フェルミ推定対策

フェルミ推定のやり方|解き方の手順・分解の型・検証まで戦略コンサル志望者向けに解説

フェルミ推定の手順は覚えたのに、お題を聞くと人口と施設のどちらから数え始めればよいか迷ってしまうことがありませんか?

式の切り口は、お題が買う側と売る側のどちらから数えやすいかと、ある時点の量か期間の中の量かを見分けると選べます。映画館の入場者数のように、映画館に行く人からもスクリーンからも数えられるお題なら、2つの式の答えを比べて推定を確かめましょう。

この記事では、式の切り口の選び方から、映画館の年間入場者数を例にした計算と検算まで解説します。

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フェルミ推定は前提の確認から検算までを一続きで解く

フェルミ推定のお題で最初の数字が書けないときは、1問を解き終えるまでにたどる段階を先に知り、自分がどの段階で止まっているかを見分けましょう。

計算に入る前に数える対象と式を決めて最後に答えを確かめる

フェルミ推定の1問を解き終えるまでには、前提の確認、式の分解、数値の設定、計算、検算の5つの段階があります。前提の確認で数える対象を決めたら、その数を掛け算や足し算で求められる要素に分け、要素ごとに理由を言える値を仮定しましょう。

計算を終えた後も、答えが現実とかけ離れていないかを確かめるまで手を止めないことが大切です。この記事の後半では、映画館の年間入場者数の例題を、前提の確認から検算まで、この順に解き進めます。

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どの切り口で式を立てるかを選ぶ段階で手が止まりやすい

フェルミ推定の5つの段階に沿って解こうとしても、多くの場合は、どの切り口で式を立てるかを選ぶ段階で手が止まります。人口から数えるか、店や施設の数から数えるかが決まらないと、式の最初の数字を書けないためです。

ケース面接で市場の大きさを尋ねられたときも、人口と店の数のどちらから数えるかを決められなければ、同じところで答えが止まってしまいます。そのため、お題を聞いてから切り口を考え始めるのではなく、切り口を選ぶ目安を先に知っておきましょう。

式の切り口はお題が何を数えるかで選ぶ

お題を聞いたら、まず何をどの期間で数えるのかを見分けましょう。買う側か売る側か、ある時点の量か期間の中の量か、人口か世帯数かの3つを確かめると、どこから数え始めるかを決められます。

買う人から数えるか売る側の施設から数えるかを決める

フェルミ推定の式は、商品やサービスを買う人・使う人から数える需要側と、売る側や提供する施設から数える供給側のどちらかで組み立てられます。需要側の式は、人口に使う人の割合と一人あたりの回数を掛けて積み上げる形になります。供給側の式は、施設の数に1施設あたりの利用者数や販売量を掛ける形です。

全国の年間消費量のように範囲の広いお題なら、人口から数え始めると式の最初の数字をすぐに書けます。一方で、特定の施設の売上や台数のように、施設の数と稼働を思い浮かべやすいお題では、供給側から組むほうが数字の見当をつけやすいでしょう。お題を聞いたら、買う人と売る側のうち、数字を思い浮かべやすいほうから式を立てましょう。

ある時点の量か期間の中の量かで式の単位が変わる

お題が「ある時点にいくつあるか」を問うのか、「1年間にどれだけ動くか」を問うのかによって、式の単位が変わります。ある時点に存在する量をストック、一定の期間の中で生まれる量をフローと呼ぶのが一般的です。映画館でいえば、スクリーン数はストック、1年間の入場者数はフローに当たります。

ストックとフローは、何年で入れ替わるかを仮定すれば互いに換算でき、店舗数というストックも、1年間に開く店の数というフローに直せます。お題を聞いたら、答えの単位が「〜館」なのか「〜人/年」なのかを先にメモに書き出しましょう。

人口と世帯数は数が個人と世帯のどちらで決まるかで使い分ける

需要側から数えるお題では、式の最初に人口と世帯数のどちらを使うかで、後の仮定の立てやすさが変わります。映画を見る回数や飲み物の杯数のように個人ごとに決まる数は、人口から数えると仮定を置きやすくなります。冷蔵庫の台数や新聞の購読数のように世帯ごとに決まる数なら、世帯数から数え始めてください。

人口や世帯数のように計算の出発点になる数は、概数で頭に入れておくと、式の最初の数字にそのまま使えます。正確な値を覚えていなくても、計算しやすく丸めた値とそう丸めた理由を面接官に伝えれば、計算を先へ進められます。

