「戦略コンサルのケース面接、特に『海外進出』や『市場選定』といったグローバルな視点が求められる発展系のお題は、どうアプローチすればいいんだろう…」
「JR東海が新幹線を海外に売り込むとしたら、どの国がいいか?なんて、考えたこともない…」
ケース面接過去問解説シリーズ、待望の第二弾!
前回は「新商品開発」という発展系ケースを取り上げましたが、今回はさらに視野を広げ、「海外市場への展開」という、戦略コンサルティングファーム、特にMBB(マッキンゼー、BCG、ベイン)の面接で頻出する、よりダイナミックな発展系ケースに挑戦します。
お題は「JR東海が新幹線を海外に売り込むとしたら、どこの国がいいか」。
この記事では、実際にMBBの内定を獲得した筆者が、このお題を題材に、海外進出戦略を策定する上での思考プロセス、フレームワークの活用法、そして面接官に「なるほど!」と思わせるための分析の深め方や「差がつくポイント」を徹底的に解説します。
この記事を最後まで読めば、複雑で情報が少ない海外市場選定ケースに対する具体的なアプローチ方法が身につき、グローバルな視点と戦略的思考力をアピールできるようになるはずです。
目次
- 海外進出系ケースとは?その特徴とMBBが評価するポイント
- 【ケース面接 例題解説】「JR東海が新幹線を海外に売り込むとしたら、どこの国がいいか」
- 前提確認と「売り込む」の定義、評価軸の設定
- 市場選定のスクリーニング:マクロ環境分析と鉄道インフラニーズ
- 候補国の絞り込みと魅力度評価
- JR東海の強みとのフィット分析
- 結論とリスクヘッジ、ディスカッションのポイント
- MBB面接官からの一言アドバイス:海外進出系ケースで差をつけるには?
- 海外進出系・市場選定系ケース面接突破のための効果的な対策法
- まとめ:グローバルな視座と緻密な分析で、海外進出系ケースを制覇する
ここからは、まず「海外進出系ケース面接」とは何か、その特徴と評価ポイントから見ていきましょう。
1. 海外進出系ケースとは?その特徴とMBBが評価するポイント
海外進出系のケース面接は、特定の企業がある製品やサービスを海外のどの市場に展開すべきか、あるいはどのように展開すべきかを問う形式のケース面接です。国内市場のケースとは異なり、文化、法制度、経済状況などが大きく異なる海外市場を対象とするため、よりマクロな視点、異文化理解、そして不確実性の高い状況下での意思決定能力が試されます。
- 情報量の圧倒的な不足:
国内市場と比べて、海外の特定市場に関する詳細な情報を面接の場で得ることは困難です。そのため、既知の知識や一般的な国際情勢、経済指標などから論理的に推論し、仮説を構築していく能力が極めて重要になります。 - 多岐にわたる評価軸の設定:
「どの国がいいか」という問いに対して、評価軸は一つではありません。市場規模、成長性、収益性、競合状況、政治的安定性、法制度、インフラ整備状況、自社の強みとのシナジーなど、複数の評価軸をバランス良く設定し、総合的に判断する必要があります。 - マクロ環境分析の重要性:
PEST分析(政治・経済・社会・技術)のようなマクロ環境分析が、市場のポテンシャルやリスクを把握する上で非常に有効です。特に新興国市場などを対象とする場合は、カントリーリスクの評価も欠かせません。 - 「なぜその国なのか?」という論理の深さ:
単に「市場が大きいから」「成長しているから」といった理由だけでなく、「なぜその市場がクライアントにとって魅力的なのか」「クライアントの強みがその市場でどのように活かせるのか」といった、より深いレベルでの論理的な説明が求められます。 - 異文化・多様性への理解と配慮:
進出先の文化、商習慣、消費者行動の違いを理解し、それを戦略に反映させる視点も重要です。画一的なアプローチではなく、現地に合わせたローカライズの必要性なども考慮に入れる必要があります
2. 【ケース面接 例題解説】「JR東海が新幹線を海外に売り込むとしたら、どこの国がいいか」
それでは、海外進出系ケースの具体的なお題として「JR東海が新幹線を海外に売り込むとしたら、どこの国がいいか」を取り上げ、思考プロセスと解答のポイントをステップごとに解説していきます。
お題:JR東海が、日本の新幹線システム(車両、運行システム、保守技術などを含むパッケージ)を海外に初めて売り込むとした場合、どの国を最初のターゲットとすべきか、理由とともに提案してください。(思考時間:10分、その後ディスカッション)
ケース面接の進め方(海外市場選定):
- 前提確認と「売り込む」の定義、評価軸の設定: お題のスコープ、クライアントの目的、成功の定義を明確にする。
- 市場選定のスクリーニング:マクロ環境分析と鉄道インフラニーズ: 広範な国々から、一定の基準で候補を絞り込む。
- 候補国の絞り込みと魅力度評価: スクリーニングで残った国々を、より詳細な評価軸で比較検討する。
- JR東海の強みとのフィット分析: 選定した市場で、JR東海の強みがどのように活かせるかを分析する。
- 結論とリスクヘッジ、ディスカッションのポイント: 最終的な提案国とその理由、潜在的なリスクと対策を提示する。
ステップ1:前提確認と「売り込む」の定義、評価軸の設定(思考時間:〜1分30秒)
まず、お題の曖昧な部分を明確にし、議論の方向性を定めます。
- クライアント(JR東海)について:
- 「新幹線システム」とは具体的に何を含むか?(車両、線路敷設、運行管理システム、保守技術、人材育成など全てか、一部か?)
