【MBB社員が徹底解説!】戦略コンサルへの転職・ケース面接対策方法

この記事では多くの戦略コンサルへの転職希望者を支援してきた我々「ケース面接対策塾Strategists」がこれから戦略コンサルへの転職活動を検討・開始される方に向けて知っておいてほしいことをまとめた記事になっております。



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1. そもそも戦略コンサルタントって?

戦略コンサルタントとは、企業の経営層に対し、事業戦略の策定や実行支援を行うプロフェッショナルです。売上向上、新規事業開発、コスト削減、組織改革など、企業が抱える経営課題は多岐に渡りますが、戦略コンサルタントは専門的な知識と分析力、そして多様な業界・企業における経験を駆使し、クライアント企業にとって最適な解決策を提示します。彼らはビジネスにおける「医者」のような存在であり、企業の成長と発展に大きく貢献しています。

1.1 戦略コンサルタントの役割

戦略コンサルタントの役割は、大きく分けて以下の3つに分類できます。

  1. 課題の特定と分析: クライアント企業と綿密なコミュニケーションを取り、現状の課題や潜在的なリスクを明確化します。市場調査、競合分析、財務分析など様々な分析手法を用いて、問題の本質を深く掘り下げます。
  2. 戦略の策定: 分析結果に基づき、クライアント企業にとって最適な戦略を立案します。新規市場への参入、M&A、事業ポートフォリオの最適化など、具体的な施策を提案し、実行可能な計画を策定します。
  3. 実行支援: 策定した戦略が円滑に実行されるよう、クライアント企業をサポートします。プロジェクトの進捗管理、関係部署との調整、必要に応じて追加的な分析や提言を行います。

図1:戦略コンサルタントの役割

段階内容使用ツール・手法
課題の特定と分析クライアントの課題を明確化し、現状を分析顧客インタビュー、市場調査、競合分析、財務分析、SWOT分析
戦略の策定分析結果に基づき、最適な戦略を立案フレームワーク分析、シナリオプランニング、事業計画策定
実行支援策定した戦略の実行をサポートプロジェクト管理、チェンジマネジメント、KPI設定・モニタリング

1.2 プロジェクトの例

戦略コンサルタントが携わるプロジェクトは多岐に渡ります。いくつか具体的な例を挙げると、

  • 新規事業開発: 新規事業の市場調査、ターゲット顧客の選定、ビジネスモデルの構築、事業計画の策定などを支援します。
  • M&A戦略: M&Aの対象企業選定、デューデリジェンス、PMI(Post Merger Integration)などを支援します。
  • コスト削減: 経費構造の分析、サプライチェーンの最適化、業務プロセスの改善などを支援します。
  • デジタル化戦略: デジタル技術を活用した事業変革、新規ビジネスモデルの構築などを支援します。
  • グローバル展開戦略: 海外市場調査、現地パートナー選定、海外拠点設立などを支援します。

これらのプロジェクトは、数週間から数年に及ぶこともあり、プロジェクトの規模や難易度によって、コンサルタントのチーム構成や役割も変化します。

1.3 なぜ戦略コンサルタントを目指すのか?

戦略コンサルタントを目指す理由は人それぞれですが、主な理由として以下が挙げられます。

  • 多様な業界・企業に関わる経験: 様々な業界のクライアント企業の経営課題解決に携わることで、幅広いビジネス知識と経験を積むことができます。
  • 高度な専門性: 戦略策定、問題解決、分析能力など、ビジネスにおける高度な専門性を身につけることができます。
  • 高い年収: 一般的に、戦略コンサルタントは高収入を得ることができ、経済的な安定を得られる可能性が高いです。
  • キャリアアップ: 戦略コンサルタントとしての経験は、将来、事業会社の経営幹部や起業家など、様々なキャリアパスに繋がる可能性を広げます。
  • 成長機会: プロジェクトを通して、常に新しい知識やスキルを学び、成長し続けることができます。

1.4 戦略コンサルティング業界の現状と将来展望

戦略コンサルティング業界は、企業のグローバル化、デジタル化、競争激化などを背景に、今後も成長が見込まれています。特に、DX(デジタルトランスフォーメーション)やサステナビリティ経営など、新たな領域におけるコンサルティングニーズが高まっており、戦略コンサルタントの活躍の場はますます広がっています。