どちらからも数えられるお題では両方の式を立てて検算に使う

需要側からも供給側からも式を組めるお題では、両方の式を立てておくと、後で2つの答えを比べて検算できます。面接の場では統計を調べられないため、別の切り口で出した答えが、推定を比べられる数少ない材料になります。

映画館の年間入場者数は、映画館に行く人からもスクリーンの数からも数えられるお題です。次の例題では、両方の式を立てて答えを比べるところまで進めましょう。

映画館の年間入場者数を例題に需要側と供給側の式を立てる

ここからは、Strategistsが練習用に用意した「日本の映画館の年間入場者数」のお題(過去に出題されたものではありません)で、切り口の選び方を試します。何を数えるかを決め、需要側と供給側の式をそれぞれ要素に分けていきましょう。

入場者数を映画館に入った年間の延べ人数と決める

映画館の年間入場者数を計算する前に、同じ人が1年に2回映画館へ行ったとき、1人と数えるか2人と数えるかを決めておく必要があります。この例題では2人と数えるので、1年間に日本国内の映画館で映画を見た延べ人数が答えになります。配信やテレビ、家庭での視聴と、映画館以外で開かれる上映会は対象外です。

延べ人数で数えることと配信を含めないことは、式を立てる前に面接官に伝えておきましょう。途中で「配信は入るのか」と聞かれても、最初に決めた範囲に戻って答えられます。

需要側の式は人口と映画館に行く人の割合と年間の回数に分ける

映画館の入場者数は全国の1年間の量なので、人口から数え始める需要側の式が組めます。式は「人口×映画館に行く人の割合×行く人の年間の回数」で、答えは延べ人数になります。映画館にまったく行かない人も多いため、全員の平均回数を掛けるより、行く人と行かない人を分けたほうが仮定の理由を説明しやすいはずです。

人口に割合を掛けると、映画館に行く人数が出ます。そこに一人あたりの回数を掛けると、答えと同じ延べ人数の単位になります。需要側の式が決まったら、同じお題を映画館の側からも数えられるかを考えてみてください。

供給側の式はスクリーン数と1スクリーンの1日の観客数に分ける

映画館の入場者数は、スクリーンの数と上映回数と座席数で上限が決まるため、映画館の側からも数えられます。供給側の式は「スクリーン数×1スクリーンの1日の観客数×営業日数」です。1日の観客の数は、さらに上映回数と座席数と座席の埋まる割合の掛け算に分けられます。

この式は、ある時点の量(ストック)であるスクリーン数に、1スクリーンの1年間の観客数というフローを掛ける形になっています。ストックとフローを掛け合わせて延べ人数を出しているので、答えの単位が人/年になっているかを最後に確かめましょう。

数字を仮定して需要側と供給側の式から入場者数を計算する

2つの式の要素には、人口のほかに公表値がありません。人口は公表値を使い、残りは理由を添えた練習用の仮定を置いて、2つの入場者数を計算しましょう。

需要側では人口を丸めて映画館に行く人の割合と回数を仮定する

需要側の式の最初に使う人口は、公表されている最新の値を計算しやすく丸めれば十分です。総務省統計局の人口推計によると、2026年9月1日現在(概算値)の日本の総人口は1億2,265万人です。例題では、この値を1.2億人に丸めています。

残りの2つの要素は、統計ではなく練習用の仮定です。

  • 1年に1回以上映画館に行く人の割合は人口の5割(まったく行かない人も多いと見て半分に設定)
  • 映画館に行く人の平均の回数は年3回(話題作の公開や長い休みに合わせて年に数回行く程度を想定)

1.2億人の5割に当たる6,000万人が映画館に行き、それぞれが年3回行くと仮定すると、入場者数は延べ1.8億人になります。面接では、5割と年3回の数字を言うたびに、括弧の中の理由も続けて話しましょう。

出典:総務省統計局「人口推計」

供給側ではスクリーン数と上映回数と座席の埋まり方を仮定する

供給側の式では、スクリーン数、上映回数、座席の埋まり方まで、すべての要素に練習用の仮定の値を入れます。

  • スクリーン数は人口3万人あたり1スクリーン(大都市のシネコンに集まり地方に少ない偏りをならした値)
  • 1スクリーンの上映は1日5回で、座席は150席
  • 座席の埋まる割合は平均15%(空席の多い平日の昼と、席が埋まる週末や話題作の夜をならした値)
  • 営業日は年365日