- 面接官:「車両、運行システム、保守技術のパッケージを基本とするが、線路敷設などのインフラ整備も必要に応じてコンサルティングや技術支援を行うイメージ。」
- JR東海の海外進出の目的は何か?(短期的な収益獲得か、長期的な技術ブランディングか、日本の国際貢献か?)
- 面接官:「短期的収益も重要だが、日本の新幹線技術の国際的なプレゼンス向上と、長期的な関係構築による安定的な収益確保を重視したい。」
- JR東海の強み・弱みは何か?(例:安全性・定時運行の実績、技術力、価格競争力、海外事業経験の有無など)
- 面接官:「安全性・定時性は世界最高水準。ただし、海外での大規模プロジェクトの経験は限定的。コストは他国の高速鉄道システムと比較して高めになる可能性がある。」
- 「新幹線システム」とは具体的に何を含むか?(車両、線路敷設、運行管理システム、保守技術、人材育成など全てか、一部か?)
- 「売り込む」の定義:
- 単なる技術供与か、建設・運営への参画まで含むのか?
- 面接官:「案件によるが、技術パッケージの提供に加え、コンソーシアムを組んで一部建設や運営に関与することも視野に入れる。」
- 単なる技術供与か、建設・運営への参画まで含むのか?
- 「どこの国がいいか」の評価軸:
- どのような基準で国を選定するか?(例:市場規模、経済成長性、インフラ整備ニーズ、財政状況、政治的安定性、親日度、競合状況、技術的適合性など)
- 初期仮説として、少なくとも「高速鉄道の潜在的需要の大きさ」「プロジェクト実現に必要な財政力・政治的安定性」「日本の技術に対する受容性」あたりが重要ではないかと考える。
面接官への確認・提案(例):
「本日は、JR東海が初めて新幹線システムを海外展開するにあたり、最初のターゲット国を選定し、その理由を提案するというお題ですね。
『新幹線システム』は車両・運行・保守技術のパッケージ、『売り込む』は技術提供に加え一部建設・運営への関与も含むと理解しました。
ターゲット国選定の評価軸としては、大きく①市場の魅力度(高速鉄道の必要性、将来性)、②実現可能性(財政力、政治的安定性、インフラ整備状況)、③JR東海との適合性(技術的親和性、日本のプレゼンス、競合状況)の3つの観点から総合的に判断したいと考えておりますが、いかがでしょうか?」
ステップ2:市場選定のスクリーニング:マクロ環境分析と鉄道インフラニーズ(思考時間:〜3分)
世界中の国々の中から、設定した初期評価軸に基づいて、ある程度有望な候補国群を絞り込みます。いきなり特定の国を挙げるのではなく、論理的なプロセスで絞り込むことが重要です。
- スクリーニング軸1:一定以上の国土面積と人口規模
- 新幹線のような大規模高速鉄道システムは、ある程度の長距離輸送ニーズが見込める国土の広さと、それを支える人口規模が必要。
- → 極端に小さな国や人口の少ない国は除外。
- スクリーニング軸2:経済発展段階とインフラ投資余力
- 一定の経済力があり、大規模なインフラ投資を行う余力がある国。あるいは、国際的な開発援助が見込める国。
- → 著しく経済状況が不安定な国、最貧国などは優先度を下げる。
- スクリーニング軸3:高速鉄道の明確なニーズ
- 主要都市間の距離が長く、航空や既存鉄道では輸送力や時間に課題がある。
- 人の移動や物流の活発化による経済効果が期待できる。
- 地形的に建設が可能(極端な山岳地帯や砂漠地帯ばかりではない)。
- → 高速鉄道の必要性が低い国(例:既に高度な鉄道網が整備されている欧州の一部など)は除外。
