ケース面接対策

ケース面接のシェア拡大問題の解き方|市場シェアの分母と物差しから考える

「このブランドの市場シェアを拡大するには、どうしますか」と問われた瞬間に、売上向上のお題で身につけた因数分解をそのまま持ち込み、手が止まってしまうことがあります。

売上は自社の客数と単価に分解すれば自社だけで語れますが、シェアは市場全体という分母と、競合という比較対象がなければ成立しない相対指標です。この構造の違いを面接の冒頭で言語化できるかどうかが、評価の分かれ目になります。

この記事では、シェアを議論する前に決めるべき市場の範囲と測り方、シェアが動く2つの経路、競合の反応まで織り込んだ検討の進め方を、実際に手を動かす順序で解説します。

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1. ケース面接の「シェア拡大」とはどのようなお題か

シェア拡大というお題は、単独で出題されることもあれば、売上向上型の一種として扱われることもあります。まずは、このお題がケース面接全体のどこに位置づくのかを確認します。

売上向上型の応用として出されることが多い

ケース面接のお題は、売上・利益向上型、新規事業・市場参入型、二択の意思決定型、公共・社会課題型、抽象型などに分類されることが多く、シェア拡大は売上・利益向上型の応用として扱われる場合がほとんどです。

ただし、売上向上と同じ手順で解こうとすると、途中で行き詰まります。理由は、シェアが売上とは異なる性質を持つ指標だからです。シェア拡大は「売上向上の言い換え」ではなく、独立した論点を持つお題だと捉えておく必要があります。

面接官はこのお題で、入社後に戦略コンサルタントの仕事として求められる、市場を定義し直す力を見ています。数字を積み上げる作業ではなく、比較の土台そのものを設計できるかどうかが評価の対象です。

市場規模の推計とセットで問われる二層構造になりやすい

シェア拡大のお題は、単独では終わらず、市場規模の推計と組み合わさる二層構造になりやすいという特徴があります。

具体的には、まず対象市場の規模を推計し、次にその中でどれだけのシェアを取れば目標の売上高に届くかを逆算する、という流れです。前段はケース面接がフェルミ推定と重なる部分であり、後段がシェア固有の論点になります。前段でつまずく場合は、ケース面接全体の基本的な流れを見直すと、シェア拡大のお題の見通しも立てやすくなります。

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2. 「売上を上げる」と「シェアを取る」は、解き方として何が違うのか

売上は自社の客数と単価に分解すれば足りますが、シェアは市場全体という分母と、比較対象となる競合が必ず必要になる相対指標です。したがって、シェアが動く経路は「市場全体の伸びを自社が取り込む」か「競合から奪う」かの2つに限られます。後者では、競合がどう反応するかまで織り込んで検討する必要があります。売上向上のお題より論点が1つ多くなる点が、シェア固有の難しさです。

売上向上の因数分解をそのまま持ち込むと、この「分母」と「比較対象」を置かないまま数字を動かしてしまい、面接官から前提を問われた時点で答えに詰まります。

売上は自社の実績で完結するが、シェアは分母と比較対象を必要とする

売上を伸ばす、という目標は、極端に言えば競合の存在を意識しなくても成立します。客数を増やすか、単価を上げるか、購入頻度を高めるか、自社の中で完結する施策を積み上げれば説明がつくためです。

一方でシェアは、全体のうちどれだけを自社が占めているかという比率です。全体(市場)と比較対象(競合)を定義しない限り、そもそも数字として存在しません。

だからシェアが動く経路は2つしかない

この構造上の違いから、シェアが変化する経路は論理的に2つに限定されます。

1つ目は、市場全体が伸びる局面で、その伸びを自社がどれだけ取り込めるかという経路です。市場が伸びていなくても、競合の顧客を自社に切り替えさせられれば、シェアは動きます。これが2つ目の経路です。この2つのどちらに軸足を置くかを面接の早い段階で示すと、以降の議論が整理しやすくなります。

売上の因数分解をそのまま持ち込むとどこで詰まるか

売上向上型の解き方をそのまま流用すると、多くの場合、同じ箇所でつまずきます。

客数×単価×頻度という分解自体は誤りではありませんが、この分解だけを積み重ねても、その数字が市場全体の何%に当たるのかはわかりません。面接官から「それは市場全体で見るとどのくらいの水準ですか」と聞かれた時点で、市場の定義も測り方も置いていなかったことに気づく、という展開になりがちです。