一方で、コンサルティング業界は変化の激しい業界でもあり、AIやデータ分析技術の進化によって、コンサルタントの役割も変化していく可能性があります。そのため、常に新しい知識やスキルを学び続け、変化に柔軟に対応できる能力が求められます。

今後、戦略コンサルタントは、従来の戦略策定だけでなく、データ分析やテクノロジー活用、実行支援など、より幅広い領域で活躍することが期待されています。

2. 主要戦略コンサルティングファーム一覧と特徴

戦略コンサルティングファームは、それぞれ独自の強みや特徴を持っています。企業文化、専門領域、プロジェクトの規模や種類、ワークライフバランスなども考慮し、自分に合ったファームを選ぶことが重要です。ここでは、主要な戦略コンサルティングファームを、外資系、日系、その他(戦略系部門を持つ総合コンサルティングファーム)に分けて紹介します。

2.1 外資系戦略コンサルティングファーム

2.1.1 マッキンゼー・アンド・カンパニー

  • 特徴: 世界最大の戦略コンサルティングファーム。幅広い業界と機能領域をカバーし、グローバルな視点と深い専門知識を強みとする。徹底的な分析に基づく論理的な思考力と問題解決能力を重視。
  • 得意分野: 組織変革、デジタル戦略、オペレーション改革、M&A
  • 企業文化: 知的好奇心が強く、プロフェッショナル意識の高い人材が集まる。厳しいながらも成長機会の多い環境。

2.1.2 ベイン・アンド・カンパニー

  • 特徴: “Results Delivery®” を重視し、クライアント企業の業績向上にコミットする。プライベートエクイティとの連携も強み。実践的なアプローチとクライアントとの密な関係構築を重視。
  • 得意分野: M&A、プライベートエクイティ、顧客戦略、マーケティング
  • 企業文化: チームワークを重視し、協力的でフレンドリーな雰囲気。クライアントとの長期的な関係構築を重視する文化。

2.1.3 ボストン・コンサルティング・グループ (BCG)

  • 特徴: ファクトベースの分析と革新的なアイデア創出を重視。独自のフレームワークや分析ツールを多数開発し、クライアント企業の変革を支援する。
  • 得意分野: 企業戦略、成長戦略、デジタル変革、イノベーション
  • 企業文化: 知的好奇心と起業家精神を重視。成長意欲の高い人材が集まる。

2.1.4 A.T.カーニー

  • 特徴: 実行支援に強みを持ち、戦略策定から実行まで一貫してサポートする。オペレーション改善、サプライチェーンマネジメントなどの領域に強み。
  • 得意分野: オペレーション改革、サプライチェーンマネジメント、コスト削減、M&A
  • 企業文化: 実践的で結果志向の強い文化。クライアントとの緊密な協働を重視。

2.1.5 アーサー・D・リトル

  • 特徴: 技術・イノベーションに特化した戦略コンサルティングファーム。テクノロジー、ヘルスケア、自動車などの業界に深い知見を持つ。
  • 得意分野: 技術戦略、イノベーションマネジメント、製品開発、R&D
  • 企業文化: 専門性の高いコンサルタントが多く、技術に対する情熱を持つ人材が集まる。

2.1.6 ローランド・ベルガー

  • 特徴: ドイツ発祥の戦略コンサルティングファーム。自動車、製造業、化学などの業界に強みを持つ。グローバルな視点とローカルな知見を融合したコンサルティングを提供。
  • 得意分野: 自動車、製造業、化学、グローバル戦略
  • 企業文化: 多様性を重視し、国際色豊かな環境。

2.2 日系戦略コンサルティングファーム

2.2.1 経営共創基盤 (IGPI)

  • 特徴: 日本発の独立系戦略コンサルティングファーム。ハンズオン型の支援に強みを持ち、クライアント企業の経営改革を推進する。
  • 得意分野: 事業再生、ターンアラウンド、組織改革、成長戦略
  • 企業文化: 実践的で結果志向の強い文化。クライアントとの長期的な関係構築を重視。

2.2.2 ドリームインキュベータ

  • 特徴: 新事業創出、新規事業開発支援に強みを持つ。ベンチャー企業や大企業の新規事業部門へのコンサルティング実績が豊富。
  • 得意分野: 新規事業開発、オープンイノベーション、ベンチャー支援
  • 企業文化: 起業家精神とチャレンジ精神を重視。スピード感と柔軟性のある組織文化。