- スクリーニング軸4:政治的安定性と対日関係
- 長期的なプロジェクトとなるため、政治的に安定しており、契約や投資の安全性が確保される国。
- 日本や日本の技術に対して友好的、あるいは少なくとも中立的な国。
- → 著しく政情が不安定な国、反日感情が強い国はリスクが高い。
この段階での思考プロセス例:
- 「まず、大陸別にざっくりと見てみよう。アジア、北米、南米、欧州、アフリカ、オセアニア…」
- 「アジアは経済成長が著しく、人口も多く、インフラ整備ニーズが高い国が多い。特に東南アジアやインドは有望かもしれない。」
- 「北米はアメリカが国土も広く、都市間輸送の課題もあるが、航空網が発達しており、鉄道文化が日本ほど根付いていない。カナダは人口密度が低いエリアが多い。」
- 「南米は経済成長のポテンシャルはあるが、財政的に不安定な国も多い。ブラジルなどは国土も広い。」
- 「欧州は既にTGVやICEなど高速鉄道網が発達している国が多い。東欧などには可能性があるか?」
- 「アフリカは将来的なポテンシャルは大きいが、現状では財政力や政治的安定性に課題がある国が多い。」
- 「オセアニアはオーストラリアが国土は広いが、人口密度が低く、主要都市間の距離が離れすぎている箇所もある。」
このような思考を経て、「アジア(特に東南アジア、インド)」「北米(アメリカの一部区間)」「南米(ブラジルなど)」あたりを初期の候補地域として大まかに絞り込む。
ステップ3:候補国の絞り込みと魅力度評価(思考時間:〜3分)
スクリーニングで残った候補地域・国の中から、さらに具体的な国名をいくつか挙げ、それぞれの魅力度と課題を比較検討します。ここでは仮に「インド」「タイ」「アメリカ(テキサス州など特定区間)」「ブラジル」を候補として考えてみます。
国/地域 | 高速鉄道ニーズ (都市間距離、人口密度、既存インフラ) | 経済力・財政力 (GDP、成長率、投資余力) | 政治的安定性・対日関係 (カントリーリスク、親日度) | 競合状況 (他国の高速鉄道技術、航空) |
---|---|---|---|---|
インド | ◎ (大都市間多数、人口急増、既存鉄道混雑) | ⚪︎ (高成長、インフラ投資積極的、財政課題あり) | ⚪︎ (比較的安定、親日的、複雑な国内政治) | ⚪︎ (中国、欧州勢が関心、航空も成長) |
タイ | ⚪︎ (バンコク中心、周辺国連結の可能性、観光需要) | △ (中所得国、ODA依存の可能性、成長は堅調) | △ (政治変動リスクややあり、親日的) | ◎ (中国(一帯一路)が積極的) |
アメリカ | ⚪︎ (特定区間、例:ダラス-ヒューストン、航空優位) | ◎ (世界最大の経済大国、州ごとの財政力) | ◎ (安定、同盟国だが貿易摩擦等の火種も) | △ (航空会社、自動車文化、欧州勢も関心) |
ブラジル | ⚪︎ (リオ-サンパウロ間など、国土広大) | △ (経済不安定性、高インフレリスク、資源依存) | △ (政治不安定リスク、汚職問題) | ⚪︎ (欧州勢、中国勢が関心) |
評価と絞り込み:
上記の簡易的な比較から、
- インド: ニーズ、成長性は非常に高いが、財政力やプロジェクト推進の複雑さに課題。
- タイ: 一定のニーズはあるが、中国の影響力が強く、財政面での依存も懸念。
- アメリカ: 特定区間では有望だが、鉄道文化の違いや航空との競合が激しい。州ごとの判断も必要。
- ブラジル: 経済・政治の不安定要素が大きい。
