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元BCG面接官が解説

ケース面接の解き方とコツ

内定者は「前提・仮説・構造化」の順に考えている

ケース面接の解き方を対談形式で解説する元BCG面接官とStrategists講師(講座「ケース面接完全攻略」の収録風景)
当社オフィスで収録した講座を記事化したものです。

執筆:Strategists 講師チーム / 監修:斉藤(元BCG面接官)/ 2026年10月21日

この記事の要点

  1. 内定者は、お題を具体的に決め(前提)、そのお題ならではの課題の仮説を出し、それを伝えるために構造化する。因数分解から入る解き方とは順番が逆
  2. 筋のいい仮説は、才能より引き出しの数で決まる。面接で使える引き出しとして「5つの格言」を紹介する
  3. 構造化は、仮説を論理で伝える道具であり、議論で仮説を否定されたときに面接官と一緒に立ち返る足場にもなる

ケース面接で見られていること

ケース面接は、主にコンサルティングファームが、コンサルタントとしての適性を見るために行う面接です。「スタバの売上を上げるにはどうすればいいか」のようなお題と考える時間が与えられ、その場で考えて発表し、面接官と議論します。

見られている力は、大きく分けて2つです。1つは考える力、もう1つは考えたことを伝えて議論する力です。

ケース面接の4つの流れ

  1. 出題・質疑面接官に質問して、考える材料を集める。不明点を残したまま考え始めると、限られた時間を無駄にする
  2. 思考お題に対する最初の答えを組み立てる。受験者の差が一番大きく出る
  3. 発表結論から、構造立てて伝える。考えた順番のまま話さない
  4. 議論面接官と議論して答えを磨く。最後の着地まで含めて評価される

ファームによっては考える時間がなく、すぐに議論が始まることもあります。

質問を「してはいけないもの」と思っている人がいますが、むしろ積極的にするべきです。発表では、考えたことを全部伝える必要はありません。考える順番と話す順番は違っていてよく、目的は論理的に分かりやすく伝えることです。ただ、短くしようとしすぎて中身のない発表になる人も多いので、結論を先に言い、構造立てたうえで、情報量のある発表を目指してください。

議論の時間も軽く見てはいけません。最初の発表がいまひとつでも、議論で巻き返せます。逆に、振られた質問にすぐ返せるかどうかを重く見るファームも多くあります。

斉藤(元BCG面接官)

元BCG面接官斉藤

面接官は、話を聞きながら頭の中で図を描いています。フィードバックも考えながらなので、けっこう大変なんです。売上を分解するなら「何×何×何です」まで丁寧に話して、面接官に図を描かせるつもりで話してもらうといいと思います。

お題の種類

出題の大部分はビジネスケースです。特に中途の選考では9割ほどがビジネスケースという印象で、まずここを対策します。

種類中身例
ビジネス売上向上と成長戦略が大半。コストや利益まで考えるものもあるスターバックスの売上向上、フラワーショップの売上向上
公共社会で起きている問題の解決策を考える花粉症の問題を解決するには、通勤ラッシュを解消するには
発展・抽象ビジネスや公共の枠に収まらない。是非や定義を問う累進課税は廃止すべきか、国とは何か

ビジネスケースが多く見えるのは、一次・二次面接を受ける人数が多いからです。面接の終盤や最後の見極めでは、抽象度の高いお題が出ることが少なくありません。内定を取るなら、こうしたお題でも慌てない練習が要ります。

斉藤(元BCG面接官)

元BCG面接官斉藤

私がBCGに新卒で内定したときの最終面接は、採用責任者からいきなり「コロナで社会は何が変わったのか、構造化してみませんか」でした。そのあと「その中の可逆な変化と不可逆な変化を、また構造化してみませんか」と。どこから考えればいいか分からないお題も出るので、パニックにならない練習は大事です。

教科書的な解き方と内定者の解き方:差がつくコツ

「ケース面接 解き方」で調べると、売上を因数分解して課題を構造化し、ボトルネックや伸びしろを特定する方法がたくさん出てきます。この方法は必要な基礎ですが、それだけでは並の候補者にとどまり、戦略コンサルの高い水準では足りないと私たちは考えています。

同じお題で、2つの解き方を比べてみます。

お題:フードデリバリーサービスの売上を向上させよ

教科書的な解き方

先に式で分解し、因数ごとに施策を並べる

  1. 売上を分解する人口 × 利用する割合 × 年間の利用回数 × 1回あたりの単価 × 自社のシェア
  2. 因数ごとに施策を出す高齢者に使ってもらう、定期的にアプリで通知する、決済時の合わせ買い、自社にしかない店舗を増やす
  3. 実現性とインパクトで評価する◎○△をつけて1つ選ぶ

