【総コン過去問研究】過去10年のベイカレントのケース面接過去問を分析し出題傾向を定量的に分析【MBB内定者による例題解説あり】

「ベイカレント・コンサルティングの選考を突破したいけれど、ケース面接でどんな問題が出るのか不安…」
「過去問の傾向を分析して、効率的に対策を進めたい!」

国内最大級の総合コンサルティングファームであるベイカレント・コンサルティング(以下、ベイカレント)。戦略からIT、業務改革まで幅広い領域をカバーし、近年急成長を遂げている人気企業です。その選考プロセスにおいて、特に重要な位置を占めるのが「ケース面接」です。

この記事では、過去10年分のベイカレントのケース面接過去問を徹底的にリサーチし、出題傾向を定量的に分析。さらに、実際にMBB(マッキンゼー、BCG、ベイン)の内定を獲得した筆者が、ベイカレントのケース面接の特徴を踏まえ、頻出テーマの例題を題材に、具体的な思考プロセスと解答のポイントを詳細に解説します。

この記事を読めば、ベイカレントのケース面接で何が問われ、どのように準備すればよいのかが明確になり、自信を持って選考に臨むことができるでしょう。

それでは、まずベイカレントというファームの特徴から見ていきましょう。



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1. ベイカレント・コンサルティングとは?ファームの特徴と強み

ベイカレント・コンサルティングは、1998年に設立された日本発の総合コンサルティングファームです。東証プライム市場に上場しており、近年目覚ましい成長を遂げています。その特徴と強みを理解することは、ケース面接対策においても非常に重要です。

ベイカレントの主な特徴と強み:

  • ワンプール制による多様な経験:
    ベイカレントの最大の特徴の一つが、戦略、業務、IT、デジタルなど、業界やテーマを限定しない「ワンプール制」を採用している点です。コンサルタントは特定の部門に固定されず、多様なプロジェクトにアサインされる機会があります。これにより、若手のうちから幅広い知識やスキルを習得し、自身のキャリアパスを柔軟に模索することが可能です。ケース面接においても、特定の業界知識に偏らない、汎用的な問題解決能力が試される傾向があります。筆者の知る限り、新卒で入社したコンサルタントは、最初の数年間で少なくとも3つ以上の異なる業界・テーマのプロジェクトを経験することが多いようです。
  • 戦略から実行まで一気通貫の支援:
    クライアントの課題に対し、戦略策定(いわゆる「上流」)から、業務プロセスの改善、ITシステムの導入・定着化、デジタルトランスフォーメーション(DX)の推進といった具体的な実行支援(「下流」)まで、一気通貫でサービスを提供できる点が大きな強みです。これにより、絵に描いた餅で終わらない、真に価値のある変革をクライアントにもたらすことを目指しています。ケース面接でも、「具体的な打ち手」「実行可能性」、さらには「実行後の効果測定や定着化」といった視点まで求められることがあります。
  • 多様な業界・テーマへの対応力と旺盛な採用意欲:
    金融、製造、通信、ハイテク、製薬、官公庁など、非常に幅広い業界のクライアントに対し、経営戦略、新規事業開発、DX推進、業務改革(BPR)、組織人事改革、M&A支援、システム導入支援など、多岐にわたるテーマのコンサルティングサービスを提供しています。この多様性が、コンサルタントにとって多様な成長機会に繋がっています。また、近年の業績拡大に伴い、新卒・中途ともに非常に旺盛な採用意欲を見せており、間口が比較的広いことも特徴です。筆者が選考を受けていた時期も、説明会では「年間数百名規模で採用する」といった話が聞かれました。
  • 「人」を基軸とした成長戦略と手厚い育成:
    ベイカレントは、コンサルタントの「人」としての成長を重視しており、手厚いトレーニング制度やメンター制度、キャリアサポート体制を整備しています。特に、新卒入社者に対しては、入社後の数ヶ月間にわたる集中的な研修プログラムが用意されており、コンサルタントとしての基礎スキルを徹底的に叩き込まれます。また、プロジェクト配属後も、OJT(On-the-Job Training)や上司・先輩からのきめ細かいフィードバックを通じて成長をサポートする文化があると言われています。
  • 日本企業への深い理解と顧客志向:
    日系ファームとして、日本企業の文化や意思決定プロセス、特有の課題に対する深い理解を持っています。単にグローバルなベストプラクティスを導入するだけでなく、日本の実情に合わせた現実的な解決策を提示できる点が、多くの日系クライアントから支持されています。「クライアントの成功のために、泥臭いことも厭わない」という顧客志向の強さも、現場のコンサルタントからよく聞かれる特徴です。

これらの特徴は、ベイカレントのケース面接のお題選定や評価基準にも影響を与えていると考えられます。例えば、「特定の業界に偏らない汎用的な課題」「戦略だけでなく実行まで考慮した打ち手」「クライアントの立場に立った現実的な提案」などが求められる傾向があると言えるでしょう。

2. ベイカレントのケース面接:過去10年の出題傾向を定量分析!

ベイカレントのケース面接を突破するためには、まず敵を知ることが重要です。ここでは、過去10年間に実際に出題された(あるいはWeb上で有力な情報として共有されている)ケース面接のお題を収集・分析し、その出題傾向を定量的に明らかにします。

分析対象データについて:

  • 対象期間:過去約10年間(2015年頃~2024年現在まで)
  • 情報源:就職活動サイト(ワンキャリア、外資就活ドットコム等)、転職口コミサイト、個人ブログ、SNS(X 旧Twitter)、面接体験談など、Web上で収集可能な情報をクロスチェック。筆者や知人の体験も一部含む。
  • データ数:約50件のケース面接お題を収集・分類。
    (※注:公式発表されたデータではないため、あくまで傾向を掴むための参考情報としてください。)

定量分析結果と考察:

