公共系のケース面接は、ビジネス系と似て非なる難しさがあります。「利益を最大化する」という単一の目的軸がなく、ステークホルダーが複雑に絡み合い、成果の測定も容易ではありません。
本記事では、公共系ケースの特徴をビジネス系と比較しながら整理したうえで、「日本人の英語力をどう向上させるか」という例題を用いて実際の解法を示します。面接で差をつけるポイントまで解説しますので、公共系ケースへの苦手意識をお持ちの方はぜひ参考にしてください。
- 本番形式で模擬ケース面接を実施
- 現状のレベル・改善点をフィードバック
- 内定への戦略がわかる
※少数精鋭での運営のため、枠が埋まり次第締め切ります。
1. 公共系ケースとは何か
公共系のケース面接とは、政府・自治体・教育機関・非営利組織などを対象に、社会的課題の解決策を提案する問題形式です。ビジネス系の「売上・利益を最大化する」という目的とは異なり、社会的価値やインパクトの最大化を問われます。
ビジネス系との違い
ビジネス系と公共系を6つの軸で比較すると、以下のとおりです。
| 比較軸 | ビジネス系 | 公共系 |
|---|---|---|
| 目的 | 売上・利益の最大化 | 社会的価値・インパクトの最大化 |
| クライアント | 民間企業 | 政府・自治体・NGO・教育機関など |
| 意思決定基準 | ROI・コスト・シェアなど定量指標 | 公平性・公益性・倫理的妥当性など |
| ステークホルダー | 株主・顧客・従業員など比較的明確 | 市民・行政・業界団体・メディアなど多様で利害が対立しやすい |
| 制約 | 予算・競合・市場環境 | 法令・予算・政治的障壁・制度的慣性 |
| 成果指標 | 売上・利益・市場シェア | 政策効果・公平性・長期的社会変容 |
| 時間軸 | 短〜中期(四半期〜数年) | 中〜長期(数年〜数十年) |
公共系ケースの特有の難しさ
公共系ケースの難しさは、主に次の4点に集約されます。いずれも独立した論点なので、列挙で押さえておきましょう。
- 正解が一つに定まらない:公平性と効率性はトレードオフの関係になりやすく、どちらを優先するかで施策の方向性が変わる
- ステークホルダーが複雑:利害が対立する複数の主体を整理し、合意形成のプロセスまで意識する必要がある
- 政治的・制度的な障壁:理論上は優れた施策でも、既存の法制度や政治的文脈によって実現が阻まれることがある
- 効果測定が難しい:政策の成果は長期でしか現れにくく、介入効果も定量化しづらいため、「KPIをN%改善した」のように明確な評価がしにくい
ケース面接対策についてより詳しく知りたい方は、Strategistsが無料で公開しているケース面接の教科書をご覧ください。
2. 公共系ケースの解法フレーム
公共系ケースでも、解法の基本フレームはビジネス系と共通です。「前提確認→現状分析→ボトルネック特定→打ち手の列挙→打ち手の評価」という5ステップで進めます。ただし、各ステップで問うべき内容が異なります。
前提確認
公共系では「誰が」「何の目的で」「どういう文脈でこの問いを立てているか」を最初に明確にすることが特に重要です。ビジネス系の「売上拡大か利益改善か」という軸の整理と比べ、公共系は目的の設定自体が複雑になります。
確認すべき主な前提は以下のとおりです。
- 主体(クライアント):政府か自治体か、それとも国際機関や民間財団か
- 目的の定義:「向上」「改善」「格差是正」といった言葉が具体的に何を指すか
- 対象スコープ:全国か特定地域か、全年齢層か特定層か
- 時間軸:短期の数値改善を求めているのか、長期の構造変化を目指すのか
- 予算・制度的制約:既存の法令や政策との整合性
現状分析
現状を「入口(インプット)」「プロセス」「出口(アウトカム)」の三層で構造化すると整理しやすくなります。
- 入口:資源・環境がどのように課題を生み出しているか(例:教育リソースの偏在、学習時間の不足)
- プロセス:実施されている施策や制度の内容と機能不全(例:現行カリキュラムの偏り)
- 出口:現在の課題水準と目指すべき水準のギャップ(例:国際指標での低評価)
ボトルネック特定
現状分析で洗い出した複数の課題のうち、どれが最も根本的な原因かを特定します。「なぜ→なぜ→なぜ」と深掘りし、表面的な症状ではなく構造的な原因を見つけることが重要です。