どのお題にも当てはまる答えになり、面接官には「可もなく不可もなく」に見える

内定者の解き方

お題を具体的に決め、仮説を出してから構造化する

  1. 前提を固める「フードデリバリー」をUber Eatsと決め、位置づけや規模、シェアをおさらいする
  2. 課題の仮説を出す店・利用者・ドライバー・自社の4者が絡むプラットフォームだと気づく 大雨の日に限ってドライバーが見つからなかった経験から、需要が増える日に供給が減り、売上を取りこぼしているのでは
  3. 構造化して発表する需給のバランスを軸に、雨の日のドライバーへの報酬の上乗せや、価格の変動といった打ち手を論拠つきで示す

そのお題ならではの課題になり、考える力そのものを見せられる

違いは順番にあります。教科書的な解き方は、先にロジックがあって、そこから答えを出します。内定者は、仮説の段階ではある意味で自由に、深く考えます。そうして出てきた仮説をもとに、あとからロジックを組み立てます。

右側の例では、Uber Eatsを使ったときの経験や、最近はスーパーやコンビニ、個人店の加盟が増えているといった印象まで思い出して、お題を深く掘っています。雨の日には自転車で配達したい人が減るので、需要が増えるときに供給が減るというジレンマが見えてきます。

ただし、仮説を出すだけではアイデア大会になってしまいます。因数分解や構造化は、仮説を伝えるために欠かせない土台です。

斉藤(元BCG面接官)

元BCG面接官斉藤

面接をしていると「この人は対策してきたな」と一発で分かるんです。そういう人には、心の中で割り切ってしまう。逆に、「こういう仮説が面白いと思うんです」の筋が良ければ、センスがあるな、受からせてあげたいなとなります。「そもそも、なぜこれを考えないといけないんでしたっけ」と前提に立ち返る議論を仕掛けられると、コンサルタントとしてそそられますね。

ここからは、内定者の3つのステップ「前提を固める」「仮説を出す」「構造化して伝える」を順に解説します。

実際の面接でこの違いがどう見えるかは、元MBB面接官が受験者の受け答えを途中で止めながら解説する動画「ちょっと待てい!で止めて解説」が参考になります。記事の最後でも紹介しています。

ステップ1

前提を固める

ケース面接では「とあるスターバックス1店舗の売上向上」のように、対象をぼかしたお題がよく出ます。ふわっとしたまま進めると、仮説が出てきません。一口にスターバックスと言っても、都心か郊外か、都心の中でもどんな形の店舗かで、考えるべきことがまるで違うからです。

前提を固めると、仮説の材料が出てくる

ぼかしたまま とあるスターバックス1店舗

どんなお客さんが来ているのか、何が売上を決めているのか、手がかりがない

前提を固める 渋谷スクランブル交差点のスターバックス
  • 観光客や外国人のお客さんが多そう
  • 平日も休日も席が埋まっていて、稼働率がとても高そう

面接官によって、前提を細かく説明してくれることもあれば、あえてぼかしていることもあります。

斉藤(元BCG面接官)

元BCG面接官斉藤

これはケースバイケースですね。私はざっくり出していました。どこまで自分で前提を置いてくるのか、前提が気になるならどこまで質問してこられるのか。そこを見たかったので、あえてぼかしていました。

前提は4Pで固める

どう固めればいいか迷ったら、4Pを考えるのがおすすめです。4Pはもともとマーケティングのフレームワークで、何を、いくらで、どこで、どうやって売っているかを整理するものです。「とある家具メーカーの売上向上施策」を例にすると、次のように考えます。

4P確かめること家具メーカーの例
製品(Product)どんな商品か。特徴的な製品はあるか質が高い高級家具のメーカーか、ニトリのような大衆向けのメーカーか
価格(Price)どの価格帯で売っているか高級か大衆向けかで、狙うお客さんも打ち手も変わる
流通(Place)どこで売っているか店頭での販売か、ECでの販売か
販促(Promotion)どうやって知ってもらい、選んでもらっているか店頭での体験、広告、口コミのどれが効いているか

4Pで前提を置くと、お題の解像度が上がり、次のステップで仮説が出やすくなります。

ステップ2

仮説を出す:ケース面接で使える5つの格言

構造化の前に仮説を出すといっても、何でもいいわけではありません。Uber Eatsの需給の話のように、そのお題ならではで、現実味のある仮説が要ります。

「3Cを考えればいい」「5Fを考えればいい」と言われても、何をすればいいか分からない、やってみたけどよく分からないという人はとても多くいます。仮説の出し方は人によって違い、唯一の理論があるわけではありません。そこで私たちのチームで議論して、面接の場ですぐに使える引き出しを、覚えやすい5つの格言にまとめました。