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3. シェアを議論するとき確認すべきことは何か

市場の範囲は、どの商品まで含めるか、どの地域までを対象にするかによって変わります。公正取引委員会の企業結合ガイドラインでも、市場は商品の範囲と地理的範囲について、需要者からみた代替性を基準に画定するとされています。測り方も一様ではありません。

総務省は電気通信サービスのシェアを契約数ベースで、国税庁は酒類のシェアを課税移出数量という数量ベースで、それぞれ公表しています。この2つを面接の冒頭で自分の言葉で宣言できるかどうかが、以降の議論全体の説得力を左右します。

出典:公正取引委員会「企業結合審査に関する独占禁止法の運用指針」

出典:総務省「電気通信サービスの契約数及びシェアに関する四半期データの公表(令和7年度第2四半期(9月末))」

出典:国税庁「酒のしおり(令和7年7月)」

市場の範囲は商品の範囲と地理的範囲で決まる

「市場」という言葉は、面接の中で人によって指す範囲が変わってしまいやすい言葉です。

公正取引委員会の企業結合審査に関する運用指針では、市場の範囲は商品の範囲と地理的範囲によって決まるとされています。判断の基準は、基本的に需要者からみた代替性です。加えて、小幅な値上げがあった場合に、短期間(おおむね1年以内が目途)で他の供給者が参入できるかという、供給側の代替性も必要に応じて考慮されます。

ケース面接でこの制度を説明する必要はありませんが、「この商品は何と置き換え可能で、どこまでの地域を含むのか」を自分の言葉で線引きする姿勢は、そのまま評価につながります。

出典:公正取引委員会「企業結合審査に関する独占禁止法の運用指針」

シェアの物差しは数量ベースと金額ベースで結論が変わる

市場の範囲を決めても、シェアをどの単位で測るかによって数字の見え方は変わります。

実際の公的統計でも、指標の取り方は一様ではありません。シェアを契約数で数える統計もあれば、酒類の課税移出数量のように数量で数える統計もあります。金額ベースで見るか数量ベースで見るかによって、大きく見える企業は入れ替わります。単価の高い商品を持つ企業は金額ベースで、安価で数が出ている企業は数量ベースで、それぞれシェアが大きく映るためです。

ケース面接では、この物差しの選択自体が回答の前提になるため、どちらを採用するのかを、根拠とともに面接官に伝える必要があります。

出典:総務省「電気通信サービスの契約数及びシェアに関する四半期データの公表(令和7年度第2四半期(9月末))」

出典:国税庁「酒のしおり(令和7年7月)」

前提は面接の冒頭で宣言する

分母と物差しを決めたら、それを黙って使うのではなく、面接官に明示的に宣言する必要があります。

「本ケースでは、対象市場を国内の即席麺市場、シェアの物差しを金額ベースの売上高としてよろしいでしょうか」というように、前提を一文で確認してから分析に入ると、以降のすべての数字が同じ土俵の上で語られていることが担保されます。逆にこの宣言を省いたまま分析を進めると、途中で面接官から「その市場にはコンビニ限定の即席麺も含みますか」といった確認を挟まれ、それまでの分析をやり直す展開になりかねません。

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4. シェアが動く2つの経路をどう検討するか

シェアを分母と物差しで定義できたら、次はその数字がどちらの経路で動くのかを検討しましょう。

経路1 市場全体の伸びを取り込む

市場そのものが成長している局面では、無理に競合から奪わなくても、伸びの取り込み方次第でシェアを維持・拡大できます。

まず確認すべきは、対象市場が今後どの程度伸びるのかという点です。市場が伸びている場合、既存の顧客層をそのまま維持するにとどまれば、成長分をすべて競合に渡してしまうことになります。伸びの取り込み方は、大きく分けて、これまで取り込めていなかった新規の需要層を開拓する方向と、既存の顧客の購入頻度・単価を伸ばす方向の2つです。既存製品を使って既存の市場に深く入り込むこの考え方は、一般に市場浸透と呼ばれ、成長戦略の型の1つとして位置づけられています。