2.3 その他のコンサルティングファーム (戦略系部門を持つ総合コンサルティングファーム)

2.3.1 Strategy& / PwCコンサルティング ストラテジーコンサルティング

  • 特徴: PwCの戦略コンサルティング部門。PwCの幅広いネットワークとリソースを活用した総合的なコンサルティングサービスを提供。
  • 得意分野: デジタル戦略、M&A、オペレーション改革

2.3.2 モニターデロイト / デロイトトーマツコンサルティング合同会社

  • 特徴: デロイトの戦略コンサルティング部門。顧客中心主義を重視した戦略策定を得意とする。
  • 得意分野: 顧客戦略、デジタルマーケティング、CRM

2.3.3 EYパルテノン / EYストラテジー・アンド・コンサルティング株式会社

  • 特徴: EYの戦略コンサルティング部門。企業変革、トランザクション戦略、事業再生などを得意とする。
  • 得意分野: 企業変革、M&A、事業再生

各ファームのウェブサイトや、コンサルタントのインタビュー記事などを参考に、より深く理解することをお勧めします。 また、実際に説明会や社員との面談に参加することで、企業文化や雰囲気をよりリアルに感じ取ることができるでしょう。

3. 戦略コンサルタントの年収

戦略コンサルタントは、一般的に高収入の職業として知られています。しかし、実際の年収はファームの規模や個人の職位、経験年数によって大きく異なります。本章では、戦略コンサルタントの年収レンジ、外資系と日系の比較、年収以外の待遇面について解説します。

3.1 年収レンジと役職

戦略コンサルタントの年収は、経験年数に応じて上昇していく傾向があります。一般的な職位と年収レンジは以下の通りです。(あくまで目安であり、ファームや個人によって異なる場合があります。)

職位経験年数年収レンジ (万円)
アソシエイト0-3年700 – 1200
コンサルタント3-5年1200 – 1800
マネージャー5-8年1800 – 2500
プリンシパル/シニアマネージャー8-12年2500 – 3500
パートナー12年以上3500 – +

図2:戦略コンサルタントの年収レンジ (イメージ)

[棒グラフを挿入:横軸に職位、縦軸に年収。各職位の年収レンジを棒グラフで表示。]

アソシエイトは、プロジェクトにおける分析や資料作成などの業務を担います。コンサルタントは、アソシエイトの指導やクライアントとのコミュニケーションなども行います。マネージャーは、プロジェクトの責任者として、チームを率いてプロジェクトを推進します。プリンシパル/シニアマネージャーは、複数のプロジェクトを統括し、クライアント企業との関係構築も担います。パートナーは、ファームの経営にも関わり、新規クライアントの獲得やコンサルタントの育成など、重要な役割を担います。

3.2 外資系と日系の年収比較

一般的に、外資系戦略コンサルティングファームの方が、日系戦略コンサルティングファームよりも年収が高い傾向があります。これは、外資系ファームのプロジェクト規模が大きく、グローバルな案件に携わる機会が多いこと、また、成果主義の文化が根強く、高いパフォーマンスに対して高額の報酬が支払われることなどが理由として考えられます。

ファームの種類平均年収 (イメージ)
外資系戦略コンサルティングファーム1500万円 – 2000万円以上
日系戦略コンサルティングファーム1000万円 – 1500万円

[円グラフを挿入:外資系と日系の平均年収の割合を表示。]

ただし、近年では日系ファームの年収も上昇傾向にあり、外資系との差は縮まりつつあります。また、ワークライフバランスの観点から、日系ファームを選択するコンサルタントも増えています。

3.3 年収以外の待遇面

戦略コンサルタントは高収入であるだけでなく、充実した福利厚生や研修制度なども魅力です。

  • 福利厚生: 健康保険、厚生年金、雇用保険、労災保険などの社会保険完備に加え、住宅手当、家族手当、退職金制度などが充実しているファームが多いです。
  • 研修制度: 新人研修、スキルアップ研修、海外研修など、様々な研修制度が用意されており、コンサルタントとしての専門性を高めることができます。
  • その他: ファームによっては、社用携帯電話やパソコンの貸与、ビジネス書の購入補助、フィットネスクラブの会員権補助などの制度が用意されている場合もあります。