  1. ビジネスモデル・業界構造・KSFを突け何で稼いでいて、何を押さえれば勝てるのか
  2. 多レイヤーで比較し、商材の特性を洗い出せ近いもの、遠いものと比べて、その商材ならではを見つける
  3. 一つ上の論点や、抜けがちな論点を突けそもそも何が問題なのかを定義し直す
  4. 広義の競合との競争ストーリーを考えよ直接の競合だけでなく、代替品まで広げる
  5. 顧客の購買行動をリアルに妄想せよ買う人の気持ちと行動を、場面まで想像する

ビジネスモデル・業界構造・KSFを突け

お題の商材や企業が、どんなビジネスモデルで成り立っているのか。ここを外すと、納得感の薄い答えになります。「マッチングアプリの売上向上」で考えてみます。

マッチングアプリはプラットフォームビジネスです。ユーザーが増えるほど自分に合う相手に出会いやすくなり、マッチングという価値そのものが上がります。しかも、女性が多いから男性が集まり、男性が集まるから女性も集まるという、鶏と卵の循環があります。

マッチングアプリの構造から、KSFを導く

女性ユーザー多くのアプリで無料
男性ユーザー多くのアプリで有料
集まる 集まる

機能はどのアプリもほぼ同じ。機能での差別化や一発逆転は難しい

ユーザー数という積み上げと、そのユーザーがアクティブかどうかが価値を決める

男性が有料・女性が無料の形が多い。集めるのが難しいのは女性側では

KSF:女性ユーザーの体験を高めて呼び込み、アクティブにし続けられるか

構造を外すと「課金してくれる男性ユーザーが料金を理由に入会しないのが課題なので、男性の初月料金を無料にします」のような、的外れな答えになりかねない
斉藤(元BCG面接官)

元BCG面接官斉藤

KSFと言うと難しく聞こえますが、特に消費者向けの商材なら、まず「お客さんはどこで選んでいるか」を押さえればいいと思います。4Pに照らして考えれば、異性のユーザーがどれだけいるかだろうと気づける。そのために何が必要かと問えば、女性ユーザーをどう囲うかにすぐたどり着けます。

多レイヤーで比較し、商材の特性を洗い出せ

面白い仮説には、その商材ならではの要素が含まれていることがよくあります。それを引き出すには、商材の特徴を言葉にしておく必要があります。「ギターの売上向上」を例に、抽象度を変えながら別のものと比べてみます。

比べるレイヤー比べる相手見えてきたギターの特徴
楽器ピアノピアノは幼いころに親の意思で習い始めることが多い。ギターは中高生や大人になってから、憧れのアーティストの影響で自分から始める人が多いのでは
趣味・娯楽ゲームゲームは上達の負担を軽くする工夫がある。ギターはコードを覚えて押さえる地道な練習が要り、挫折しやすいのでは
まったく別のものティッシュティッシュは使ってなくなり、定期的に買う。ギターは一生に一度しか買わない人がほとんどで、家や車に近い、資産性の高い商材なのでは

いろいろな切り口で比べるほど、商材の細かな特徴が出てきます。「挫折しやすい」と分かれば、売った後に続けてもらう仕組みが打ち手の候補に入ってきます。

一つ上の論点や、抜けがちな論点を突け

お題そのものを疑ってみよう、と言い換えてもかまいません。お題が出たら一度立ち止まり、本当にそれが解くべき問いなのかを、前提から疑います。

「通勤ラッシュを解消するには」というお題を、前提を疑わずに解くと、通勤ラッシュは電車の乗車率の問題になります。ピーク時に乗る人を減らすか、ピーク時に運べる人を増やすか、つまり需要と供給の2つに分かれ、時差通勤を促す、座席をなくして定員を増やす、といった方向に落ち着きます。教科書的には正しいのですが、面白みのない答えです。

需要と供給は一見もれなく分かれているように見えますが、実は抜けている論点があります。

「通勤ラッシュ」の課題を定義し直す

  • 通勤ラッシュの課題
    • 過密そのものよく解かれる論点
      • 需要:ピーク時に乗る人の数
      • 供給:ピーク時に運べる人の数
    • 過密から生じる不快一つ上の論点
      • 不快の大きさ
      • 不快の持続時間
  • 通勤ラッシュの課題
    • 過密そのものよく解かれる論点
      • 需要:ピーク時に乗る人の数
      • 供給:ピーク時に運べる人の数
    • 過密から生じる不快一つ上の論点
      • 不快の大きさ
      • 不快の持続時間