経路2 競合からシェアを奪う

市場の伸びだけでは目標シェアに届かない場合、残る手段は競合の顧客を自社に切り替えさせることです。

この経路は、市場全体のパイを奪い合う話になるため、自社の施策のみでは完結しません。競合がどう反応するかまで含めて検討して初めて、実現可能性のある施策になります。

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5. 競合からシェアを奪うとき何を見るべきか

競合からシェアを奪う経路を選んだ場合、検討すべき論点は大きく4つに整理できます。

誰から奪うのかを特定する

まずは「競合」とひとくくりにせず、どの競合の、どの顧客層を対象にするのかまで具体的に絞り込みましょう。

業界内でシェアの大きい競合から奪うのか、特定のセグメントに強い中堅の競合から奪うのかによって、必要な施策も難易度もまったく異なります。対象を絞らないまま「競合から顧客を奪う」と述べても、面接官には具体性のない主張として受け取られます。

顧客が乗り換える理由とスイッチングコストを見る

顧客が競合から自社に乗り換えるかどうかは、乗り換えるメリットの大きさと、乗り換えにかかる負担のバランスで決まります。

価格、品質、利便性のいずれかで明確な差がなければ、顧客はわざわざ乗り換えません。加えて、契約の切り替え手続きや使い慣れたサービスを離れる心理的な負担など、乗り換えに伴う負担が大きい市場では、多少の差があってもシェアは動きにくいとされます。この負担はスイッチングコストと呼ばれ、対象市場でどの程度働いているかを見積もっておくと、施策の実現可能性を検討しやすくなります。

参入障壁と競争構造から自社の立ち位置を見る

競合の顧客を奪いやすいかどうかは、その業界の競争構造にも左右されます。

マイケル・ポーターが提示した5つの競争要因という考え方では、既存競合同士の競争に加えて、新規参入の脅威、代替品の脅威、売り手・買い手の交渉力が業界の収益構造に影響するとされています。新規参入や輸入、隣接市場からの競争圧力といった外部要因も、シェアの動きやすさに関わる論点として考慮に入れておくとよいでしょう。

競合が反撃してきたときの備えを考える

シェアを奪う施策を検討するとき、競合が黙って顧客を明け渡すわけではないという点は見落とされがちです。

値下げで顧客を奪う計画を立てても、競合が追随して値下げすれば、両社とも利益を落としただけで終わる可能性があります。広告やキャンペーンで奪う計画も同様に、競合が同水準の投資で対抗すれば、狙った効果は薄まります。

ケース面接で高く評価されるのは、施策を提示した直後に「競合が反撃してきたらどうしますか」と問われることを前提に、反撃されても優位性が残る施策を選んでおく姿勢です。

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6. 目標シェアをどのくらいに置くか

ケース面接に一律の正解はありませんが、競争政策上の目安は参考になります。公正取引委員会の企業結合ガイドラインでは、結合後のHHI(各企業のシェアを2乗して合計した指数)が2,500以下であり、かつ当事会社グループのシェアが35%以下であれば、競争を実質的に制限するおそれは小さいと通常考えられています。

重要なのは、35%という水準そのものを覚えることではなく、なぜその水準を目指すのかを、市場の集中度と自社の立ち位置から説明できることです。

出典:公正取引委員会「企業結合審査に関する独占禁止法の運用指針」

市場の集中度から水準の意味を読む

HHIという指数を知っておくと、目標シェアの妥当性を検討する視点が1つ増えます。

公正取引委員会のガイドラインでは、HHIは各企業の市場シェアを2乗して合計した値として定義されています。水平型の企業結合では、結合後のHHIが1,500以下、または1,500超2,500以下で増分が250以下、あるいは2,500超で増分が150以下であれば、競争上の問題は生じにくいとされています。

これは企業結合の審査に向けた基準です。そのまま面接の結論に使う必要はありませんが、シェアが上位2〜3社に集中している市場か、分散している市場かを見極める視点は、目標水準を検討するうえで有効です。集中度が高い市場でさらにシェアを積み増そうとすれば、それだけ競合の抵抗も強くなります。

出典:公正取引委員会「企業結合審査に関する独占禁止法の運用指針」

シェアの獲得自体が目的化していないか

目標シェアを置くときは、シェアを取ること自体が目的にすり替わっていないかという視点が抜けやすくなります。

値下げやキャンペーンでシェアを買いにいけば、短期的な数字は動きますが、収益性を落とすだけに終わることがあります。相対的な市場シェアの高さを競争優位の指標とみなす考え方も知られていますが、これはシェアの高さそのものが目的だという意味ではなく、規模や経験の蓄積がコスト面の優位につながるという前提のうえに成り立つ考え方です。