1. 出題形式の傾向

  • フェルミ推定の有無:
    • 「フェルミ推定単独」または「フェルミ推定 → ビジネスケース」の組み合わせが約7割を占める。 特に1次・2次面接など初期の選考段階で、冒頭に市場規模推定や数量推定といったフェルミ推定が出題されるケースが多い。
    • 残り約3割は、フェルミ推定なしでいきなりビジネスケースに入るパターン。これは最終面接に近い段階や、中途採用で見られることがある。
    • 考察: ベイカレントは、コンサルタントの基礎能力として地頭の良さ、特に数値に対する強さ(推定力、概算力、論理的思考力)を非常に重視していると言えます。フェルミ推定を通じて、短時間で構造的に物事を捉え、仮説を立て、数値を導き出す能力を評価しています。また、フェルミ推定の結果をその後のビジネスケースの前提として用いることで、思考の連続性や応用力、さらにはプレッシャー下での対応力も見ていると考えられます。
  • 資料の有無:
    • 95%以上が資料なしの口頭ベースです。面接官がお題を口頭で伝え、それに対して受験者が思考・回答する形式が基本です。
    • ごくまれに(5%未満)、数行のテキスト情報や簡単な図が提示されることもありますが、複雑なデータ分析や読解を求めるものは皆無に近いと言えます。
    • 考察: 資料読解や分析スキルよりも、ゼロベースでの思考構築力、課題特定能力、構造化能力、そして面接官とのコミュニケーションを通じた仮説検証能力を重視している姿勢が明確です。限られた情報からいかに本質的な論点を抽出し、議論を深められるかが問われます。
  • 面接時間とケース数:
    • 1回の面接時間は30分~45分程度が最も一般的。まれに60分の場合もある。
    • 多くの場合、1回の面接でフェルミ推定1問+ビジネスケース1問、あるいはビジネスケース1問を深掘りする構成です。
    • 考察: 戦略コンサルファームとしては標準的な時間設定ですが、その中でフェルミとビジネスケースの両方をこなす場合、時間管理能力が非常に重要になります。各思考ステップ(前提確認、構造化、数値設定、打ち手考案など)にどれくらいの時間を割くか、瞬時に判断し、面接官との対話を効果的に挟みながら進める必要があります。

2. 頻出テーマ(業界・課題タイプ)の傾向

  • 業界:
    • 最も多いのは「特定業界に偏らない日常的なテーマ」や「BtoCビジネス」で、全体の約60%を占めます。
      • 例:カフェ、アパレル、家電量販店、スーパーマーケット、フィットネスジム、遊園地、映画館など。
      • 考察: ワンプール制で多様な業界を扱うベイカレントの特性を反映し、特定の専門知識がなくとも、一般的なビジネス常識や論理的思考力、消費者としての洞察力で対応できるテーマを選んでいると考えられます。受験者の思考の「素の力」を見極めやすいと言えるでしょう。
    • 次いで多いのが「IT/デジタル関連」のテーマで、約20%。
      • 例:キャッシュレス決済、SaaS、ECサイト、マッチングアプリ、動画配信サービスなど。
      • 考察: 近年のベイカレントがDX支援やデジタル関連案件に注力していることの表れです。ただし、高度な技術的知識を問うというよりは、新しいビジネスモデルへの理解や、デジタルが既存ビジネスに与える影響を考察させるものが多いです。
    • 「製造業」「金融」「インフラ」といった伝統的な大企業がクライアントとなるようなお題は、それぞれ5%未満と比較的少ない傾向にあります。
      • 考察: これらの業界は専門知識の比重が大きくなるため、新卒や若手の中途採用のケース面接では避けられる傾向があるのかもしれません。ただし、全く出ないわけではないので油断は禁物です。
  • 課題タイプ:
    1. 売上向上 (約50%): 最も頻出。様々な業種・商材の売上向上策を問われます。店舗レベルのミクロなものから、企業全体の戦略レベルまで幅広いです。
      • 例:「カフェの売上を2倍にするには?」「地方の遊園地の集客数を増やすには?」
    2. 市場規模推定(フェルミ推定)(約30%): 単独で出題されることも、ビジネスケースの前段として出題されることもあります。様々なモノやサービスの市場規模、数量を推定させます。
      • 例:「日本国内の年間傘販売本数は?」「電柱の数は?」
    3. 新規事業立案 (約10%): 既存企業の新規事業、あるいは全く新しいビジネスモデルの提案。
      • 例:「〇〇(既存企業)が△△市場に参入すべきか、その戦略は?」「新しいコンセプトの学習塾を考えてください」
    4. 業務改善 / コスト削減 / 課題解決型 (約5%): 特定の業務プロセスの課題解決やコスト削減策、あるいはより広範な社会課題の解決策。
      • 例:「コールセンターの応答率を改善するには?」「日本の食品ロスを削減するには?」
    5. その他 (約5%): M&A戦略、海外進出戦略、特定の製品の普及戦略など。
    • 考察: ベイカレントが戦略から実行まで一気通貫で支援するファームであるため、「具体的な打ち手」に繋がりやすい「売上向上」が最も多いのは納得です。また、基礎的な思考力を測る「フェルミ推定」の比率が高いのも特徴的です。「新規事業」は創造性やビジネスモデル構築力を、「課題解決型」は社会的な視点や構造的思考力を測る意図があると考えられます。

3. 難易度と評価ポイントの特徴

  • 難易度:
    • お題自体は、MBBと比較すると奇抜な設定や極端に専門知識を要するものは少ない傾向にあります。身近なテーマが多いため、一見とっつきやすく感じられるかもしれません。
    • しかし、だからこそ思考の深さ、構造化の質、打ち手の具体性と論理性、そして面接官とのディスカッションの質で明確な差がつきます。油断せず、基礎的な思考力を高いレベルで発揮することが求められます。
  • 評価ポイント(Strategists的解釈):
    1. 論理的思考力と構造化能力: これは全てのコンサルファームで共通して最重要です。ベイカレントにおいても、MECEな分解、本質的な論点の特定、一貫した論理展開は厳しく評価されます。
    2. 数値に対するセンスとコミットメント(特にフェルミ): 曖昧な表現を避け、具体的な数値を設定し、それに基づいて計算し、結論を出す力。推定のプロセスが論理的であれば、結果の数値が多少ずれても問題視されにくいですが、「わからない」「計算できない」はNGです。
    3. 現実的かつ具体的な打ち手の提案力: 「戦略から実行まで」を標榜するベイカレントでは、提案する施策が「絵に描いた餅」ではなく、クライアントが実際に実行できるレベルの具体性と現実感を持っているかが重視されます。どのようなリソースを使い、どのようなステップで進めるのか、といった実行面への意識も評価対象です。
    4. コミュニケーション能力と素直さ: 面接官の質問やフィードバックを的確に理解し、建設的な対話ができるか。自分の考えに固執せず、指摘を素直に受け止め、思考を深められる柔軟性。「一緒に働きたい」と思わせる人間性も重要です。
    5. ビジネスへの興味関心と当事者意識: 日常的なテーマが多いからこそ、普段からビジネスや社会の動きに関心を持ち、自分なりに「なぜだろう?」「どうすれば良くなるだろう?」と考えているかが透けて見えます。お題に対して他人事ではなく、当事者意識を持って取り組む姿勢が評価されます。