課題を「過密」から「不快」に定義し直すと、不快の大きさと持続時間という、需要と供給の分け方では出てこなかった論点が見つかります。

広義の競合との競争ストーリーを考えよ

競合には、直接の競合、間接の競合、そしてまったく違う代替品があります。一度ここまで広げてイメージしてみると、思わぬ脅威が見えてきます。缶コーヒーで考えてみます。ボタンで競合の範囲を広げられます。

缶コーヒーの競合はどこまで広がるか

カフェイン飲料の市場代替品

コーヒーの市場間接の競合

缶コーヒーの市場直接の競合

自社
他社の缶コーヒー
コンビニのコーヒー
スターバックス
エナジードリンク

まず思いつくのは、他のメーカーの缶コーヒーです。

眠気覚ましに、昔はコーヒーを飲んでいました。今の若い人はエナジードリンクを飲みます。そう考えると、缶コーヒーにとってエナジードリンクはかなり強い競合です。実際に、飲料メーカーがカフェオレ風味のエナジードリンクを出していることからも、メーカー自身が競合と見ていることが読み取れます。

思わぬ代替品がある商材:スペアキー

スペアキーの小売店がお客さんを増やすには、というお題では、競合をつい他の合鍵屋に置きがちです。間違いではありませんが、スペアキーの価値は「鍵をすぐ手に入れられる便利さ」と「鍵をなくしたときの不安がなくなること」です。この価値から競合を広げると、次のようになります。

  1. 直接の競合他の合鍵屋
  2. 間接の競合ホームセンターの合鍵づくり
  3. 間接の競合ネットで注文できる合鍵の配送
  4. 代替品スマートロック・スマートキー

スマートロックが普及すると、スペアキーの市場そのものが小さくなるのでは。競合を広く捉えると、こうした仮説が出てきます。

顧客の購買行動をリアルに妄想せよ

あえて「妄想」と言っているのは、それだけ解像度高く想像してほしいからです。ターゲットのお客さんが、どんな気持ちで商品にたどり着き、選んでいるのか。マッチングアプリなら、女性の気持ちになって、どんなきっかけで使い始め、どう選ぶのかを考えます。

「高級寝具の売上向上」で、睡眠の質を上げたい激務の会社員をターゲットにした例を見てみます。

高級寝具を買う、激務の会社員を妄想する

表面だけで考えると

決め手は価格と質の2つ。激務の会社員は収入に余裕があり、睡眠を改善したい気持ちが強いので、価格は問題にならない。だから製品の質をメディアで訴える。

リアルに妄想すると
  1. 検討する
    きっかけ
    仕事が終わって「今日は本当に疲れた、ふかふかのベッドで寝たい」と思った夜。ボーナスがどかんと入ったとき
  2. 選び方同じように激務の上司や同僚からの「このベッドいいよ」という評判
  3. 価値に
    気づく場面
    寝てみないと良さが分からない。出張先のいいホテルで「今日の寝心地はすごく良かった」と感じたとき

気持ちと行動を場面まで想像すると、「職場の評判」や「ホテルでの体験」のような、実際のお客さんに沿った打ち手の糸口が見えてきます。

斉藤(元BCG面接官)

元BCG面接官斉藤

これが一番と言っていいくらい大事だと思います。家電を買うときの自分の行動を思い出してみてください。私は最近、Google検索だけでなくTikTokやYouTubeでも一応調べるんです。すると中小のD2Cメーカーの商品がたくさん出てきて、意外といいじゃん、ネットで買おうかなとなる。大手はそこに力を入れていないことが多いので、売上を削られているのでは、という面白い仮説が出てきます。

5つの格言は、使いやすく出番の多いものを代表として選んだにすぎません。対策を進める中で、自分に合った格言を自分でストックしていけると、さらに伸びます。

仮説の引き出しを日常で増やす

格言は面接の場ですぐ使えますが、結局は知識の量や過去の経験に左右されます。「ビジネスモデル・業界構造・KSFを突け」と言われても、その業界のビジネスモデルやKSFがそもそも思い浮かばない人も多いはずです。

そこで私たちがすすめているのが、日常をケース面接のように考える習慣です。普段の生活で目に入ったものに興味を持ち、ケース面接のお題のように考えてみる。知識や戦略の型のストックが増え、自分の考え方の癖も見えてきます。講師が実際に考えた例を2つ紹介します。