この段階で、「インド」が最もポテンシャルとJR東海の長期的なプレゼンス向上という目的に合致しそうだと仮説を立てる。ただし、課題も多いため、リスクヘッジも考慮する必要がある。
ステップ4:JR東海の強みとのフィット分析(思考時間:〜1分30秒)
選定した国(ここではインド)に対して、JR東海の強みがどのように活かせ、弱みがどのように影響するかを分析します。
- JR東海の強みとインド市場のフィット:
- 安全性・定時性: インドの既存鉄道は事故が多く、遅延も常態化しているため、日本の新幹線の安全性・定時性は非常に大きな魅力となる。
- 大量輸送能力: 人口密度の高いインドの都市間輸送において、新幹線の大量輸送能力は不可欠。
- 耐災害性: 地震やモンスーンなど、自然災害の多いインドにおいて、日本の災害に強い鉄道技術は評価される可能性。
- 政府開発援助(ODA)との連携: 日本政府はインドへのインフラ支援に積極的であり、円借款などを活用したプロジェクトファイナンスが組みやすい。
- JR東海の弱みとインド市場での課題:
- 高コスト: インドの物価水準や財政状況を考えると、日本の新幹線システムは高コストになる可能性があり、価格競争力が課題。
- 現地でのプロジェクト遂行能力: 海外での大規模インフラプロジェクトの経験不足。現地の労働慣行、法制度、用地買収など、カントリーリスクへの対応。
- 技術移転と現地化: 現地での部品調達、人材育成、保守体制の構築といった長期的な課題。
ステップ5:結論とリスクヘッジ、ディスカッションのポイント
これまでの分析を踏まえ、最終的な提案国とその理由、そして潜在的なリスクと対策を提示します。
報告の構成例:
「JR東海が新幹線システムを初めて海外に売り込むターゲット国として、私はインドを提案いたします。
主な理由は3点です。
第一に、市場の魅力度が極めて高い点です。インドは人口14億人を抱え、今後も経済成長が見込まれる大国であり、ムンバイ-アーメダバード間をはじめとする主要都市間には、既存鉄道の混雑緩和や経済活性化のための高速鉄道の明確なニーズが存在します。
第二に、JR東海の強みが活かせる点です。インドの鉄道における安全性や定時性の課題に対し、日本の新幹線技術は大きな価値を提供できます。また、日本のODA(政府開発援助)を活用したプロジェクト組成も期待できます。
第三に、長期的な日本のプレゼンス向上に繋がる点です。インドという将来の大国に、日本の最先端技術である新幹線を導入することは、両国間の経済関係強化だけでなく、日本の技術力の国際的なアピールにも繋がり、社長が重視されている長期的な目標にも合致すると考えます。
もちろん、インド市場には課題もございます。具体的には、①プロジェクトコストの高さと採算性、②現地での事業遂行上のカントリーリスク、③中国や欧州勢との競合です。
これらのリスクに対しては、
①コストについては、ODAの活用や、インド側のニーズに合わせた一部仕様の最適化(例:最高速度の調整、車両編成の見直し)を検討します。
②カントリーリスクについては、現地の有力企業との合弁事業や、日本政府との連携によるリスク低減を図ります。
③競合については、安全性・定時性といった日本の新幹線の明確な優位性を訴求するとともに、技術移転や人材育成といった長期的なパートナーシップを強調することで差別化を図ります。
以上が、私がインドを最初のターゲット国として提案する理由と、その際の考慮事項です。」
ディスカッションで意識すること:
- 評価軸の明確化と一貫性: なぜその評価軸を選んだのか、そしてその軸に沿って一貫した評価ができているか。
- リスク認識と対策の具体性: 単に「リスクがある」だけでなく、どのようなリスクで、それに対してどのような対策が考えられるかまで言及する。
- 他の候補国との比較: なぜ他の国ではダメなのか、インドが相対的に優れている点は何かを明確に説明できるように準備しておく。
- JR東海の視点: JR東海にとって、この海外進出がどのような意味を持つのか(収益、ブランド、技術継承など)、クライアントの立場に立った発言を心がける。
- 面接官との対話: 提案はあくまで「たたき台」。面接官からの質問や意見を真摯に受け止め、一緒に最適な解を探っていく姿勢が重要。
続いて、MBB面接官からの一言アドバイスと、海外進出系ケース突破のための効果的な対策法について解説します。
3. MBB面接官からの一言アドバイス:海外進出系ケースで差をつけるには?
海外進出や市場選定といったグローバルなテーマの発展系ケースは、多くの受験者が対策に苦労する一方で、面接官にとっては受験者の地頭の良さ、視野の広さ、そして何よりも「コンサルタントとしてのポテンシャル」を見極めやすいお題でもあります。
ここでは、元MBB面接官の視点から、このようなケースで他の受験者と「差がつく」ポイントについて、いくつかアドバイスをさせていただきます。
1. 「なぜ今、このクライアントが、この市場を?」という問いへの深い洞察
- 多くの場合、お題には「〇〇社が△△市場へ」といった形でクライアントと市場が提示されます。しかし、そこで思考停止せず、「なぜこのタイミングで、このクライアントが、わざわざこの市場に関心を持つのか?」という背景にある戦略的意図や課題意識を深く洞察することが重要です。
- 例えば、「JR東海が新幹線を海外へ」というお題であれば、「国内市場の成熟・人口減少を見据えた新たな収益源の模索」「日本の技術力の国際的アピール」「地政学的な観点からの関係強化」といった、より大きな文脈を意識できると、提案の深みが増します。
- 差がつく質問例(面接官への逆質問や思考の過程で): 「今回の海外進出検討の背景には、国内市場の将来的な頭打ちに対する危機感があるのでしょうか?それとも、日本の技術力を示すことで、他のインフラ輸出にも繋げたいといった、より大きな国家戦略の一環としての位置づけなのでしょうか?」
2. 評価軸の「独自性」と「優先順位付け」の妙
- 市場選定の評価軸として、市場規模、成長性、収益性、競合、政治的安定性などを挙げるのは定石ですが、お題の特性やクライアントの状況に合わせて、よりユニークで本質的な評価軸を加えられると、思考の鋭さを示せます。
- 例えば、新幹線システムであれば、「既存の航空網や道路網との補完性/競合性」「環境規制やエネルギー政策との整合性」「技術移転のしやすさや現地人材の育成可能性」といった軸も考えられます。
- また、単に多くの軸を羅列するだけでなく、「このクライアントにとって、今最も重視すべき軸は何か?」という戦略的な優先順位付けを行い、その理由を明確に説明できると、意思決定能力の高さを示せます。
- 差がつくポイント: 評価軸を設定する際に、「一般的な市場評価」だけでなく、「なぜそれが今回のクライアントにとって重要なのか」という視点を常に持つこと。
3. 「リスク」と「機会」の多角的かつダイナミックな分析
- 海外進出には必ずリスクが伴います。カントリーリスク(政治、経済、法制度、文化)、事業リスク(競合、技術、オペレーション)、財務リスクなどを網羅的に洗い出し、それぞれに対する具体的な対策まで踏み込めると評価が高いです。
- 一方で、リスクの裏返しとしての「機会」も見逃してはいけません。例えば、政情が不安定な国でも、将来的な安定化を見越して先行者利益を狙う、といった逆張りの発想も時には有効です。
- 重要なのは、リスクと機会を静的なものとして捉えるのではなく、時間軸の中でどのように変化しうるか、そしてそれに対してどのように備えるかというダイナミックな視点を持つことです。
- 差がつくポイント: リスク分析をネガティブな要素の列挙で終わらせず、それを「どのようにマネージし、機会に転換できるか」という前向きな視点で議論できること。
4. 「ストーリー」としての説得力と熱意
- どんなに論理的で詳細な分析も、それが聞き手(面接官)に響かなければ意味がありません。特に発展系ケースでは、「なぜこの国で、このような未来を築きたいのか」という、一貫したストーリーと熱意が、提案の説得力を大きく左右します。
- 単なるデータの羅列ではなく、「この市場にはこんな課題があり、クライアントのこの強みを活かせば、こんな素晴らしい未来が実現できるはずだ」といった、共感を呼ぶ物語を語れるように意識しましょう。
- 差がつくポイント: 分析結果を客観的に述べるだけでなく、そこに自分の「意志」や「想い」を乗せること。ただし、感情論ではなく、あくまで論理に基づいた上での熱意が重要です。
5. ディスカッションにおける「知的柔軟性」と「共創力」