公共系では「制度設計の問題」「財源・予算の問題」「インセンティブの問題」「情報・意識の問題」という4類型で整理すると、打ち手との対応関係が明確になります。
打ち手の列挙
ボトルネックに対応する施策を、MECEを意識しながら列挙します。公共系では施策を「規制・制度」「予算・補助金」「情報提供・啓発」「民間連携」の4象限で整理する方法が有効です。
打ち手の評価
列挙した施策を「効果の大きさ」「実現可能性」「公平性への影響」の3軸で評価します。公共系ではとりわけ公平性の観点が重要で、特定層に不利益が集中しないかを明示的に検討することが面接官への評価ポイントになります。
3. 例題:日本人の英語力を向上させるにはどうすべきか
公共系ケースの具体的な解法を示すため、「日本人の英語力をどう向上させるか」という例題を使います。マッキンゼー・BCG・ベイン(MBB)をはじめとする戦略コンサルのケース面接でも、教育・言語政策をテーマにした問題は頻出です。
前提確認
まず、問題の前提を整理します。クライアントは日本政府(文部科学省あるいは経済産業省)と仮定し、目的は「日本社会全体の英語コミュニケーション能力の底上げ」と定義します。
あわせて「英語力向上」の定義も明確にしておきましょう。読む・聞く・話す・書くという4技能のうち、どれを改善したいのかによって施策が変わるためです。本解答例では「特に話す・聞く力の向上(コミュニケーション能力の実用化)」を主目的として設定します。
時間軸は短期(3年以内)・中期(10年)・長期(30年)の三段階で捉え、施策の実現可能性を議論します。
現状分析:日本人の英語力の課題
EF(Education First)が毎年実施する英語能力指数調査(EF EPI)の2024年版によると、日本は調査対象116か国・地域中92位(平均454ポイント)でした。これは前年の87位から順位を落とし、日本にとって過去最低の結果です。EF EPIが参照するCEFR(言語能力の国際基準)では、日本の平均は「低い能力」分類にあたります。
出典:EF Education First「EF EPI 2024英語能力指数」プレスリリース
課題の構造は、「入口」「プロセス」「出口」の3層で整理できます。
入口:学習環境の格差と動機付けの弱さ
入口の問題は、英語学習の環境格差と動機付けの弱さです。都市部と地方では英語教育リソースに差があり、日常生活で英語を使う機会も少ないため、学習の必然性を感じにくい環境にあります。
プロセス:読み書き中心の教育設計
プロセスの問題は、教育システムが読み書き中心に設計されている点です。文部科学省は2020年度から小学校5・6年生で英語を正式教科として導入し、3・4年生では外国語活動として取り入れました。しかし、英語を実際に「使う」場面を増やす仕組みは、教育現場に十分根付いていません。
出典:文部科学省「外国語教育」
また、大学入学共通テストへの英語民間試験(スピーキングを含む4技能評価)の導入は、2019年11月に見送りが発表されました。公平性・コスト・地域格差などが理由とされ、入試制度によるスピーキング評価の普及は進んでいません。
出口:国際指標での低順位の定着
出口の問題は、国際的な評価指標での低順位が定着していることです。先述のEF EPI 2024ではオランダ(636ポイント)、ノルウェー(610ポイント)、シンガポール(609ポイント)が上位を占めており、日本との差は大きい状態です。
ボトルネック特定
上記の課題を整理すると、日本の英語力課題の構造的なボトルネックは主に次の4点です。
- 教育システムの問題:読み書き中心の指導が長年続き、会話能力を評価する仕組みが入試にないため、学校現場のスピーキング指導が後回しにされている
- 学習者の動機付けの問題:日常生活で英語を使わなくても困らない環境が、学習の優先順位を下げている
- 社会・文化的要因:英語で失敗することへの抵抗感(「恥ずかしい」「間違えたくない」という心理)が、話す練習の機会を自ら減らしている
- 目標の曖昧さ:「英語ができる」が何を意味するのかが社会的に共有されておらず、政策目標の設定が難しい
これらのうち、入試制度と教員の指導力に関わる「教育システムの問題」が、他の課題の起点になっている最大のボトルネックだと考えられます。
打ち手の方向性と施策案
ここでは、ボトルネックに対応する施策を、時間軸別に整理します。いずれもあくまで解答例としての提案です。