目標シェアを提案する際は、その水準に到達したときに利益がどう変化するかまで含めて検討する必要があります。

実現可能性を数字で検証する

最後に、置いた目標シェアが本当に実現可能かどうかを、数字で裏づける必要があります。目標シェアから逆算した売上高が、想定した施策の効果や必要な予算と釣り合っているかを確認しましょう。

たとえば、目標達成に必要な新規顧客数が、現実的な広告予算やチャネルの規模に対して過大であれば、目標自体を見直すか、達成までの期間を延ばすといった調整が必要になります。

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7. シェア拡大のお題でやりがちな失敗

シェア拡大のお題で評価を落とす原因は、いくつかのパターンに集約されます。

市場を定義しないまま数字を置く

よくある失敗は、市場の範囲と物差しを決めずに、いきなりシェアの数字を計算し始めることです。

「シェアを30%から40%に引き上げます」と結論だけを述べても、その30%が何を分母にした数字なのかがわからなければ、面接官はその数字を評価できません。分母と物差しの宣言は、分析の入口であると同時に、回答全体の信頼性を支える土台になります。

フレームワークを当てはめただけで終わる

3C分析や5フォース分析といったフレームワークを使うこと自体は問題ではありませんが、使うことが目的になってしまうと評価は伸びません。

フレームワークの各項目を埋めただけで、「だから何をすべきか」という結論に結びつかない回答は、情報を整理しただけの状態にとどまります。フレームワークは、分母と物差しを決めたあとに、抜け漏れを確認する道具として使うと機能します。

競合を最後まで登場させない

シェア拡大の回答をひととおり組み立てたあとに見直すと、競合への言及が一度もない回答が見つかることがあります。

自社の施策だけを積み上げて終わる回答は、売上向上のお題であれば成立しますが、シェア拡大のお題では相対視点が抜けていると判断されます。施策を提示するたびに、競合はこれにどう反応するかを自問する習慣をつけておくと、この失敗は避けやすくなります。

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8. シェア拡大のお題への対策の進め方

考え方を理解できても、本番で使えるかどうかは練習の質で決まります。対策の進め方を、2つに分けて紹介します。

例題は「解答」ではなく「前提の置き方」を比べて振り返る

シェア拡大の例題を解いたあとの振り返り方には、コツがあります。

模範解答と自分の回答を見比べるとき、施策の中身だけを比較するのではなく、市場の範囲をどう区切ったか、物差しに何を選んだかという前提の置き方を比べてください。同じお題でも、前提の置き方が違えば、正しい答えは複数あり得ます。重要なのは前提と結論の整合性であって、唯一の正解を探すことではありません。

自分の前提の甘さは他者の指摘でしか見えない

シェア拡大のお題が難しいのは、前提の置き方で答えが分岐するため、一人で解いていると、自分の置いた前提のどこが甘いのかに気づきにくいという点にあります。

市場の範囲を狭く取りすぎている、物差しの選び方に一貫性がない、といった弱点は、自分では見えていても、他者から指摘されて初めて言語化されることが多くあります。Strategistsでは、MBB内定者・出身者によるマンツーマンの模擬ケース面接を通じて、こうした前提の置き方のクセを客観的なフィードバックとともに確認できる機会を提供しています。独学で例題を解き続けるだけでは気づけない部分を、実戦形式の練習で補っていく進め方が、シェア拡大のお題を含めたケース面接全体の対策では有効です。

まとめ

シェア拡大のお題は、売上向上のお題の言い換えではありません。売上は自社の実績だけで語れますが、シェアは市場という分母と競合という比較対象がなければ成立しない相対指標です。

面接の冒頭で市場の範囲と物差しを宣言し、市場の伸びを取り込む経路と競合から奪う経路のどちらに軸足を置くかを示し、競合の反応まで織り込んで施策を検討しましょう。この一連の流れを自分の言葉で組み立てられるかどうかが、評価を左右します。

まずは自作の例題で前提の置き方を練習し、他者からのフィードバックでその前提の甘さを確認するところから始めてください。

本記事のテーマを頭で理解しても、実際のケース面接で使いこなせるかどうかは別問題です。
「示唆が出せない」「分析が浅い」といった課題は独学では気づきにくく、放置すると本番まで改善されないまま終わることも少なくありません。

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結論、我々が辿り着いた答えは
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②練習する:繰り返し練習し学んだことを自分の体に染み付かせる
③実践する:実践で到達度や課題を明確化する
→①②に戻る
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課題ケース演習の流れ

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