3. 【フェルミ推定 例題解説】「カップうどんの国内年間市場規模は?」

ここからは、ベイカレントのケース面接で出題される可能性のある具体的な例題を用いて、思考プロセスと解答のポイントを解説していきます。まずは、多くのケース面接の導入として用いられる「フェルミ推定」です。

お題:日本国内におけるカップうどんの年間市場規模(金額ベース)を推定してください。(制限時間:5分)

フェルミ推定の心構え(ベイカレント対策を意識して):

  • 結論(数値)を出すことが最優先: 5分という限られた時間で、必ず最終的な市場規模(金額)を算出します。精度以上に、時間内に論理的に数値を導き出すプロセスが重要です。
  • 構造の明確さ: どのような要素に分解して市場規模を捉えようとしているのか、その構造を面接官に分かりやすく示すことが大切です。
  • 仮定の妥当性と説明責任: 各パラメータに設定する数値には、簡単なものでも良いので根拠(なぜその数値を置いたのか)を説明できるようにします。「何となく」はNGです。
  • ディスカッションの準備: 面接官から「なぜその分解なのですか?」「その数値の根拠は?」といった質問が来ることを想定し、自分の考えを深めておきます。

ステップ1:前提確認とアプローチ設定(思考時間:〜30秒)

まず、お題の定義とスコープを明確にします。

  • 「カップうどん」の定義:
    • 「うどん」であり、そばやラーメン等の他のカップ麺は除く。
    • 「カップ」容器に入っており、袋麺やチルド麺は除く。
    • メーカーは問わない(例:どん兵衛、赤い きつねなど)。
    • サイズも問わない(レギュラー、ミニ、大盛りなど)。
  • 「国内年間市場規模」の定義:
    • 日本国内で、1年間に消費者が購入する総額(小売価格ベース)。
  • アプローチの選択:
    市場規模を推定するアプローチはいくつか考えられます。
    1. 需要ベース(消費者起点):
      • 日本の人口 × カップうどんを食べる人の割合 × 1人あたり年間平均購入個数 × 平均単価
    2. 供給ベース(メーカー起点):
      • 主要メーカーのカップうどん売上 × 市場全体における主要メーカーのシェア逆数
      • このアプローチは、メーカーの売上やシェア情報が不明なため、難易度が高い。
    3. チャネルベース(販売チャネル起点):
      • 各販売チャネル(スーパー、コンビニ、その他)のカップうどん販売額合計
      • これも各チャネルのデータが必要となり難しい。
    今回は、需要ベース(消費者起点)のアプローチが最も仮定を置きやすく、論理的に説明しやすいと判断します。

面接官への確認(例):
「カップうどんの定義は、メーカーやサイズを問わず、カップ容器に入った即席うどんで、小売価格ベースの国内年間総販売額を推定する、という理解でよろしいでしょうか?アプローチとしては、日本の人口を起点に、カップうどんを食べる人の割合、年間購入個数、平均単価を掛け合わせる需要ベースで考えたいと思います。」

ステップ2:分解と構造化(思考時間:〜1分)

需要ベースのアプローチを、より具体的な計算要素に分解・構造化します。

市場規模 = ①対象人口 × ②喫食率 × ③年間平均喫食個数 × ④平均単価

ここで、各要素をさらに深掘りし、仮定を置きやすいようにブレークダウンします。

  • ① 対象人口:
    • 日本の総人口で良いか? 乳幼児や極端な高齢者は喫食頻度が低い可能性を考慮するか?
    • 今回はシンプルに日本の総人口で進める。後で調整可能。
  • ② 喫食率(カップうどんを年に1回以上食べる人の割合):
    • 年齢層によって差がありそう(若者・単身者は高い? 高齢者は低い?)。
    • 性別による差はあまりなさそう。
    • 簡略化のため、まずは全体の平均的な喫食率を仮定する。
  • ③ 年間平均喫食個数(喫食者1人あたり):
    • 喫食頻度によって大きく異なりそう(ヘビーユーザー、ライトユーザーなど)。
    • セグメント分けも考えられるが、時間制約からまずは平均値で。
  • ④ 平均単価:
    • レギュラーサイズ、大盛り、特売品などで価格帯が異なる。
    • コンビニ、スーパーなど販売チャネルによっても異なる可能性。
    • こちらも平均的な価格を仮定する。

ステップ3:数値設定と計算(思考時間:〜2分30秒)

各要素に具体的な数値を設定し、計算を進めます。計算しやすいキリの良い数字を意識し、なぜその数値を置いたかの簡単な理由を頭の中で整理します。

  • ① 対象人口:
    • 1.2億人(日本の総人口の概算)
  • ② 喫食率:
    • カップ麺市場全体は非常に大きいが、うどんに限定すると少し下がる。
    • 子供から高齢者まで食べられるが、主食として毎日食べる人は少ない。
    • 仮に、3人に1人(約33%)が年に1回以上食べると仮定。
      • → 喫食者数 = 1.2億人 × 1/3 = 4,000万人
  • ③ 年間平均喫食個数(喫食者1人あたり):
    • 毎日食べるヘビー層から、年に数回程度のライト層まで幅がある。
    • ヘビー層(週1回=年50個)、ミドル層(月1回=年12個)、ライト層(年2-3個)と仮定し、ボリュームゾーンはミドル~ライト層と考える。
    • 平均すると、月に1個程度、年間で12個と仮定。(やや保守的かもしれないが、後で調整可能)
  • ④ 平均単価:
    • スーパーの特売で100円強、コンビニで200円強、大盛りや付加価値商品で300円程度。
    • 平均して200円と仮定。(これも計算しやすい数値)