- 発展系ケースでは、面接官も明確な「正解」を持っているわけではありません。むしろ、受験者とのディスカッションを通じて、一緒に面白いアイデアや新しい視点を発見したいと考えていることが多いです。
- そのため、自分の初期仮説に固執せず、面接官からの質問やフィードバックを「思考を深めるためのヒント」と捉え、積極的に議論に取り入れていく柔軟性が非常に重要になります。
- 差がつくポイント: 面接官を「評価者」としてだけ見るのではなく、「共に新しい価値を創造するパートナー」として捉え、建設的で活発な対話を楽しもうとする姿勢。
これらのポイントは、一朝一夕に身につくものではありません。日頃からグローバルなニュースに関心を持ち、様々な国の文化や経済について自分なりに考え、それを言葉にする訓練を積むことが重要です。
4. 海外進出系・市場選定系ケース面接突破のための効果的な対策法
海外進出や市場選定といったテーマの発展系ケースは、情報が限られ、不確実性が高い中で意思決定を行うという、まさに戦略コンサルタントの日常業務に近い状況をシミュレートするものです。そのため、付け焼き刃の対策では通用しにくく、本質的な思考力と幅広い視野が求められます。
ここでは、Strategistsが推奨する、これらのケースを突破するための効果的な対策法をご紹介します。
1. マクロ環境分析の「引き出し」を増やす
- PEST分析のフレームワーク習得と応用:
政治(Political)、経済(Economic)、社会(Social)、技術(Technological)の4つの観点からマクロ環境を分析するPEST分析は、海外市場の全体像を捉える上で非常に有効なツールです。各要素について、どのような視点から情報を整理・分析すべきか、具体的な項目例(例:政治→政権安定度、法規制、外交関係/経済→GDP成長率、インフレ率、為替レートなど)を頭に入れておきましょう。- ポイント: 単にPESTの各項目を埋めるだけでなく、「それらがクライアントの事業にどのような影響を与えるのか(機会と脅威)」まで考察を深めることが重要です。
- 主要国・地域の基本情報のインプット:
世界の主要な国や地域(例:アメリカ、中国、インド、ASEAN諸国、EU主要国、BRICSなど)について、人口、GDP、主要産業、政治体制、文化的な特徴、日本との関係性といった基本的な情報を大まかにでも把握しておくと、ケース面接の場で仮説を立てる際の助けになります。- 情報源: 新聞(特に国際面)、ビジネス系雑誌の特集記事、信頼できる調査機関のレポート(JETROなど)、外務省の国・地域別情報ページなどが役立ちます。
- グローバルなメガトレンドの理解:
DX、GX(グリーントランスフォーメーション)、地政学リスクの高まり、サプライチェーンの再編、人口動態の変化(高齢化、新興国の人口ボーナス)といった、世界規模で進行しているメガトレンドが、特定の国や産業にどのような影響を与えるかを日頃から考える習慣をつけましょう。
2. 市場の魅力度と参入障壁を評価する「軸」を持つ
- 市場の魅力度評価フレームワーク:
「市場規模」「市場成長性」「収益性(競合の激しさ、価格弾力性など)」といった基本的な軸に加え、お題に応じて「インフラ整備状況」「国民の所得水準」「特定技術への受容性」など、適切な評価軸を設定する練習をしましょう。 - 参入障壁分析:
「法規制(外資規制、許認可など)」「既存競合の強さ」「流通チャネルの確保の難易度」「文化・言語の壁」「模倣のされやすさ」など、海外市場への参入を阻む可能性のある要因を多角的に検討する視点が必要です。 - 自社の強み・弱みとのフィット分析:
どんなに魅力的な市場でも、自社の強みが活かせなければ成功は望めません。クライアント企業の持つ技術、ブランド、資金力、組織文化などが、対象市場のKSF(重要成功要因)や参入障壁とどのように関連するのかを冷静に分析する訓練をしましょう。
3. 「なぜその国か?」を深掘りする論理構築トレーニング
- 比較検討の徹底:
複数の候補国を挙げ、それぞれのメリット・デメリットを客観的に比較し、なぜ特定の国が最適(あるいはより優先度が高い)と言えるのか、その論理を明確に構築する練習が重要です。- ポイント: 単に「A国は市場が大きいから良い」ではなく、「A国はB国と比較して市場規模では劣るものの、成長性と政治的安定性、そして何より自社の技術との親和性が高いため、長期的な視点で見るとより魅力的である」といった、相対的な評価と理由付けが求められます。
- リスクシナリオの想定と対応策の準備:
選定した国で事業を展開する上で考えられるリスク(カントリーリスク、事業リスクなど)を具体的に想定し、それらに対する予防策や対応策まで言及できると、思考の深さと現実感覚を示すことができます。
4. 多様な海外進出事例のインプットと構造化
- 成功・失敗事例の研究: 様々な日本企業やグローバル企業の海外進出事例(成功例も失敗例も)に触れ、その背景にある戦略、成功要因、失敗要因などを分析・構造化してストックしておきましょう。
- ポイント: 単に事例を知っているだけでなく、「その事例からどのような教訓が得られるか」「今回のケースに応用できる視点はないか」を考えることが重要です。
