの思考力が”変わる・鍛えられる”のが
このトレーニングの役割です。

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③実践&現状把握:模擬ケース面接

専属メンターと模擬面接を実施。
詳細なフィードバックをもらうことで
現状を把握し、弱点・課題を発見できるのはもちろん
内定レベルの解答例や思考のポイントなど
1問を題材に「次に活かせる」学びを詳しく解説します。

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メンタリングの質へのこだわり

皆さんは『メンタリングの質』というものについて考えたことはありますか?我々は『問題を解き→フィードバックをもらい→模範解答を見る』というプロセスを経ての成長幅こそが『メンタリングの質』だと考えています。

『メンタリングの質』はメンターの質はもちろん、扱う問題と模範解答の質によって決まると考えており、我々のサービスでは厳選された問題からしか出題を行いません。メンタリングでの使用を構想してから実際にお客様にお出しする「デビュー」までに数ヶ月かかることも多いです。

我々はケース対策における「良問」を
・得られる学びが深くて多い
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と定義しています。各問題が単に「マッキンゼー対策」「公共系」のような表面的なジャンル分けにとどまらず、「BSとPLの構造理解」「”実現可能性とインパクト”の落とし穴」「サブスク事業のキードライバー」など裏テーマが設定してあります。

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参加特典

大谷

新卒でMBB2社に内定。Strategists卒業生。通常半年から1年ほど対策期間を要する新卒の戦略コンサル就活において、たった3ヶ月で内定を獲得。「内定獲得の秘訣は対策の量ではなく、質である」という考えから、現在は質の高いコンテンツ作成や指導を行っている。

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