ケース面接で「受注額が目標に届かない理由を考えてください」と出題されると、受注額をどう切り分けて何を確認するかをすぐに決断しなければなりません。そこで活躍するのが因数分解の考え方です。
因数分解とは、お題の数字を足し算や掛け算をすることで元に戻る要素に分けた式にすることです。掛け算で分ければ打ち手の種類が、足し算で分ければ問題の場所が分かります。
この記事では、掛け算と足し算の使い分け、分けた要素を目標の数字と比べて原因を絞る方法、勤怠管理ソフトの会社の受注額を使った例題について解説します。
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ケース面接の因数分解とはお題の数字を要素に分けること
売上や受注額のお題では、数字を掛け算で分けるか足し算で分けるかによって、式から分かることが変わります。因数分解でお題の数字をどんな形に分けるのかを知り、お題に合わせてどちらから分けるかを決めましょう。
お題の数字を元に戻せる要素に分けて式にする
ケース面接でいう因数分解は、売上や利益、受注額のようなお題の数字を、いくつかの要素に分けて式に表すことを指します。要素分解と呼ばれることもあります。分けた要素は、掛け合わせるか足し合わせると元の数字に戻る形にしておきましょう。
元に戻る形になっていれば、どの要素の数字が変わるとお題の数字がどれだけ変わるかを、式の上で追えます。お題を出されたら、答えを考える前に、その数字を式に書くところから始めてください。
掛け算で打ち手を探し足し算で問題の場所を探す
掛け算で分けた式と足し算で分けた式は、分かることが違うので使い分けが必要です。売上を客数と客単価に分ける掛け算の式からは、客数を増やすか客単価を上げるかという、数字を動かす打ち手の種類が分かります。売上を商品別や地域別、顧客の種類別に分ける足し算の式からは、どの商品や地域で数字が落ちているかという問題の場所を探せます。
お題が売上をどう伸ばすかを問うなら、掛け算から分け始めるとよいでしょう。売上が落ちた理由や場所を問うお題でも、先に掛け算で差の出た要素を見つけてから、その要素の数字を足し算でもう一段分けると、原因と、問題が起きている場所の両方を絞り込めます。
分けた式を一段ずつ広げるとロジックツリーになる
分けた要素の数字を、さらに細かい要素に分けていくと、式は一段ずつ枝分かれしていきます。この枝分かれを、元の数字を左端に書いて右へ広げた図にしたものがロジックツリーです。
面接で紙に書くときは、最初の式を左端に、さらに分けた要素をその右に書き足すと、どの要素をどこまで分けたかを面接官も追えます。式を頭の中だけで組み立てず、ロジックツリーの形で紙に書きながら分けていきましょう。
因数分解の分け方は元の数字に戻るかと打ち手につながるかで選ぶ
お題の数字を式に表す方法を知ると、売上ひとつでも、客数と客単価、商品別、地域別と、いくつもの分け方が思い浮かびます。その中から、元の数字に戻るかと、打ち手につながるかの2点で、使う式を選びましょう。
分けた要素が元の数字に戻るかを確認する
分けた要素に漏れや重なりがあると、計算した答えがお題の数字からずれていきます。漏れなく重なりなく分けることを、MECEと呼びます。分けた式がMECEかどうかを確認するには、要素を掛け合わせたり足し合わせたりして、元の数字に戻るかを計算してください。
たとえば売上を新規客と既存客の売上に分けたのに、どちらにも入らない客がいれば、足しても売上に戻らず、漏れがあると分かります。元の数字に戻らない式は、面接官に見せる前に分け直しましょう。
会社が動かせる要素のうち面接官に数字を尋ねられるもので分ける
元の数字に戻る式が複数あるときは、会社自身が動かせる要素に分かれる式を選びましょう。会社は担当者の数や価格、売る商品を自ら決められますが、景気のように会社の外で決まる要素は、会社の判断では変えられません。戦略コンサルの仕事では、クライアントが自分で実行できる打ち手まで示すことが求められるため、景気のような要素だけで分けた式は打ち手につながりにくくなります。
あわせて、面接官に尋ねれば数字が手に入る要素かどうかも確認してください。数字が手に入らない要素で分けると、後で目標と比べる段階で手が止まってしまいます。
具体的な打ち手が浮かぶ段階で分けるのを止める
会社が動かせる要素で分けた式も、どこまでも細かく分けられますが、分けすぎると計算に時間を取られ、結論を話す時間が足りなくなります。要素を見て具体的な打ち手が1つ浮かぶ段階まで分けたら、それ以上は細かくしないでおきましょう。
たとえば客数を新規客と既存客に分けた段階で、新規客を増やす広告や既存客を呼び戻す割引が浮かぶなら、そこで止めて構いません。
ケース面接では書いた式を面接官に見せてから数字を尋ねる
ケース面接では、打ち手が浮かぶ段階まで分けた式を紙に書いて面接官に見せ、分け方に同意を得てから数字を尋ねましょう。数字を尋ねた後で分け方を直すと、集めた数字の一部が使えなくなり、式を書き直す手戻りが生じます。
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分けた要素ごとに目標の数字と比べると差の原因を絞り込める
面接官に式を見せて同意を得ても、お題の数字を要素に分けただけでは原因を答えたことにならないため、要素ごとに目標の数字と比べて差の出た要素を探しましょう。