- 進出形態の理解:
輸出、ライセンス供与、フランチャイズ、合弁事業(JV)、現地法人設立、M&Aなど、様々な海外進出の形態と、それぞれのメリット・デメリット、適した状況などを理解しておくと、戦略の選択肢が広がります。
5. 模擬面接を通じた実践練習
- 多様な「海外系」お題への挑戦:
海外市場選定だけでなく、海外でのマーケティング戦略、現地企業との提携戦略、カントリーリスクマネジメントなど、様々な切り口の海外関連ケースに挑戦し、思考の幅を広げましょう。 - グローバルな視点を持つ相手とのディスカッション:
可能であれば、海外経験が豊富な人や、国際情勢に詳しい人と模擬面接を行い、自分の分析や提案に対する多角的なフィードバックをもらうことが有効です。 - 時間配分とプレゼンテーションの練習:
情報が少ない中で、限られた時間内に論点を整理し、説得力のある提案を簡潔に伝える練習を繰り返しましょう。特に海外進出系ケースは考慮すべき要素が多いため、時間内に議論をまとめる訓練が重要です。
5. まとめ:創造性と論理性を武器に、発展系ケースを制覇する
「ケース面接過去問解説シリーズ」、今回は「海外進出」というダイナミックな発展系ケースを取り上げ、その思考プロセスと対策のポイントを解説してきました。
発展系ケース、特に海外市場を対象とするお題は、情報が限られ、不確実性が高く、考慮すべき要素も多岐にわたるため、多くの受験者が難しさを感じる領域です。しかし、それは同時に、あなたの知的好奇心、構想力、論理的思考力、そしてグローバルな視座といった、戦略コンサルタントに不可欠な資質を存分にアピールできる絶好の機会でもあります。
Strategistsでは、MBBをはじめとする戦略コンサルティングファームを目指す皆さんが、このような難易度の高い発展系ケースにも自信を持って臨めるよう、徹底したサポートを提供しています。
- 本質を突く思考力の養成: 小手先のテクニックではなく、あらゆる問題に応用可能な、再現性の高い思考OSをインストールします。
- 多様なケースバリエーションへの対応: 売上向上、市場規模推定といった基本ケースから、新規事業立案、海外進出、社会課題解決といった発展系ケースまで、網羅的な演習と指導を行います。
- 元MBB面接官を含むプロフェッショナル講師陣: 実際の選考で何が評価されるのかを熟知した講師が、あなたの強みと弱点を的確に見抜き、具体的な改善策を提示します。
- 「合格」から逆算した効率的な対策: 限られた時間の中で、最大限の成果を出すための戦略的な学習プランを提案します。
発展系ケースは、確かに難しいです。しかし、それは同時に、あなたのポテンシャルを最大限に発揮し、面接官に強烈な印象を残すチャンスでもあります。正しいアプローチで、質の高い準備を重ねれば、必ず道は拓けます。
この「ケース面接過去問解説シリーズ」が、あなたの挑戦の一助となり、戦略コンサルタントとしての輝かしい未来を切り拓くきっかけとなることを心から願っています。
次回の「ケース面接過去問解説シリーズ」もお楽しみに!
戦略コンサルへの入社/転職を成功させるケース面接対策法
ここまで読んでくれたあなたは、
「ケース面接でライバルに差をつけたい!」
「絶対に戦略コンサルに内定・転職したい」
という強い意欲がある方でしょう。
その意欲があるあなたは、
確実に戦コン内定・転職のポテンシャルを持っています。
そんなあなただからこそ、
対策不十分で本番のケース面接に臨んで爆死してしまったり、
間違った方向に努力をして時間を無駄にしたりは
してほしくないと我々は考えています。
何事も、自己流には限界があります。
最短距離で内定レベルのケース力を習得し
ボーダーラインギリギリではなく面接官を唸らせるレベルのアウトプットを出し
入社後も活躍したいのであれば、
プロからケース面接の正しい考え方や知識
さらに、対策の仕方や選考の戦略を教わりましょう。
独学でもある程度のレベルには達するかもしれませんが
あなたの目標は
「一次面接を通過すれば良い」
「ケース面接っぽいことができるようになれば良い」
ではなく
「トップ戦略ファームの合格ラインを堂々と超える
アウトプットが再現性高く出せるようになり
自信を持って面接に臨むことができること。
そして、内定を獲得することでしょう。」
プロからのアドバイスが不可欠です。
プロの指導は、やり方を教えるだけではなく
何が間違っていてどう改善すべきかを
的確に指摘し、あなたが気づいていない問題点を
明らかにしてくれます。
また我々のプログラムはマンツーマンのケース指導に加えて
フェルミ推定やケース面接の正しい思考法や
知っておかなければならない経営理論やビジネス知識を
網羅体系的にまとめた教科書を用意しており
受講生には必ずそれをみていただきます。
今なら、期間限定で無料で弊社の講師と1on1で話すことができるキャンペーンを行っております。
✅転職活動の悩みを相談したい
✅自分の今の実力を把握したい
✅ケース面接対策のプロに指導してもらいたい
といった方は以下のフォームから
初回メンタリング(60分/無料)
にぜひお越しくださいませ!