人口の1.2億人を3万人で割ると、スクリーン数は4,000スクリーンになります。1スクリーンの1日の座席は5回×150席で750席あり、そのうち15%が埋まると、観客は112.5人です。これを365日分にすると、1スクリーンの1年間の観客は41,062.5人(約4.1万人)になります。41,062.5人に4,000スクリーンを掛けると、入場者数は1億6,425万人(約1.6億人)になります。

15%のように実感から決めた値を話すときは、平日の昼と週末の夜の客席を思い浮かべたという理由まで面接官に伝えましょう。

億と万の単位をそろえて桁を確かめながら掛け算する

億と万が混ざる掛け算では、桁を1つ取り違えるだけで、答えが億なのか千万なのかまで変わってしまいます。例題の供給側の最後の計算は、約4.1万人という「万」の数に、4,000という「千」の数を掛ける形です。万に千を掛けると千万の単位になります。答えの1億6,425万人(約1.64億人)は、千万の単位を超えて億の桁に届いています。

需要側でも、1.2億人に0.5を掛けた時点で6,000万人と「万」の単位に言い直し、3回を掛けて1.8億人と「億」に戻しましょう。面接では、掛け算を1つ終えるたびに「いま6,000万人」「いま1.8億人」と単位まで声に出すと、聞いている面接官も途中の数を追えます。こうして出した2つの答えはどちらも仮定から出した一例なので、正しいかどうかの判断は検算まで持ち越しましょう。

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推定した入場者数が妥当かを式どうしと公表統計で確かめる

需要側と供給側の2つの答えは、どちらも仮定を重ねて出した数なので、面接官に伝える前に妥当かどうかを確かめる必要があります。面接の場では2つの答えどうしを比べ、練習の後には公表統計とも比べて、見直す仮定を決めましょう。

需要側と供給側の答えが同じ桁に収まるかを比べる

需要側の1.8億人と供給側の約1.64億人は、どちらも億の桁に収まっています。2つの差は約0.16億人で、供給側は需要側より約1割少ない値です。別々の切り口で出した答えが同じ桁にそろったので、どちらの式にも桁を狂わせるような大きな見落としはなさそうだと分かります。

反対に、2つの答えの桁が違っていたら、どちらかの式で対象か単位を取り違えている可能性があります。その場合は、片方の式が延べ人数ではなく人数や回数を数えていないかを、まず単位から確かめてください。

人口で割って一人あたりの年間回数を実感と比べる

入場者数のような億の単位の答えは実感しにくいため、人口で割って一人あたりの回数に直すと、自分の感覚と比べられます。需要側の1.8億人を1.2億人で割ると、一人あたり年1.5回です。自分や周りの人が1年に映画館へ行く回数を思い浮かべ、1.5回が多すぎないか、少なすぎないかを比べてください。

この比べ方は統計を調べなくてもできるため、面接の場で答えを伝える前にも使えます。1.5回が実感より多いと感じたら、需要側で仮定した5割と年3回のどちらが大きすぎるかを考え直しましょう。

日本映画製作者連盟の統計と比べて推定のずれを確かめる

練習を終えた後は、映画館の実際の入場者数と比べて、2つの推定がどれだけずれていたかを確かめましょう。日本映画製作者連盟によると、2025年の全国の映画館の入場人員は188,756千人(約1.89億人)でした。この入場人員は1年間に映画館に入った延べ人数で、配信や家庭での視聴は含まれていません。例題と同じ延べ人数を数えているので、そのまま比べられます。

約1.89億人と比べると、需要側の1.8億人は約5%、供給側の約1.64億人は約13%少ない値でした。供給側の式のほうが統計から大きく離れていたので、見直す仮定は供給側から探しましょう。

統計と比べるときは、比べる年をそろえることも欠かせません。2025年の入場人員は2024年の144,441千人の130.7%で、年によって大きく変わります。例題の人口は2026年の値ですが、1.2億人に丸めた範囲に1年分の違いは収まります。統計と比べた記録には、どの年の数と比べたかを書き添えておきましょう。