計算実行:
市場規模 = 4,000万人 × 12個/人・年 × 200円/個
市場規模 = 4,000万 × 2,400円/人・年
市場規模 = 40,000,000 × 2,400
市場規模 = 96,000,000,000 円
市場規模 = 960億円

ステップ4:リアリティチェックと結論(思考時間:〜1分)

算出した「960億円」という数値が妥当かどうか、他の市場規模などと比較して検証します。

  • 他の市場規模との比較:
    • インスタントラーメン全体の市場規模は、確か数千億円レベルだったはず(例:約6000億円)。カップうどんはその一部なので、960億円は桁感が大きく外れてはいないかもしれない。
    • もし、カップうどんのトップブランド(どん兵衛など)の年間売上高が分かれば、そこから逆算して市場シェアを推定し、全体の市場規模を検証できる(今回は情報なしと仮定)。
  • パラメータの妥当性再検証:
    • 喫食率33%:もう少し低いかもしれない(25%=1/4なら3000万人、結果720億円)。
    • 年間喫食個数12個:週に1回食べる人が1割いるなら平均はもっと上がるか?など。

時間があれば、ここでパラメータを少し修正して再計算することも考えられますが、5分という時間制約では、最初の構造とロジックがしっかりしていれば、多少の数値のズレは許容範囲です。

面接官への報告(例):
「はい、国内のカップうどんの年間市場規模は、約960億円と推定しました。
算出根拠としては、まず日本の総人口を1.2億人と置き、そのうちカップうどんを年に1回以上召し上がる方を3人に1人、約4,000万人と仮定しました。
次に、その方々が1人あたり年間平均で12個(月1個ペース)召し上がるとし、カップうどんの平均単価を200円と設定しました。
これらを掛け合わせ、4,000万人 × 12個 × 200円で、960億円と算出いたしました。
(可能であれば)他の即席めん市場との比較からも、桁感として大きくは外れていないと考えておりますが、特に喫食率や年間平均喫食個数の置き方によって数値は変動しうると認識しております。」

ディスカッションのポイント:

面接官からは、以下のような質問が来ることが予想されます。

  • 「なぜその分解にしたのですか? 他のアプローチは考えましたか?」
  • 「喫食率33%の根拠はもう少し詳しく教えてください」
  • 「年齢層別のセグメントは考えましたか?それによってどう変わりそうですか?」
  • 「この市場は今後伸びると思いますか?縮小すると思いますか?」

これらの質問に対し、慌てずに自分の思考プロセスや仮定の背景を説明し、建設的な議論に繋げることが重要です。ベイカレントの面接では、完璧な数値よりも、論理的な思考プロセスと、ディスカッションを通じて思考を深められる柔軟性が評価されます。

5. 【ケース面接 例題解説】「カップうどん(どん兵衛)の売上を3年で1.5倍にするには?」

続いて、ビジネスケースの代表的なお題である「売上向上」について、具体的な商品名を挙げて解説します。これは、先のフェルミ推定「カップうどんの市場規模」の派生ケースとしても考えられます。

お題:日清食品のカップうどん「どん兵衛」の売上を、今後3年間で1.5倍にするための戦略を提案してください。(制限時間:30分程度を想定)

1. 前提設定、問題の背景の言語化

  • クライアント: 日清食品ホールディングス(またはその中核事業会社である日清食品)。
  • 対象商品: 「どん兵衛」ブランドのカップうどん全般(きつねうどん、天ぷらうどん、カレーうどん、特盛などを含む)。
  • 目標: 3年間で「どん兵衛」ブランドの売上金額を1.5倍にする。現在の売上規模や市場シェアについては不明なため、必要であれば先のフェルミ推定(カップうどん市場全体で約960億円)を参考にしつつ、例えば「どん兵衛」が市場シェア30%程度(約288億円)と仮置きし、これを3年で約432億円(1.5倍)にすることを目指す、といった具体的なイメージを持つ。
  • 制約条件: ブランドイメージを大きく損なう施策、短期的な効果しか見込めない投機的な施策は避ける。日清食品のアセット(製造拠点、販売チャネル、ブランド力、他商品とのシナジーなど)は活用可能。品質を著しく落とすようなコストカットはNG。
  • 現状認識(仮説):
    • 「どん兵衛」はカップうどん市場においてトップブランドの一つであり、高い認知度と定番の地位を確立している。CMキャラクター(吉岡里帆さん、星野源さんなど)による親しみやすいイメージも定着。
    • 主な顧客層は中高年層やファミリー層が中心で、若年層(特に10代~20代前半)へのリーチや新規顧客獲得に課題があるかもしれない。
    • 競合は、他の大手カップ麺メーカー(マルちゃん「赤いきつねと緑のたぬき」等)の類似商品、コンビニPB商品、さらには冷凍うどんや他の即席めん、外食(うどん店)なども広義には含まれる。
    • 味や品質は安定しており、特に「だし」へのこだわりが強い。しかし、近年は大きな味のリニューアルや、若者層に響くような話題性の喚起は少ないかもしれない。
    • 健康志向の高まりの中で、「ジャンクフード」「体に悪い」というカップ麺全体のネガティブなイメージが、購入頻度の上昇や新規顧客獲得の足かせになっている可能性。

面接官への確認(例):
「本件は、日清食品の『どん兵衛』ブランドのカップうどん全体の国内売上を、現在(仮に約290億円とします)から3年間で1.5倍の約430億円にすることを目指す戦略を考える、という理解でよろしいでしょうか?既存のブランドイメージや日清食品のアセットは活用可能という前提で進めます。」