高収入に加えて、これらの待遇面も考慮することで、戦略コンサルタントという職業の全体像をより深く理解できるでしょう。次の章では、戦略コンサルタントの面接対策について解説します。

4. 戦略コンサルタントの面接対策

戦略コンサルタントの選考は、非常に狭き門です。選考プロセスを理解し、しっかりと対策を立てることが、内定獲得への近道となります。本章では、面接の種類と流れ、評価ポイント、よくある質問と効果的な回答例などを解説し、面接対策をサポートします。

4.1 面接の種類と流れ

戦略コンサルタントの選考は、一般的に以下の流れで進みます。

  1. 書類選考: 履歴書、職務経歴書、エントリーシートなどを提出します。
  2. Webテスト: 玉手箱、TG-WEBなどの能力検査を受験します。
  3. 面接: 複数回の面接が行われます。

面接は、大きく分けて以下の3つの種類があります。

  • ケース面接: ビジネスケースが出題され、その解決策を提案する面接です。
  • フェルミ推定: 短時間で概算値を導き出す面接です。
  • パーソナル面接/フィット面接: 志望動機や経験、強みなどを問われる面接です。

選考プロセスはファームによって異なりますが、一般的には、書類選考 → Webテスト → パーソナル面接 → ケース面接 → フェルミ推定 → 最終面接といった流れで進みます。面接回数は、3回~5回程度が一般的です

4.2 面面接で評価されるポイント

戦略コンサルタントの面接では、以下の能力が評価されます。

  • 論理的思考力: 問題を構造的に捉え、論理的に分析・思考する能力。
  • 問題解決能力: 複雑な問題に対して、最適な解決策を導き出す能力。
  • コミュニケーション能力: 自分の考えを分かりやすく説明する能力、相手の話に耳を傾ける能力。
  • リーダーシップ: チームをまとめ、目標達成に向けて推進する能力。
  • ストレス耐性: プレッシャーのかかる状況でも、冷静に判断し、行動する能力。
  • 成長意欲: 新しい知識やスキルを積極的に学び、成長しようとする意欲。
  • ビジネスへの関心: ビジネスに対する強い興味関心。

これらの能力は、ケース面接やフェルミ推定だけでなく、パーソナル面接/フィット面接でも評価されます。面接官は、あなたの発言や行動を通して、これらの能力を総合的に判断します。

4.3 よくある質問と効果的な回答例

パーソナル面接/フィット面接でよく聞かれる質問と、効果的な回答のポイントをいくつか紹介します。

  • 志望動機: なぜ戦略コンサルタントになりたいのか、なぜこのファームなのか、具体的に説明しましょう。抽象的な表現ではなく、具体的なエピソードを交えて説明することで、説得力が増します。
    • 例:「御社で、〇〇業界のプロジェクトに携わり、事業成長に貢献したいと考えています。大学時代に〇〇の経験を通して、…」
  • 強み・弱み: 自分の強みと弱みを客観的に分析し、具体的なエピソードを交えて説明しましょう。弱みについては、改善のための努力についても言及することが重要です。
    • 例:「私の強みは、論理的思考力です。大学時代の研究活動で、… 」
    • 例:「私の弱みは、プレゼンテーション能力です。現在は、…といったトレーニングを通して改善に努めています。」
  • 学生時代に力を入れたこと: 具体的なエピソードを交えて、取り組みの内容、成果、そこから得られた学びなどを説明しましょう。
    • 例:「大学時代に所属していた〇〇サークルで、部長として… 」
  • キャリアプラン: 戦略コンサルタントとしてどのようなキャリアを築きたいのか、将来のビジョンを明確に伝えましょう。
    • 例:「まずはコンサルタントとして経験を積み、将来的には… 」

これらの質問への回答は、事前にしっかりと準備しておきましょう。また、想定外の質問にも落ち着いて対応できるよう、日頃から論理的思考力やコミュニケーション能力を鍛えておくことが重要です。

次の章では、フェルミ推定について解説します。

5. フェルミ推定とは?