短期施策(3年以内):実用的な英語経験の機会創出
短期で優先度が高いのは、実用的な英語経験の機会創出です。オンライン英会話やAIを活用した会話練習ツール(EdTech)の学校導入を補助する施策が考えられます。既存の教育インフラを活かせるため、即時に展開しやすい点がメリットです。
中期施策(10年):教育制度の改革
中期で重要なのは、教育制度の改革です。小学校の英語教育を会話中心に再設計すること、中学・高校で英語による授業の比率を高めること、教員のスピーキング指導力を育てる研修制度を整えることなどが候補に挙がります。
長期施策(30年):英語使用機会の社会的拡大
長期では、社会全体で英語を使う機会の拡大が欠かせません。外国人材の受け入れ促進、国際交流プログラムの充実、観光・ビジネスでの英語利用環境の整備などを通じて、「英語を使わなくてもよい環境」そのものを変えていく必要があります。
打ち手の評価と提案骨子
施策を「効果の大きさ」「実現可能性」「公平性への影響」の3軸で評価すると、短中期で最も優先度が高い施策は「教員の指導力強化」と「入試制度でのスピーキング評価の再設計」です。
教員の指導力強化は、全国の学校に均一な効果をもたらせるため公平性が高く、既存の教育予算の枠内で段階的に実施できます。
入試制度の再設計については、2019年の共通テスト民間試験の見送り事例が示すように、公平性とコストの問題を丁寧に解決する必要があります。地域格差が生じないオンライン試験の活用や補助金措置をセットで設計することが、実現可能性を高めるうえで不可欠です。
動機付けの問題に対しては、英語力を活かせる社会的・経済的インセンティブ(採用評価への反映、英語資格に対するインセンティブ制度など)の整備が長期的な効果をもたらします。
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4. 面接官が見ているポイントと差がつく回答
公共系ケースの面接で高評価を得る回答には、共通するパターンがあります。差がつく4つの観点を押さえておきましょう。
前提の曖昧さを解消する
「英語力向上」「教育の質改善」のような言葉は、解釈の幅が広いものです。定義を問い直し、スコープを明確にしてから解答を始める候補者は、論理的に解法を組み立てられると評価されます。
公共系特有の制約を施策評価に組み込む
予算・法令・政治的文脈・公平性の観点を評価軸に入れず、「〇〇をすればよい」と提案するだけでは、現実感のない解答とみなされます。先述の共通テスト民間試験見送りの経緯のように、制度的・政治的な障壁を踏まえて実現可能性を議論できると、評価に差が出ます。
ステークホルダーの利害調整プロセスを示す
文科省・教員・保護者・企業・学習者といった各ステークホルダーが、それぞれどのような利害を持つかを整理します。どの順番で合意を取るべきかまで語れると、施策提案に実行可能性の裏付けが生まれます。
定量的思考を公共領域に応用する
「何人の学習者に、どの程度のアウトカムを、どのくらいのコストで届けるか」という視点は、ビジネス系と同様に問われます。フェルミ推定や費用対効果の試算をさらりと示せると、解答の説得力が高まります。
Strategistsでは、2025年度に受講を修了し転職活動を実施した方の61%が戦略コンサルへの転職を実現しました(当社調べ)。入会時点で初心者・初級レベルから始めた方は63%を占めます。公共系ケースに苦手意識があっても、正しい解法の型を身につければ通過できる水準に到達できます。
その他のケース面接対策のコツや押さえておくべきポイントは、Strategistsが無料で公開しているケース面接の教科書でご確認ください。
5. まとめ
公共系ケースで問われるのは「正解を出す力」ではなく「曖昧な問題を構造化し、複雑な制約のなかで現実的な提案を組み立てる力」です。本記事で示した5ステップのフレームと例題の解法を土台に、まずは自分の言葉で構造を説明できるまで練習することから始めてください。
本記事のテーマを頭で理解しても、実際のケース面接で使いこなせるかどうかは別問題です。
「示唆が出せない」「分析が浅い」といった課題は独学では気づきにくく、放置すると本番まで改善されないまま終わることも少なくありません。
Strategistsでは、MBB内定者・出身者によるマンツーマンの模擬ケース面接指導を提供しています。