2. 仮説創出のための業界・商材の特徴分析

  • 即席めん市場の特性:
    • 成熟市場であり、国内市場は微増または横ばい傾向。人口減少の影響も受ける。
    • 競争が激しく、新商品が頻繁に投入されるが、定番ブランド(ロングセラー商品)が強い。
    • 価格競争も一部で見られる(特にPB商品やディスカウントストア)。
    • トレンド: 健康志向(減塩、低糖質、高たんぱく)、簡便化・時短ニーズ、プレミアム化(高品質・高価格帯)、SDGs(環境配慮パッケージなど)。
  • 「どん兵衛」(カップうどん)の特性:
    • 強み:
      • ブランド力: 高い認知度、長年の信頼、CMによる親しみやすいイメージ。
      • 品質: 特に「だし」へのこだわり、ふっくらとした「おあげ」やサクサクの「天ぷら」。
      • 販売網: 全国津々浦々のスーパー、コンビニ、ドラッグストア等で購入可能。
      • 安定供給力: 日清食品の生産・物流体制。
    • 弱み(可能性):
      • ブランドイメージの固定化・高齢化: 若年層にとっては「昔ながらの定番」で、やや古臭いイメージを持たれている可能性。
      • 健康イメージの欠如: カップ麺全般の課題だが、「塩分が高い」「栄養バランスが偏る」といったイメージ。
      • マンネリ感: 味のバリエーションが限定的で、目新しさに欠けると感じる層がいる可能性。
    • 機会:
      • 健康志向への対応: 「罪悪感なく食べられるどん兵衛」の開発。
      • 食シーンの拡大: 従来の昼食・夜食だけでなく、朝食、間食、アウトドアなど新たな食シーンの提案。
      • インバウンド需要の取り込み: 「和食」としての魅力を訴求。
      • 海外展開のさらなる強化(今回は国内に限定)。
      • SNS時代の話題性作り: アレンジレシピ、限定パッケージなど。
    • 脅威:
      • 競合他社の新商品・リニューアル攻勢。
      • 高品質なPB商品の台頭による価格競争。
      • 健康志向の高まりによるカップ麺離れ、冷凍うどんやチルド麺など他の簡便麺へのシフト。
  • 顧客(KBF – 購買決定要因):
    • 味: だしの風味、麺のコシ、具材の質と量。地域性(東西での味の違い)も影響。
    • 価格: 手頃さ、コストパフォーマンス。
    • ブランドへの信頼・親近感: 長年親しんできた安心感、CMキャラクターの影響。
    • 入手容易性: どこでも手軽に買えること。
    • 簡便性: お湯を注ぐだけですぐに食べられる手軽さ。
    • 満足感・ボリューム: 一食としての食べ応え。
    • 新しさ・話題性(特に若年層)。

3. 論点の構造化、◎⚪︎△×でのイシュー絞り込み(論拠含む)

売上向上を「国内市場」に絞り、その上で「既存顧客へのアプローチ」と「新規顧客の獲得」に大別。それぞれのセグメントで「客数(購入者数)を増やす」か「客単価(一人当たり購入金額・購入頻度)を上げる」かという視点でイシューを特定する。

  • 既存顧客へのアプローチ(主に中高年層・ファミリー層)
    • 購入頻度向上 (⚪︎):
      • 論拠: 既に「どん兵衛」ブランドを認知し、購入経験のある層に対して、購入回数を増やすことは比較的実現しやすい。マンネリ化を防ぎ、新たな食シーンを提案することで、「もう一杯」に繋げる。ブランドスイッチの防止にもなる。
    • 客単価向上(アップセル・クロスセル) (⚪︎):
      • 論拠: ブランドへの信頼があるため、多少価格が高くても品質や満足度が伴えば、高単価商品へのシフトや関連商品の合わせ買いが期待できる。「たまには良いものを食べたい」というニーズに応える。
  • 新規顧客の獲得
    • 若年層(10代後半~20代)へのアプローチ (◎):
      • 論拠: 中長期的なブランドの成長と、3年で1.5倍という目標達成のためには、現在の主要顧客層以外の新しいファンを獲得することが不可欠。特に、今後の消費の中心となる若年層は、人口ボリュームは減少しつつも、新しいトレンドへの感度が高く、SNSでの拡散力も期待できるため、最重要ターゲットと言える。現在のどん兵衛のブランドイメージや商品ラインナップでは十分にリーチできていない可能性が高い。
    • 健康志向層へのアプローチ (△):
      • 論拠: 市場のトレンドとしては重要だが、「どん兵衛」の持つ「手軽でおいしいジャンクフード」的なイメージと、本格的な健康訴求は両立が難しい。中途半端な製品は既存ファンにも新規層にも響かないリスクがある。また、開発コストや味とのバランスも課題。
    • 競合ブランドからのスイッチ (△):
      • 論拠: 成熟したカップうどん市場において、競合トップブランドからの大幅なシェア奪取は、大規模なマーケティング投資や価格競争を伴う可能性が高く、利益を圧迫しかねない。まずは、まだ「どん兵衛」を選んでいない層へのアプローチを優先すべき。

【絞り込み結果】
3年間で国内売上1.5倍という野心的な目標を達成するためには、①若年層という新たな顧客層の獲得(◎)を最優先かつ最大のドライバーとし、これを主軸に、②既存顧客の購入頻度向上(⚪︎)③既存顧客の客単価向上(⚪︎)を組み合わせて売上を積み上げていく戦略が最も効果的かつ持続的成長に繋がると判断する。