我々のマンツーマン指導プログラムについて
サービス開始の2022年以来、少数精鋭ではありながら、
累計で受講生の戦コン内定率が約43% (新卒約45%/既卒約40%)
(通常、戦コン志望者のうち内定を取れるのは数%程度とされます)
という驚異的な内定者輩出実績を誇る我々Strategistsが
多数の受講生の指導や教材制作を経て蓄積・言語化してきたオリジナルのノウハウを基に、本番での評価ポイントを熟知したMBB面接官経験者の視点も組み込みながら、最強のケース対策プログラムを制作しました。
我々のプログラムの最大の特長は、
・ケース面接初心者や苦手意識のある方であっても
・再現性高く、最短距離で、最高峰(内定レベル)のケース力
を習得することができる点です。
実は我々のお客様の63%は入会時点で
「一才対策はやってない」or「市販の書籍を読んだ程度」
の「初心者」ないし「初級」のお客様です。
再現性高く、最短距離で、内定を取れる理由
最高のケース面接対策プログラムの設計を始めたとき、
我々のチームが最初に考えたのが
「理想的な上達プロセス」についてでした。
スポーツでも勉強でも、何か新しいことを始めるとき
「最短距離で最高峰を目指そう!」と思ったら
どういうやり方をするのが正解なのだろうか?
それについて考えるところから始まりました。
結論、我々が辿り着いた答えは
①学習する:プロから正しく学ぶ
②練習する:繰り返し練習し学んだことを自分の体に染み付かせる
③実践する:実践で到達度や課題を明確化する
→①②に戻る
というサイクルを回すことが
「理想的な上達プロセス」なのではないか?ということでした。
そこで、この「理想的な上達プロセス」に沿う形で
さまざまな教材・トレーニングメニューを綿密に設計・用意し
「内定レベルのケース面接」を最短距離で習得できるカリキュラムが完成しました。
プログラムの全体像はこちらです。
①正しく学ぶ
Strategistsのオリジナル教材、教科書・動画講座を使って
必要な思考法や知識を体系的にインプットしていただきます。
②反復練習で定着:課題ケース演習
厳選した良問を、自主課題としてメンターが指定。
時間制限を設けず熟考する形式で自主演習し、
さらに専用フォームに筆記ケース形式でアウトプットしていただきます。
教科書や動画講座で学んだ思考法や知識を思い返しながら
実際の過去問を題材に試行してみる。
あなたの思考力が”変わる・鍛えられる”のが
このトレーニングの役割です。

③実践&現状把握:模擬ケース面接
専属メンターと模擬面接を実施。
詳細なフィードバックをもらうことで
現状を把握し、弱点・課題を発見できるのはもちろん
内定レベルの解答例や思考のポイントなど
1問を題材に「次に活かせる」学びを詳しく解説します。

メンタリングの質へのこだわり
皆さんは『メンタリングの質』というものについて考えたことはありますか?我々は『問題を解き→フィードバックをもらい→模範解答を見る』というプロセスを経ての成長幅こそが『メンタリングの質』だと考えています。
『メンタリングの質』はメンターの質はもちろん、扱う問題と模範解答の質によって決まると考えており、我々のサービスでは厳選された問題からしか出題を行いません。メンタリングでの使用を構想してから実際にお客様にお出しする「デビュー」までに数ヶ月かかることも多いです。
我々はケース対策における「良問」を
・得られる学びが深くて多い
・抽象化して次に活かせる普遍性がある
・これまでのお題とも次回以降のお題とも被らない新たな学びがある
と定義しています。各問題が単に「マッキンゼー対策」「公共系」のような表面的なジャンル分けにとどまらず、「BSとPLの構造理解」「”実現可能性とインパクト”の落とし穴」「サブスク事業のキードライバー」など裏テーマが設定してあります。
ケース対策は量よりも圧倒的に質です。
質の高いメンター×体系的な基礎インプット×良問での演習で確実に内定をGETするなら我々にお任せください。

復習にご活用いただけます
※現時点では、扱う問題によって資料が無い場合もございます。
初回体験を申し込む
ここまで読んでいただき、マンツーマン指導に興味を持っていただいた方は、まず初回メンタリングをお受けください。無理な勧誘等は一切ございません。お気軽に申し込みください。
模擬面接+FBはもちろん、参加特典としてMBB過去問を題材に
『再現性高くライバルに差をつけるアウトプットを出す方法』
を徹底解説したPDF資料をプレゼント!
単なる”模範解答例”ではなく、問題のポイントや次に活かせる学びをまとめています。
我々の初回メンタリングはありがちなサービス勧誘・営業の場ではなく
本プログラムの 『0講目』の扱いですから、
「これがStrategistsのクオリティか」とご実感いただける機会になることをお約束します。