フェルミ推定とは、限られた情報から論理的思考と推論を用いて、短時間で概算値を導き出す手法です。戦略コンサルタントの選考プロセスでは、このフェルミ推定が面接の一環として用いられることが多く、論理的思考力、問題解決能力、コミュニケーション能力などが評価されます。本章では、フェルミ推定の基礎、例題と解き方、評価ポイント、そして練習問題を通じて、フェルミ推定の理解を深め、面接対策に役立てていただきます。

5.1 フェルミ推定の基礎

フェルミ推定の本質は、「正確な数値を出すこと」ではなく、「論理的に考えて、妥当な範囲を推定すること」にあります。面接官は、最終的な数値の正確さよりも、推定に至るまでの思考プロセス、つまり「どのように考えてその数値を導き出したのか」を重視しています。

フェルミ推定では、以下のステップで推定を行います。

  1. 問題を明確にする: 何を推定する必要があるのかを正確に把握します。
  2. 仮説を立てる: 既知の情報や常識を元に、推定に必要な要素を分解し、仮説を立てます。
  3. 計算する: 立てた仮説に基づいて計算を行います。
  4. 検証する: 導き出した数値が妥当かどうかを検証します。

5.2 フェルミ推定の例題と解き方

代表的な例題として、「日本の理髪店の数は?」を挙げて、解き方を解説します。

  1. 問題を明確にする: 日本の理髪店の総数を求める問題です。
  2. 仮説を立てる: 理髪店の数は、人口と理髪店を利用する頻度、そして1店舗あたりの顧客数で推定できると仮定します。
    • 日本の人口:約1億2000万人
    • 男性人口の割合:約50% (6000万人)
    • 理髪店を利用する男性の割合:70% (4200万人)
    • 平均的な利用頻度:1ヶ月に1回
    • 1店舗あたりの平均顧客数:1日10人 × 30日 = 300人/月
  3. 計算する: 4200万人 ÷ 300人/月/店舗 ≒ 14万店舗
  4. 検証する: 14万店舗という数値は、感覚的に多すぎるか少なすぎるかを考えます。例えば、自分の住んでいる街の理髪店の数を思い浮かべたり、インターネットで検索して情報を確認したりすることで、推定値の妥当性を検証します。

図4:フェルミ推定の例

[図を挿入:上記の例題の思考プロセスを図で分かりやすく解説。各要素を分解し、計算式を視覚的に表現する。]

5.3 フェルミ推定で評価されるポイント

フェルミ推定では、以下の点が評価されます。

  • 論理的思考力: 問題を適切に分解し、論理的な手順で推定を進めることができるか。
  • 仮説設定能力: 現実的な仮説を立てることができるか。
  • 計算能力: 正確かつ迅速に計算を行うことができるか。
  • コミュニケーション能力: 思考プロセスを分かりやすく説明できるか。

5.4 練習問題と解答

  • 東京都内にある自動販売機の台数
  • 日本の年間コーヒー消費量
  • 日本の家庭にある冷蔵庫の台数

これらの問題について、上記の手順に沿って、自ら推定に挑戦してみましょう。インターネットなどで答え合わせをするだけでなく、なぜその数値になったのか、思考プロセスを丁寧に振り返ることが重要です。

次の章では、ケース面接について解説します。

6. ケース面接とは?

ケース面接とは、コンサルティングファームの選考プロセスにおける主要な面接形式の一つです。面接官から提示されたビジネス上の課題に対して、制限時間内に解決策を提案し、その思考プロセスや問題解決能力を評価される面接です。本章では、ケース面接の目的、種類、流れ、評価ポイントを詳しく解説し、読者がケース面接に対する理解を深め、効果的な対策を立てられるようサポートします。

6.1 ケース面接の目的

ケース面接は、単に「正解」を導き出すことだけが目的ではありません。面接官は、候補者が以下の能力を持っているかを評価しています。

  • 論理的思考力: 問題を構造的に捉え、MECE(Mutually Exclusive and Collectively Exhaustive:モレなくダブりなく)に分解し、論理的に分析できるか。
  • 問題解決能力: 複雑な問題に対して、創造的かつ効果的な解決策を提案できるか。
  • コミュニケーション能力: 自分の考えを明確かつ簡潔に伝え、面接官との双方向のコミュニケーションを円滑に進めることができるか。
  • ビジネスセンス: ビジネスの状況を理解し、適切な判断を下せるか。
  • プレッシャーへの対応力: 限られた時間の中で、冷静に思考し、パフォーマンスを発揮できるか。

ケース面接の解き方(過去問解説)