4. 打ち手

上記の重点イシューに対する具体的な施策。

  • 若年層へのリーチ拡大(◎)施策:
    • 商品開発: 若者に人気のフレーバー(例:激辛チーズ坦々うどん、ガーリックバター醤油うどん、韓国風旨辛うどんなど、SNS映えする見た目も意識)や、食べ応えのある「ギガ盛」のようなサイズ展開。人気アニメやゲーム、VTuberとのコラボパッケージを期間限定で発売。
    • プロモーション: TikTok、Instagram、X(旧Twitter)で、若者に人気のインフルエンサーやクリエイターを起用したショート動画コンテンツ(例:アレンジレシピ対決、早食いチャレンジ、どん兵衛あるあるネタ)を大量投下。ARフィルターやオリジナルエフェクトなど、ユーザーが参加しやすいUGC(ユーザー生成コンテンツ)キャンペーンを実施。
    • チャネル: 大学の学園祭やeスポーツイベント、音楽フェスなど、若者が集まる場への協賛・ブース出展。限定メニュー提供やサンプリング。コンビニ限定の若者向けフレーバー開発。
  • 既存顧客 購入頻度向上(⚪︎)施策:
    1. 「もう一工夫」キャンペーン:
      • 公式ウェブサイトやSNS、店頭POPで、家庭にある食材(卵、ネギ、七味以外にも、とろろ昆布、梅干し、天かす、キムチ、ラー油など)を使った「ちょい足しアレンジレシピ」を積極的に発信。ユーザー参加型のレシピコンテストも開催。
      • スーパーの関連食材売り場(例:卵売り場、薬味売り場)との連携強化。どん兵衛の隣に推奨アレンジ食材を陳列するクロスマーチャンダイジング。
    2. 「日本の四季」フレーバー: 春夏秋冬の季節感を前面に出した限定フレーバー(例:春の桜えび天うどん、夏の冷やしぶっかけ、秋のきのこあんかけ、冬の鍋焼き風)を定期的に投入し、購入のきっかけを作る。地域の特産品を使った「ご当地どん兵衛」も限定販売。
    3. 「夜食にどん兵衛」プロモーション: 受験生、夜勤従事者、残業中のビジネスパーソンなど、特定の夜食ニーズ層に向けた訴求を強化(例:「消化にやさしい」「お夜食にちょうどいいミニサイズ」など)。
  • 既存顧客 客単価向上(アップセル/クロスセル)(⚪︎)施策:
    1. 高級ラインナップの拡充:
      • 「特盛」の上位ラインとして、厳選された国産素材(例:利尻昆布、枕崎産鰹節)を使用した「究極のだし」を謳う高品質・高価格帯の商品(例:希望小売価格300円~400円)。
      • 具材にもこだわり、「特大おあげ」「天然大海老天」など、特別感を演出。
    2. セット商品提案:
      • オンラインストア限定で、どん兵衛数種類の詰め合わせに、日清食品の他ブランド商品(例:カップヌードル、チキンラーメン)や、どん兵衛に合うオリジナル調味料(例:特製七味、ゆず胡椒)をセットにした「お楽しみBOX」を販売。
      • コンビニエンスストアと連携し、どん兵衛と対象のおにぎりや惣菜を一緒に買うと割引になるキャンペーンを実施。

5. 学びの抽象化、今回の問題を通じて伝えたいこと

  • ロングセラーブランドのジレンマと進化: 高い認知度と安定した基盤を持つロングセラーブランドは、その「変わらない安心感」が強みである一方、時代や顧客の変化に対応しきれないと「古臭い」「マンネリ」というイメージを持たれ、特に若年層から敬遠されるリスクがある。ブランドのコア価値は守りつつ、ターゲットや時代に合わせた「新しい価値」を付加し続けることが持続的成長の鍵。
  • ターゲット解像度の重要性: 「若者」と一括りにするのではなく、彼らが何を重視し(例:SNSでの共感、体験、新しさ、コスパ)、どこで情報に触れ(例:TikTok、Instagram、ゲーム)、何に影響されるのか(例:インフルエンサー、友人)を深く理解した上で、具体的なペルソナを設定し、そこに刺さる商品・コミュニケーションを設計する必要がある。
  • 「らしさ」の再定義と活用: 「どん兵衛」の強みである「だしのおいしさ」「おあげ/天ぷら」といった本質的な価値は何かを再認識し、それを現代の文脈でどのように魅力的に伝え、新しい体験に繋げられるかを考える。CMキャラクターのような既存のブランド資産も有効活用する。
  • 短期施策と中長期施策の組み合わせ: 3年で1.5倍という目標達成のためには、短期的に効果が出やすいプロモーションや限定商品と、中長期的なブランド育成や顧客基盤拡大に繋がる施策(若年層への浸透など)をバランス良く組み合わせることが重要。

6. 差がつくポイント、元面接官からのコメント

  • 「どん兵衛」への具体的な愛情と理解: 単なる売上向上策ではなく、「どん兵衛」という具体的なブランドに対する理解(歴史、CM、特徴、競合との違いなど)を示し、それを活かした施策を提案できるか。例えば、「東西でのだしの味の違いを活かしたマーケティング」や「CMキャラクターの世界観と連動した企画」など、「どん兵衛だからこそできる」という視点。
  • ターゲットインサイトの深さ: 若年層の行動様式や価値観(例:タイムパフォーマンス意識、共感消費、推し活文化など)をどれだけ具体的に捉え、それを商品開発やプロモーションに落とし込めているか。
  • 施策の創造性とリアリティのバランス: 若者向けの奇抜なフレーバー提案なども面白いが、それが「どん兵衛」ブランドとして許容される範囲か、日清食品の生産体制で実現可能か、といった現実的な視点も忘れない。「突飛だが面白い」と「現実的で効果が見込める」のバランス感覚
  • 数値へのコミットメント: 1.5倍という目標に対し、各施策がどの程度貢献するのか、概算でも良いので定量的なインパクトを示そうとする姿勢。例えば「若年層のシェアを〇%獲得できれば、売上は△億円増加する」といった試算。
  • 熱意と当事者意識: まるで自分が「どん兵衛」のブランドマネージャーになったかのような熱意と当事者意識を持って、楽しそうに語れるか。

6. ベイカレントのケース面接突破に向けた具体的な対策ステップ

これまでベイカレントのファーム特徴、ケース面接の出題・評価傾向、そして具体的な例題解説を見てきました。これらを踏まえ、ベイカレントのケース面接を突破するために、どのような対策を、どのように進めていけばよいのか、具体的なステップで解説します。

ステップ1:基礎力の徹底強化 – 論理的思考力と構造化能力

何よりもまず、ケース面接の土台となる基礎的な思考力を徹底的に鍛える必要があります。これはベイカレントに限らず、全てのコンサルティングファームで必須です。

  • 論理的思考力の訓練:
    • MECE(モレなくダブりなく)な分解: あらゆる事象をMECEに分解する練習を日常的に行います。例えば、「日本の飲食店の種類は?」「移動手段の種類は?」といったお題を自分で設定し、複数の切り口で分解してみましょう。
    • ロジックツリーの構築: 問題の原因究明や解決策の検討において、なぜそう言えるのか(Why so?)、だから何なのか(So what?)を常に意識し、論理の繋がりを明確にする練習をします。
    • 批判的思考(クリティカルシンキング): 情報や意見を鵜呑みにせず、「本当にそうか?」「他の可能性はないか?」「前提は正しいか?」と自問自答する癖をつけます。
    • おすすめ教材: バーバラ・ミント『考える技術・書く技術』、照屋華子・岡田恵子『ロジカル・シンキング』などは古典ですが、論理思考の基礎を学ぶ上で依然として有用です。
  • 構造化能力の向上:
    • 情報を整理し、相手に分かりやすく伝えるための「型」を習得します。例えば、問題解決のステップ(課題特定→原因分析→解決策立案→実行計画)、3C分析、バリューチェーン、SWOT分析などの基本的なフレームワークを理解し、使えるようにしておきます。
    • 重要ポイント: フレームワークはあくまで思考を整理するための道具であり、フレームワークに当てはめることが目的ではありません。お題の本質に合わせて、適切なフレームワークを選択・応用する、あるいは独自の構造を構築する能力が重要です。