初回メンタリング(60分)は無料で受講可能です。
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我々のマンツーマン指導プログラムについて
2025年4月〜2026年3月の入塾者100名以上のうち、受講を修了して転職活動を実施した方の戦略コンサル転職成功率は61%。そのうち8割が外資戦略ファームTier1・2(McK/BCG/Bain/Kearney/S&/ADL/RB)への転職を実現しています。(通常、戦コン志望者のうち内定を取れるのは数%程度とされます)
※戦略コンサル転職成功率61%は、2025年4月〜2026年3月の入塾者100名以上のうち、受講を修了し転職活動を実施した方を対象とした数値です(当社調べ)。
支援範囲は未経験からの転職からMUPまで幅広く、新卒向けの戦略コンサル特化就活塾においても業界トップレベルの実績を挙げています。
こうした実績を積み重ねてきた我々Strategistsが、多数の受講生の指導や教材制作を経て蓄積・言語化してきたオリジナルのノウハウを基に、本番での評価ポイントを熟知したMBB面接官経験者の視点も組み込みながら、最強のケース対策プログラムを制作しました。
我々のプログラムの最大の特長は、
・ケース面接初心者や苦手意識のある方であっても
・再現性高く、最短距離で、最高峰(内定レベル)のケース力
を習得することができる点です。
実は我々のお客様の63%は入会時点で
「一切対策はやってない」or「市販の書籍を読んだ程度」
の「初心者」ないし「初級」のお客様です。
再現性高く、最短距離で、内定を取れる理由
最高のケース面接対策プログラムの設計を始めたとき、我々のチームが最初に考えたのが「理想的な上達プロセス」についてでした。
スポーツでも勉強でも、何か新しいことを始めるとき「最短距離で最高峰を目指そう!」と思ったらどういうやり方をするのが正解なのだろうか?それについて考えるところから始まりました。
結論、我々が辿り着いた答えは
①学習する:プロから正しく学ぶ
②練習する:繰り返し練習し学んだことを自分の体に染み付かせる
③実践する:実践で到達度や課題を明確化する
→①②に戻る
というサイクルを回すことが「理想的な上達プロセス」なのではないか?ということでした。
そこで、この「理想的な上達プロセス」に沿う形でさまざまな教材・トレーニングメニューを綿密に設計・用意し「内定レベルのケース面接」を最短距離で習得できるカリキュラムが完成しました。
プログラムの全体像はこちらです。
①正しく学ぶ
Strategistsのオリジナル教材、教科書・動画講座を使って必要な思考法や知識を体系的にインプットしていただきます。

②反復練習で定着:課題ケース演習
厳選した良問を、自主課題としてメンターが指定。時間制限を設けず熟考する形式で自主演習し、さらに専用フォームに筆記ケース形式でアウトプットしていただきます。教科書や動画講座で学んだ思考法や知識を思い返しながら、実際の過去問を題材に試行してみる。あなたの思考力が”変わる・鍛えられる”のが、このトレーニングの役割です。

③実践&現状把握:模擬ケース面接
専属メンターと模擬面接を実施。詳細なフィードバックをもらうことで現状を把握し、弱点・課題を発見できるのはもちろん、内定レベルの解答例や思考のポイントなど、1問を題材に「次に活かせる」学びを詳しく解説します。

メンタリングの質へのこだわり
皆さんは『メンタリングの質』というものについて考えたことはありますか?我々は『問題を解き→フィードバックをもらい→模範解答を見る』というプロセスを経ての成長幅こそが『メンタリングの質』だと考えています。
『メンタリングの質』はメンターの質はもちろん、扱う問題と模範解答の質によって決まると考えており、我々のサービスでは厳選された問題からしか出題を行いません。メンタリングでの使用を構想してから実際にお客様にお出しする「デビュー」までに数ヶ月かかることも多いです。
我々はケース対策における「良問」を
・得られる学びが深くて多い
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※現時点では、扱う問題によって資料が無い場合もございます。
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