計画と今の数字を要素ごとに並べて差が出た要素を探す
分けた式の要素ごとに、計画や目標、前年の数字と今の数字を並べると、どの要素で差が出たかが分かります。差が出た要素が分かれば、その要素を動かす打ち手に話を絞れます。
要素が多く、すべての数字を尋ねると時間が足りなくなりそうなときは、前提の確認で聞いた話(料金や体制を変えたかなど)から差が出そうな要素に当たりをつけ、その要素の数字から先に面接官に尋ねましょう。当たりをつけた理由も一言添えておけば、面接官は考えの筋道を追えます。
打ち消し合う要素は1つずつ動かして差を計算する
ある要素が下がって別の要素が上がると、合計の差は小さく出て、原因が分からなくなります。たとえば受注率が下がった分を値上げで補っていれば、どちらがどれだけ受注額を動かしたかを合計から読み取ることはできません。
そこで、要素を1つずつ計画の数字から今の数字に動かし、動かすたびに差を計算しましょう。動かした差を足し合わせて合計の差と一致すれば、切り分けに漏れがないと確認できます。
フェルミ推定の分け方とは目的が違う
フェルミ推定のお題でも、数字を要素に分けて式に表すところまでは同じです。ただし、フェルミ推定では分からない数字を見積もることを目的に分けるのに対し、売上や受注額のお題では、目標との差がどの要素から生まれたかや、どの要素を動かせば数字が伸びるかを探すために分けます。
見積もるお題か、原因や打ち手を探すお題かを最初に聞き分け、原因を探すお題では要素ごとに目標と比べるところまで進めましょう。
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ソフト会社の受注額を因数分解する例題
法人向けソフトの受注額のお題を、前提を面接官に尋ねるところから、掛け算と足し算で原因を絞り、打ち手を伝えるところまで、計算しながら1問解いてみましょう。
新規受注額に含める契約と目標の出どころを面接官に尋ねる
例えば、勤怠管理のクラウドソフトを中小企業に売るT社で、今年度の新規受注額の目標を3億円にしていたのに、見込みは2億6,400万円にとどまりそうだとします。その原因を明らかにし、来年度に3億円を達成する打ち手を提案するお題です。
計算に入る前に、受注額に何を含めるか、目標の3億円を計画のどんな数字から出したか、今年度に料金や営業の体制を変えたかを面接官に尋ねましょう。尋ねた結果、次の4点が分かったとしましょう。
- 受注額:新規顧客との1年分の契約額の合計(既存顧客の更新は対象外)
- 目標の3億円:営業の計画の数字を積み上げて出した額
- 料金:今年度から1割の値上げ
- 営業担当者の数:据え置き
目標が計画の数字から出ていると分かれば、計画と見込みを同じ式で比べられます。料金を1割上げているので、受注額の差には値上げの影響も混ざっているはずです。更新を含めないと決めておけば、新規の商談だけを数えて式を立てられます。
受注額を営業担当者数と商談件数と受注率と契約額に分ける
新規受注額は、法人向けの営業の流れに沿って、次の4つの要素の掛け算で表せます。
- 新規受注額=営業担当者数×1人あたりの年間の商談件数×受注率×1件あたりの年間の契約額
4つの要素はどれも会社が動かせるうえ、面接官に尋ねれば数字が手に入り、担当者を増やすか、商談を増やすか、商談で勝つ割合を上げるか、単価を上げるかという打ち手の種類にもそのまま対応しています。掛け合わせると受注額に戻ることを確認したら、式を紙に書いて面接官に見せ、この分け方で進めてよいか同意を得てください。
計画と見込みを要素ごとに比べて受注率の低下に絞る
式に同意を得たら、計画と見込みの数字を要素ごとに面接官に尋ねます。次の数字が返ってきたとして、2列に書き分けておきましょう。
| 要素 | 計画 | 見込み |
|---|---|---|
| 営業担当者数 | 10人 | 10人 |
| 1人あたりの年間の商談件数 | 120件 | 120件 |
| 受注率 | 25% | 20% |
| 1件あたりの年間の契約額 | 100万円 | 110万円 |
| 新規受注額 | 3億円 | 2億6,400万円 |
計画は10人×120件で商談が1,200件、そのうち25%の300件を受注し、300件×100万円=3億円になる計算です。見込みは同じ1,200件の商談のうち20%の240件を受注し、240件×110万円=2億6,400万円にとどまります。差は3億円−2億6,400万円=3,600万円です。
表で計画と変わった要素は、受注率と契約額の2つだけです。営業担当者数と商談件数は計画どおりなので、原因の候補は受注率か契約額に絞れます。ただし契約額は計画より上がっているので、受注額を減らした原因は受注率の低下だと見当がつきます。
見当を数字で確認するため、受注率と契約額を1つずつ計画から見込みへ動かしましょう。受注率だけが25%から20%に下がると、受注は240件で、240件×100万円=2億4,000万円となり、計画より6,000万円減ります。続けて契約額を100万円から110万円に上げると、240件×10万円=2,400万円増えます。
差し引きは6,000万円−2,400万円=3,600万円の減少で、先に出した差と同じ額です。これで、受注率の低下が主な原因で、値上げで増えた分がその一部を打ち消していたことを数字で確認できました。