ステップ2:フェルミ推定の反復練習 – 数値への強さを磨く

ベイカレントのケース面接ではフェルミ推定が頻出するため、専用の対策が不可欠です。

  • アプローチパターンの習得: 需要ベース、供給ベース、面積ベースなど、基本的な推定アプローチを複数理解し、お題に応じて最適なものを素早く選択できるようにします。
  • 頻出パラメータの暗記と概算力の養成: 日本の人口、世帯数、GDP、平均寿命、主要産業の市場規模といった基本的な数値をある程度頭に入れておくと、推定のスピードと精度が向上します。また、日常的に「これはどれくらいの数だろう?」と概算する癖をつけることも有効です。
  • 分解・構造化の練習: 推定対象を、計算可能なより小さな要素にMECEに分解する練習を繰り返します。
  • 時間計測と結論へのコミットメント: 必ず制限時間を設けて練習し、時間内に必ず何らかの数値を出す訓練をします。
  • おすすめ教材: 高松智史『フェルミ推定の技術』、Strategistsの『フェルミ推定の教科書』や動画講座などが、実践的な問題と解説が豊富で役立ちます。

ステップ3:ビジネスケースの多様なテーマへの対応力強化

売上向上、新規事業、業務改善など、様々なテーマのビジネスケースに対応できる応用力を養います。

  • インプットの拡充:
    • ビジネスモデルの理解: 様々な業界の代表的な企業のビジネスモデル(収益構造、コスト構造、バリューチェーン、KSFなど)を複数インプットしておきます。
    • 業界知識の浅く広い習得: 特定の業界に詳しくなる必要はありませんが、主要ないくつかの業界(例:小売、IT、製造、金融)の動向や課題について、ニュースや業界レポートを通じて基本的な知識を得ておくと、議論の引き出しが増えます。
    • 最新ビジネストレンドの把握: DX、SDGs、AI、サブスクリプションモデル、シェアリングエコノミーなど、近年の重要なビジネストレンドを理解し、それが各業界にどのような影響を与えるか考察できるようにしておきます。
  • ケース問題演習と解説の読み込み:
    • 質の高いケース問題を数多く解き、その解説をじっくりと読み込みます。特に、「なぜその構造化なのか」「なぜその仮説に至ったのか」「なぜその打ち手が有効なのか」といった思考プロセスを深く理解することが重要です。
    • Strategistsの教材や、市販のケース面接対策本(例:東大ケーススタディ研究会『東大生が書いた 問題を解く力を鍛えるケース問題ノート』)などを活用しましょう。
  • 思考の引き出しの整理: 解いたケースや学んだ事例から、「売上向上施策のパターン」「新規事業立案の際の検討ポイント」「業務改善の切り口」といった形で、自分なりの「思考の引き出し」を整理・ストックしておくと、本番で応用しやすくなります。

ステップ4:模擬面接による実践力とコミュニケーション能力の向上

インプットと個人演習だけでは、ケース面接突破に必要な実践力は身につきません。模擬面接を通じて、アウトプットの質を高め、面接官との対話力を磨くことが不可欠です。

  • 模擬面接の重要性:
    • 時間配分の体感: 制限時間内に思考をまとめ、説明する練習。
    • 思考の言語化能力向上: 頭の中の考えを、相手に分かりやすく論理的に伝える訓練。
    • ディスカッション能力の向上: 面接官役からの質問やフィードバックに対し、的確に応答し、議論を深める練習。
    • 客観的なフィードバックの獲得: 自分の思考の癖、コミュニケーションの課題、改善点を客観的に指摘してもらう。
    • プレッシャー耐性の向上: 本番に近い緊張感の中で思考する経験。
  • 模擬面接の相手:
    • コンサルタント経験者/内定者: 最も質の高いフィードバックが期待できます。Strategistsのような対策塾の講師、キャリアセンター、OB/OGなどを活用しましょう。
    • ケース面接対策仲間: 同じ目標を持つ仲間と互いに面接官役と受験者役をやり合うことで、多様な視点や気づきが得られます。
  • 模擬面接のポイント:
    • 本番同様の意識で臨む: 時間計測、服装、言葉遣いなど、本番を想定して行います。
    • 録画・録音の活用: 自分の受け答えを客観的に見返すことで、改善点を発見しやすくなります。
    • フィードバックの積極的な活用: 指摘された点は素直に受け止め、次の演習に活かします。「なぜそう評価されたのか」を深く理解することが重要です。
    • 多様な面接官タイプを経験する: 優しい面接官、厳しい面接官、あまり喋らない面接官など、様々なタイプを経験しておくことで、本番での対応力が向上します。

ステップ5:企業研究と自己分析 – ベイカレントへのフィット感を醸成

ベイカレントの選考では、カルチャーフィットも重要な評価ポイントです。

  • 企業理念・価値観の理解: ベイカレントのウェブサイト、採用ページ、社員インタビューなどを通じて、同社が何を大切にし、どのような人材を求めているのかを深く理解します。特に「ワンプール制」「戦略から実行まで」「多様な成長機会」といったキーワードは押さえておきましょう。
  • 自己分析との接続: 自分の強み、価値観、キャリアビジョンが、ベイカレントの求める人物像や提供できる環境とどのように合致するのかを言語化できるようにします。「なぜベイカレントなのか」という問いに、自分の言葉で具体的に答えられるように準備します。
  • OB/OG訪問(可能であれば): 実際にベイカレントで働く社員から話を聞くことで、リアルな企業文化や仕事内容への理解を深めます。

これらのステップを愚直に、かつ継続的に行うことが、ベイカレントのケース面接、ひいては内定獲得への最短距離となるでしょう。

7. まとめ:ベイカレント内定を掴むために

これまで、ベイカレント・コンサルティングのファームとしての特徴、過去10年のケース面接の出題・評価傾向、具体的な例題解説、そして突破のための対策ステップについて詳細に解説してきました。