(1)フェルミ推定:国内ビジネススーツの市場規模推定

問題:「日本国内のビジネススーツの市場規模を推定せよ」

▷ 解説

①前提条件を設定する

できるだけ簡潔かつ正確に推定を行うために、前提条件を設定したり、語句の定義を確認したりします。

・「ビジネススーツ」は、ビジネスの場面で着用される物を指し、冠婚葬祭で用いられるフォーマルなものや、ジャケットのみのカジュアルなものは含まれないとする。

・「ビジネススーツ」は男性の場合、ジャケットと同じ生地で作られたズボン、女性の場合、ジャケットと同じ生地で作られたスカートのことを指すとし、ネクタイやブラウスなど関連する商品については含まれないとする。

②立式する

①の前提条件をもとに、立式を行います。

今回は以下のように立式を行いました。

日本国内のビジネススーツの市場規模

=日本の労働者人口*ビジネススーツ保有率*年間購入数*単価

③計算する

・日本の労働者人口

日本の労働者人口は6,000万人です。

*労働者人口、単身世帯数など頻出する数字は覚えておきましょう。

・ビジネススーツ保有率

ビジネススーツ保有率を70%とします。

ビジネススーツの着用が必要とされる層として、営業職や一部の接客業、金融業などが挙げられます。また、入社式など特別なビジネスイベントなどでスーツが必要とされるタイミングが想定されるため、日本の第3次産業人口(=全人口の70%)のほとんどが少なくとも1着はスーツを持っていると仮定しました。

・年間購入数

ビジネススーツの1人あたり年間購入数を0.4着とします。

まず、ビジネススーツ保有層を①スーツを常用しない層、②スーツを常用する層に二分し、それぞれの年間購入数を推測します。
スーツの着用頻度が高いほど、スーツの摩耗やファッションの変化に応じて、定期的に新しいスーツを購入する可能性が高いためです。

また、それぞれ①が全体の70%、②30%を占めているとします。
近年オフィスウェアのカジュアル化が進んでいることを踏まえると、スーツを常用する層はビジネススーツ保有層の中でもそこまで多くないと考えられるためです。

以上を踏まえて、それぞれの層がどれほど年間でスーツを購入するか考えます。

①スーツを常用しない層は、スーツを2着保有しており、1着あたりを10年で買い換えるとします。
2着としたのはクリーニングなどの際の替えが必要だと考えたためで、10年としたのは、スーツが比較的耐久年数の長い商品であり、買い替えの主な原因が体型の変化によるものだと想定できるためです。よって平均で、年に2*1/10=0.2着購入すると考えられます。

②スーツを常用する層は、スーツを春夏用・秋冬用それぞれ2着ずつ計4着保有しており、1着あたりを5年で買い換えるとします。
2着ずつとしたのは①と同様の理由であり、5年としたのは、この層はスーツをよく着るためスーツを摩耗しやすいと推測されるためです。
よって平均で年に4*1/5=0.8着購入すると推測できます。

加重平均の考えを用いて計算を行い、全体の平均年間購入着数は0.2*0.7+0.8*0.3=0.38≒0.4着となります。

・単価

1着あたりの平均単価を20,000円とします。

ビジネススーツは、10,000円程度のエントリーレベルの商品から数十万円のハイエンドまで幅広く展開されていますが、品質とコストのバランスを考慮した一般的なビジネスパーソンが選択しそうな価格帯として20,000円前後が想定できるためです。

以上の数値を式にあてはめると、6,000万人*70%*0.4着*20,000円=3,360億円となり、日本国内のビジネススーツの市場規模は約3,360億円と推定できます。

④試算する

今回の結果を踏まえると、労働人口1人当たり平均でビジネススーツに1年で6,315円、2年で12,630円ほどお金をかけていることになり、やや安い気もしますが、ビジネススーツが丈夫な作りのものが多いこと踏まえるとそれほど感覚からかけ離れた数字ではないと言えます。

また、ビジネススーツに関する動向調査(上場「スーツ・紳士服7社」動向調査)によると、「上場するスーツ関連企業7社の2023年度業績をみると、スーツ事業の売上高合計は前年度比約4%増の3600億円に上る見通し」とされており、こちらからも妥当な結果だということができそうです。

(2)ケース:大手スーツ会社の売上市場施策

問題:「大手スーツ会社の売上市場施策を考案せよ」

▷ 解説

①前提条件を設定する

面接官と一緒に設定を確認しても良いと思いますが、前提条件をしっかりと置くことは、他の候補者と差がつくポイントである『施策の筋の良さ』を担保する上で、とても重要になるため必ず行うようにしましょう。今回は以下のように前提条件を設定しました。