受注を顧客の規模で足し算に分けて中規模企業に絞る
受注率の低下に絞れた段階で、どの顧客との商談で受注を落としたのかを足し算で探しましょう。面接官に顧客の規模ごとの数字を尋ねると、商談1,200件は小規模企業600件と中規模企業600件に分かれ、計画ではどちらも受注率25%を見込んでいたとします。
| 顧客の規模 | 商談 | 受注率(見込み) | 受注 |
|---|---|---|---|
| 小規模企業 | 600件 | 25% | 150件 |
| 中規模企業 | 600件 | 15% | 90件 |
| 合計 | 1,200件 | 20% | 240件 |
小規模企業は600件×25%=150件で、計画の受注率25%のとおりです。中規模企業は600件×15%=90件で、計画の25%を大きく下回っています。150件+90件=240件は見込みの受注件数と一致し、受注率の低下が中規模企業との商談に集中していると分かりました。
中規模企業で受注を落とした理由を面接官に尋ねると、他社の製品と比べられ、給与計算ソフトとつながる機能がないことと値上げを理由に断られることが多い、という答えだったとします。絞り込めた原因は機能の不足と値上げの2つなので、打ち手でどこまで受注を戻せるかを計算しましょう。
目標に届く中規模企業の受注率を計算する
打ち手を選ぶ前に、目標の3億円まで受注をあと何件増やせばよいかを計算しましょう。差の3,600万円を今の契約額110万円で割ると、3,600万円÷110万円≒32.7件で、受注を33件以上増やす必要があります。中規模企業の受注率を20%に戻しても600件×20%=120件で、増える受注は33件に足りないので、目安は1つ上の21%です。
中規模企業の受注率を15%から21%に戻すと、600件×21%=126件で、受注は36件増えます。36件×110万円=3,960万円が上乗せされ、受注額は2億6,400万円+3,960万円=3億360万円と目標に届く計算です。打ち手を選ぶときは、中規模企業の受注率を21%以上に戻せるかを基準にしましょう。
料金を値上げ前に戻す案と比べて打ち手を選び検算する
中規模企業が値上げも断る理由に挙げているため、面接官から「値上げを戻せば受注率も戻るのでは」と聞かれることもあります。その場合は、契約額を100万円に戻した条件で計算し直しましょう。中規模企業の受注率が同じ21%まで戻っても、受注は150件+126件=276件で、276件×100万円=2億7,600万円となり、目標に2,400万円届かない計算です。
料金を値上げ前に戻したうえで3億円を達成するには、中規模企業の受注率を25%まで戻して受注を300件にする必要があります。料金を今のままにする案を選ぶ前に、全体の数字でも検算しておきましょう。中規模企業の受注率を21%に戻すと、受注276件は商談1,200件の23%(276件÷1,200件)に当たり、1,200件×23%×110万円=3億360万円で目標の3億円を上回ります。
検算で目標に届くと確認できたら、料金は今のまま、中規模企業向けに給与計算ソフトとつながる機能と導入の支援を用意し、受注率を21%以上に戻す打ち手を優先すると面接官に伝えてください。
Strategistsは、式を立てて計算する力は一人でも伸ばせる一方で、分け方を問われたときの受け答えは、経験者が面接官を務める模擬ケース面接で客観的な指摘を受けると上達が早いと考えています。
まとめ
数字のお題は、要素に分けて計画と比べ、差の出た要素をもう一段分けたところで結論が出ます。受注額の例題でも、差の出た受注率を顧客の規模で分け直したところで、原因が中規模企業での失注だと分かり、受注率を戻す打ち手も決まりました。式を一段ずつ分け直すたびに、面接官に伝えられる原因が一つずつ具体的になります。
例題の表だけを手元に残し、受注率と契約額を1つずつ動かす計算を、本文を見ずに書き直すところから始めましょう。差の計算を最後まで書けたら、勤め先やアルバイト先の売上を掛け算に分け、計画と今の数字を両方仮定して、差の大きい要素を足し算でもう一段分ける練習に移ってください。
本記事のテーマを頭で理解しても、実際のケース面接で使いこなせるかどうかは別問題です。
「示唆が出せない」「分析が浅い」といった課題は独学では気づきにくく、放置すると本番まで改善されないまま終わることも少なくありません。
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再現性高く、最短距離で、内定を取れる理由
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スポーツでも勉強でも、何か新しいことを始めるとき「最短距離で最高峰を目指そう!」と思ったらどういうやり方をするのが正解なのだろうか?それについて考えるところから始まりました。
結論、我々が辿り着いた答えは
①学習する:プロから正しく学ぶ
②練習する:繰り返し練習し学んだことを自分の体に染み付かせる
③実践する:実践で到達度や課題を明確化する
→①②に戻る
というサイクルを回すことが「理想的な上達プロセス」なのではないか?ということでした。
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