ベイカレントのケース面接は、一見すると身近なテーマが多く、とっつきやすいように感じるかもしれません。しかし、その実態は、コンサルタントとしての基礎体力である「論理的思考力」「構造化能力」「数値的センス」を厳しく見極めるとともに、「現実的な打ち手の考案力」「実行可能性への目配り」「クライアント志向のコミュニケーション能力」といった、総合コンサルティングファームならではの資質を深く問うものです。

付け焼き刃の知識やフレームワークの暗記だけでは、決して太刀打ちできません。

ベイカレント内定を掴むために、今一度心に刻んでほしいこと:

  1. 基礎を疎かにしない: 全ての土台となるのは、論理的に考え、構造化し、数値を扱う力です。日々の思考トレーニングやフェルミ推定の反復練習を通じて、揺るぎない基礎を築き上げてください。
  2. 「なぜ?」を深く追求する: 表面的な事象に囚われず、常に「なぜそうなるのか?」「本質的な課題は何か?」と問い続け、思考を深掘りする習慣を身につけましょう。ベイカレントの面接官は、あなたの思考の深さを見ています。
  3. 「実行」を意識した具体性: 提案する施策は、夢物語であってはなりません。「誰が、何を、いつまでに、どのように実行するのか」「その結果、どのようなインパクトが見込めるのか」といった、地に足のついた具体性を常に意識してください。
  4. 対話を楽しむ: ケース面接は、一方的なプレゼンテーションの場ではなく、面接官との「知的な対話」の場です。相手の意図を汲み取り、自分の考えを分かりやすく伝え、建設的な議論を通じて共に結論を創り上げていく姿勢が重要です。「一緒に働きたい」と思われるコミュニケーションを心がけましょう。
  5. ベイカレントへの熱意と理解: なぜ数あるコンサルティングファームの中でベイカレントを選んだのか、自分の強みやキャリアビジョンがベイカレントでどのように活かせるのか、自分の言葉で熱意をもって語れるように、企業研究と自己分析を深めてください。

戦略コンサルタントへの道は険しいですが、正しい方向性で努力を継続すれば、必ず道は開けます。特にベイカレントは、ワンプール制という多様な成長機会と、戦略から実行まで一貫して携われる魅力的な環境を提供しています。

この記事で解説した内容が、皆さんのベイカレントへの挑戦の一助となり、輝かしい内定を掴み取るためのお役に立てれば、筆者としてこれ以上の喜びはありません。

最後に、ケース面接対策は一人で行き詰まってしまうことも少なくありません。Strategistsのような専門の対策塾や、信頼できるメンター、切磋琢磨できる仲間を見つけ、客観的なフィードバックを受けながら進めることが、効率的かつ効果的な対策の鍵となるでしょう。

皆さんの健闘を心より応援しています。

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我々のマンツーマン指導プログラムについて

サービス開始の2022年以来、少数精鋭ではありながら、
総コン内定者を多数輩出、戦コンについても累計で受講生の内定率が約43% (新卒約45%/既卒約40%)、
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多数の受講生の指導や教材制作を経て蓄積・言語化してきたオリジナルのノウハウを基に、本番での評価ポイントを熟知したトップファーム面接官経験者の視点も組み込みながら、最強のケース対策プログラムを制作しました。

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ケース面接初心者苦手意識のある方であっても
再現性高く最短距離で最高峰(内定レベル)のケース力
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実は我々のお客様の63%は入会時点で
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再現性高く、最短距離で、内定を取れる理由

最高のケース面接対策プログラムの設計を始めたとき、
我々のチームが最初に考えたのが
「理想的な上達プロセス」についてでした。

スポーツでも勉強でも、何か新しいことを始めるとき
「最短距離で最高峰を目指そう!」と思ったら
どういうやり方をするのが正解なのだろうか?
それについて考えるところから始まりました。

結論、我々が辿り着いた答えは
①学習する:プロから正しく学ぶ
②練習する:繰り返し練習し学んだことを自分の体に染み付かせる
③実践する:実践で到達度や課題を明確化する
→①②に戻る
というサイクルを回すことが
「理想的な上達プロセス」
なのではないか?ということでした。

そこで、この「理想的な上達プロセス」に沿う形で
さまざまな教材・トレーニングメニューを綿密に設計・用意し
「内定レベルのケース面接」を最短距離で習得できるカリキュラムが完成しました。

プログラムの全体像はこちらです。

①正しく学ぶ

Strategistsのオリジナル教材、教科書・動画講座を使って
必要な思考法や知識を体系的にインプットしていただきます。

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②反復練習で定着:課題ケース演習

厳選した良問を、自主課題としてメンターが指定。
時間制限を設けず熟考する形式で自主演習し、
さらに専用フォームに筆記ケース形式でアウトプットしていただきます。
教科書や動画講座で学んだ思考法や知識を思い返しながら
実際の過去問を題材に試行してみる。
あなたの思考力が”変わる・鍛えられる”のが
このトレーニングの役割です。

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③実践&現状把握:模擬ケース面接

専属メンターと模擬面接を実施。
詳細なフィードバックをもらうことで
現状を把握し、弱点・課題を発見できるのはもちろん
内定レベルの解答例や思考のポイントなど
1問を題材に「次に活かせる」学びを詳しく解説します。

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メンタリングの質へのこだわり

皆さんは『メンタリングの質』というものについて考えたことはありますか?我々は『問題を解き→フィードバックをもらい→模範解答を見る』というプロセスを経ての成長幅こそが『メンタリングの質』だと考えています。

『メンタリングの質』はメンターの質はもちろん、扱う問題と模範解答の質によって決まると考えており、我々のサービスでは厳選された問題からしか出題を行いません。メンタリングでの使用を構想してから実際にお客様にお出しする「デビュー」までに数ヶ月かかることも多いです。

我々はケース対策における「良問」を
・得られる学びが深くて多い
・抽象化して次に活かせる普遍性がある
・これまでのお題とも次回以降のお題とも被らない新たな学びがある

と定義しています。各問題が単に「マッキンゼー対策」「公共系」のような表面的なジャンル分けにとどまらず、「BSとPLの構造理解」「”実現可能性とインパクト”の落とし穴」「サブスク事業のキードライバー」など裏テーマが設定してあります。

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