・クライアント企業は、業界シェア1位(A社)を設定

・施策期間は1~2年程度、成長目標は+15%程度と設定

・目標はビジネススーツに限らず、会社全体での成長とする

②現状分析を行う

・市場環境

テレワークの普及、オフィスウェアのカジュアル化に伴い、従来のフォーマルなビジネススーツの需要は減少し、ビジネススーツ市場は縮小傾向にあると考えられます。

一方で、対面でのビジネスシーンやフォーマルな場においては引き続きビジネススーツが重要視されており、機能性やファッション性を兼ね備えたスーツへの需要も想定できます。

・競合環境

大手企業群が乱立しており、各社がシェアを奪い合っていると想定されます。特に、A社には同様の知名度・売上規模の競合が2〜3社存在していると考えられます。

ただし、大手企業が既に顧客基盤を確立している点、業態が製造業である為に一定量のキャッシュが必要となる点、市場の急成長が見込めない点などを踏まえると新規企業が当該市場へ積極的に参入する可能性は低いと考えられます。

自社環境(A社)

クライアント企業であるA社は長い歴史を持つ大手企業であり、ビジネススーツだけでなく、フォーマルスーツ、カジュアルスーツを含め、ビジネスウェア関連製品を広く展開しており、商品の価格帯についても1万円前後の既製品から10万円ほどのオーダーメイド製品までを扱っている。販路についても全国に実店舗があり、自社のECサイトでの販売も行っている。

③課題を特定する

フェルミ推定での立式を参考にしつつ、課題を特定して言いきます。

本題においては、市場が縮小傾向にあることや同規模の競合企業があることから、客数に改善の余地があるといえそうです。

また、従来よりもフォーマルな場での需要の率が高まっていることから、客単価についても向上の余地があると考えられます。

④施策を具体化する

客数の向上については、具体的には

・スーツやスーツ関連商品を買う新規顧客層の獲得

・競合他社の顧客の争奪

が考えられます。しかし、スーツは普及率の高い商品であり、スーツを必要とする人は基本的にスーツを所持していると考えられるため、販路拡大などにより市場内シェアを高める方向性を選択します。

客単価の向上については、具体的には

・購買頻度の増加

・購買価格の増加(アップセル・クロスセル)

が考えられます。カジュアル化が進む中で、購入頻度の増加は現実的ではないため、今回はアップセルを目指す方向性を選択します。

ただし、実際のケース面接では、客数と客単価の双方に施策を打つことは、イシューが絞られていない印象を受けるため推奨しません。今回は解説のため両方のパターンを記載します。

・施策1:大手ECへの販路の拡大

現在は自社ECでしか販売を行っていませんが、ZOZOTOWNなど大手ECサイトに出店することで、気軽にスーツを買うことができ、新規顧客を見込めると判断しました。

スーツは一般的に、店で試着・計測をしないと買えないイメージがありますが、大手ECサイトは過去に買った服のサイズから商品を選択する機能もあるため、スーツを買う際の利便性向上に大きく寄与すると考えられます。

また、その際、リモートワーク用のカジュアルウェアなど、トレンドに合わせ利用者のニーズに合った商品をプロモートすることでより効果的な販売が期待できます。

・施策2:実店舗での高級ライン強化

一方で、実店舗では、単価の高い商品やオーダーメイドの製品の販売に注力することでアップセルが見込めると考えました。

実店舗に足を運ぶ顧客の場合、より品質の高い商品を求めている傾向があると考えられ、リモートワークの普及やカジュアル化に伴い、1人当たりの購入頻度が低下傾向にある今だからこそ「一生物のスーツを」といった謳い文句で単価の高い商品の購入を促進できると期待できます。

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我々のマンツーマン指導プログラムについて

サービス開始の2022年以来、少数精鋭ではありながら、
累計で受講生の戦コン内定率が約43% (新卒約45%/既卒約40%)
(通常、戦コン志望者のうち内定を取れるのは数%程度とされます)
という驚異的な内定者輩出実績を誇る我々Strategistsが
多数の受講生の指導や教材制作を経て蓄積・言語化してきたオリジナルのノウハウを基に、本番での評価ポイントを熟知したMBB面接官経験者の視点も組み込みながら、最強のケース対策プログラムを制作しました。