出典:日本映画製作者連盟「2025年(令和7年)全国映画概況」

ずれが大きい式は前提より先に仮定の数字から見直す

統計から離れていた供給側の式は、どの仮定がずれていたかを1つずつたどって見直すことが必要です。例題ではスクリーン数を4,000と仮定しましたが、2025年12月末現在の全国のスクリーン数は3,697です。仮定したスクリーン数は実際より約8%多いのに、入場者数は約13%少なく出ました。スクリーン数だけを3,697に直すと、入場者数は約1.5億人となり、統計からさらに離れます。このことから、1スクリーンの観客数を低く見積もっていた可能性が高いと考えられます。

統計の入場人員を3,697スクリーンで割り直すと、1スクリーンあたり年約5.1万人、1日あたりでは約140人です。5回×150席の750席に1日約140人が入るには、座席の約19%が埋まる必要があります。約19%は統計に載っている値ではなく、例題の750席をもとに計算した値です。座席の埋まる割合、上映回数、座席数のどれかを低く仮定していたとまでは絞れても、どれが実際と違うかは統計からは決められません。

ずれが大きい式は、仮定した数値、分解の構造、前提の設定の順に見直すのが一般的です。例題でも、延べ人数という前提や2つの式の分け方を疑う前に、座席の埋まる割合のような1つの数字から直せば、式全体を組み直す必要はありません。練習では、見直した仮定と、その値に変えた理由を1行で書き残しておきましょう。

出典:日本映画製作者連盟「全国スクリーン数(2025年12月末現在)」、日本映画製作者連盟「2025年(令和7年)全国映画概況」

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例題の解き方を別のお題と人前での練習で試す

映画館の例題で2つの式を比べ、見直す仮定の候補を絞るところまで解けても、別のお題や面接の場で同じように解けるとは限りません。次は、別のお題と人前での練習で、同じ解き方を試しましょう。

スクリーン数を問われたら入場者数の式を組み替えて解く

映画館の例題で立てた式は、ある時点の量(ストック)を問う別のお題にも組み替えて使えます。たとえば「日本の映画館のスクリーン数はいくつか」と問われたら、需要側で出した年間の入場者数を、1スクリーンの1年間の観客数で割ると求められます。フローをフローで割ってストックを出す形なので、答えの単位が「スクリーン」になるかを最後に確かめてください。

店舗数や施設の数を問うお題でも、年間の利用者数を1施設あたりの年間の利用者数で割れば、同じ形の式で答えを出せます。練習では、映画館と違うお題を1つ選び、需要側と供給側の両方の式を立ててみましょう。

人前で解くと緊張で桁を取り違えないかを確かめられる

手順を読んで理解していても、人前で時間を区切って解くと、緊張で普段はできる計算の桁を取り違えることがあります。面接官から「なぜ5割にしたのか」と聞かれて答えているうちに、どこまで計算したかを見失い、考えが止まってしまう場面もあります。一人で紙に向かって解いている間は、こうした崩れ方に気づく機会がほとんどありません。

Strategistsは、時間を区切って人前で解いたときに崩れる計算や説明こそ、実戦形式の練習で経験者に指摘してもらい、1つずつ直す必要があると考えています。友人や経験者の前で制限時間を決めて例題を解き、桁を取り違えた箇所や言葉に詰まった箇所を指摘してもらいましょう。

段階ごとに話す内容を決めておくと質問の後も解き進められる

面接官の質問で話が途切れても解き進められるよう、5つの段階ごとに話す内容を先に決めておきましょう。話す内容の例は次のとおりです。

  • 前提の確認では数える対象と期間
  • 分解ではその切り口を選んだ理由
  • 数値の設定では仮定した数字とその理由
  • 計算では今の単位と桁
  • 検算ではずれた理由と見直す仮定

質問に答えた後は、いまどの段階にいたかを口に出してから、その段階で話す内容に戻れば、計算を続けられます。沈黙が長く続くと、考えが止まっているように面接官から見えやすくなるため、黙って計算を進めないようにしましょう。

まとめ

フェルミ推定の1問は、答えの数字を出した時点ではなく、どの仮定を見直すかを決めた時点で解き終わります。お題が何を数えるかで切り口を選び、両方から数えられるお題なら2つの式を立てておくと、その答えの開きが仮定を選ぶ手がかりになります。

例題の5割や年3回、座席の埋まる割合を自分の実感で決め直して解き、統計の入場人員から離れた式の仮定を1つ書き出してみましょう。式を立て、確かめ、直す手順を繰り返すほど、初めて聞くお題でも最初の数字を迷わず書けるようになります。

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