我々のプログラムの最大の特長は、
ケース面接初心者苦手意識のある方であっても
再現性高く最短距離で最高峰(内定レベル)のケース力
を習得することができる点です。

実は我々のお客様の63%は入会時点で
「一才対策はやってない」or「市販の書籍を読んだ程度」
「初心者」ないし「初級」のお客様です。

再現性高く、最短距離で、内定を取れる理由

最高のケース面接対策プログラムの設計を始めたとき、
我々のチームが最初に考えたのが
「理想的な上達プロセス」についてでした。

スポーツでも勉強でも、何か新しいことを始めるとき
「最短距離で最高峰を目指そう!」と思ったら
どういうやり方をするのが正解なのだろうか?
それについて考えるところから始まりました。

結論、我々が辿り着いた答えは
①学習する:プロから正しく学ぶ
②練習する:繰り返し練習し学んだことを自分の体に染み付かせる
③実践する:実践で到達度や課題を明確化する
→①②に戻る
というサイクルを回すことが
「理想的な上達プロセス」
なのではないか?ということでした。

そこで、この「理想的な上達プロセス」に沿う形で
さまざまな教材・トレーニングメニューを綿密に設計・用意し
「内定レベルのケース面接」を最短距離で習得できるカリキュラムが完成しました。

プログラムの全体像はこちらです。

①正しく学ぶ

Strategistsのオリジナル教材、教科書・動画講座を使って
必要な思考法や知識を体系的にインプットしていただきます。

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②反復練習で定着:課題ケース演習

厳選した良問を、自主課題としてメンターが指定。
時間制限を設けず熟考する形式で自主演習し、
さらに専用フォームに筆記ケース形式でアウトプットしていただきます。
教科書や動画講座で学んだ思考法や知識を思い返しながら
実際の過去問を題材に試行してみる。
あなたの思考力が”変わる・鍛えられる”のが
このトレーニングの役割です。

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③実践&現状把握:模擬ケース面接

専属メンターと模擬面接を実施。
詳細なフィードバックをもらうことで
現状を把握し、弱点・課題を発見できるのはもちろん
内定レベルの解答例や思考のポイントなど
1問を題材に「次に活かせる」学びを詳しく解説します。

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メンタリングの質へのこだわり

皆さんは『メンタリングの質』というものについて考えたことはありますか?我々は『問題を解き→フィードバックをもらい→模範解答を見る』というプロセスを経ての成長幅こそが『メンタリングの質』だと考えています。

『メンタリングの質』はメンターの質はもちろん、扱う問題と模範解答の質によって決まると考えており、我々のサービスでは厳選された問題からしか出題を行いません。メンタリングでの使用を構想してから実際にお客様にお出しする「デビュー」までに数ヶ月かかることも多いです。

我々はケース対策における「良問」を
・得られる学びが深くて多い
・抽象化して次に活かせる普遍性がある
・これまでのお題とも次回以降のお題とも被らない新たな学びがある

と定義しています。各問題が単に「マッキンゼー対策」「公共系」のような表面的なジャンル分けにとどまらず、「BSとPLの構造理解」「”実現可能性とインパクト”の落とし穴」「サブスク事業のキードライバー」など裏テーマが設定してあります。

ケース対策は量よりも圧倒的に質です。
質の高いメンター×体系的な基礎インプット×良問での演習確実に内定をGETするなら我々にお任せください。

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扱った問題のポイントや解答例をまとめた資料をご共有。
復習にご活用いただけます
※現時点では、扱う問題によって資料が無い場合もございます。

初回体験を申し込む

ここまで読んでいただき、マンツーマン指導に興味を持っていただいた方は、まず初回メンタリングをお受けください無理な勧誘等は一切ございません。お気軽に申し込みください。

模擬面接+FBはもちろん、参加特典としてMBB過去問を題材に
『再現性高くライバルに差をつけるアウトプットを出す方法』
を徹底解説したPDF資料
をプレゼント!

単なる”模範解答例”ではなく、問題のポイントや次に活かせる学びをまとめています。

我々の初回メンタリングはありがちなサービス勧誘・営業の場ではなく
 本プログラムの 『0講目』の扱いですから、
「これがStrategistsのクオリティか」とご実感いただける機会になることをお約束します。

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参加特典

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