例1:コンビニのエナジードリンク

5〜10分の思考メモ

  1. 気づく昔よりフレーバーがずっと増えている。開けて飲み切る小瓶だけでなく、蓋つきの大きなサイズも増えている
  2. 仮説を立てる市場が広がって、お客さんの好みが多様になったのでは。もう一歩踏み込むと、棚の面積を取りにいっているのでは。こちらはサイズとフレーバーが増えた理由を両方説明できるので、確からしい
  3. 調べるAIにモンスターエナジーとレッドブルを比べてもらう。プレミアムな位置にいたレッドブルを、種類を広げて大衆化させた後発のモンスターが追い抜き、レッドブルが同じ戦略を後追いしたのでは
  4. 先を読む両社が棚の取り合いで競っているなら、その効き目は薄れていく。今後は種類が増えたことによるコストのリスクが目立ち、業界のKSFが変わるのでは
  5. ストックになる何度も買うのに、はっきりした差別化が難しい商材(カップ麺、缶のお酒など)は、棚の確保が重要な論点になりやすい
斉藤(元BCG面接官)

元BCG面接官斉藤

おっしゃる通りで、小売では棚の面積は命と言えるくらい大事です。ゼリー飲料も、まさにこの戦略で伸ばしています。中身はほとんど水で、成分が少し違うだけ。利用する場面やニーズに合わせてパッケージと文言を変えるだけで別の商品になり、棚を占有できるんです。

例2:点字ブロックはなぜ黄色いのか

道を歩いていて、目の見えない人のための点字ブロックに、なぜ黄色という目立つ色が使われているのかが気になったところから始まった例です。ビジネスの話ではないので、そのままケース面接に使えるわけではありませんが、考え方の練習になります。

使う側と作る側から仮説を立て、調べて確かめる

使う側から考える使う本人ではなく、周りの人に気づかせて、ブロックの上に立ち止まらせないため。ただ、それなら黄色でなくてもいいのでは
作る側から考える黄色の染料が余っていた、安定して作れたといった供給の事情。あるいは、最初にできたものの色に揃っただけという歴史的な経緯
調べてみると視覚障害のある人のうち、まったく見えない人は一部で、多くは少し見える弱視の人だった。見えやすい色であること自体に意味があった

使う側と作る側に分ける、使う本人と周りの人に分ける、「視覚障害」を全盲から弱視までのグラデーションで捉える。どれも他のお題に使える気づきです。

公共のインフラには、ほとんどすべてに理由があるそうです。信号機の赤が道路の中央側にあるのも、歩道の木が張り出して見えにくいときでも、一番大事な赤だけは見えるようにするためだと言われています。こうした「なぜ」を楽しめる人が、戦略コンサルに向いていると私たちは考えています。

ステップ3

構造化して伝える

筋のいい仮説だけを発表すればいいわけではありません。「市場がこう、競合がこう、自社がこうなので、こうです」と3Cを並べるような伝え方をすると、面接官から「それだけ?」と言われたり、客数を上げる施策を出したのに「客単価を上げる方向は考えなかったの?」と聞かれたりします。自信のある仮説でも、そこで慌ててしまいます。

原因は、答えを構造化して論理的に説明できていないことです。ロジックツリーなどを使って、構造立てて説明する必要があります。

斉藤(元BCG面接官)

元BCG面接官斉藤

コンサルは、客観的な立場から確からしさを示す仕事です。あり得る方向性を網羅的に出したうえで「AでもBでもなく、Cです」と説明するのが基本なんです。なぜCなのかと同じくらい、AでもBでもないことを説明するのが大事です。

論拠とセットで因数を絞り込む

渋谷スクランブル交差点のスターバックスの売上向上で、「回転数に課題がある」と伝えたいとします。

仮説「回転数が課題」をツリーで示す

  • 売上
    • 客数
      • 席数
      • 稼働率
      • 回転数
      • 営業時間
    • 客単価
  • 売上
    • 客数
      • 席数
      • 稼働率
      • 回転数
      • 営業時間
    • 客単価

発表の型

売上を客数と客単価に分けました。課題は客数にあると考えます。理由は〇〇です。

次に、客数を席数×稼働率×回転数×営業時間に分けました。結論として、回転数が課題だと判断しました。席数・稼働率・営業時間は〇〇なのに対して、回転数は〇〇だからです。

絞り込むときは、「他はこういう理由で違う」と消していくやり方も、「ここが一番の伸びしろだから」と選ぶやり方もあり、どちらでもかまいません。全部を検討したうえで、客単価ではなく客数、客数の中でも回転数を選んだと示せれば、面接官は納得します。

よく使う切り口

分け方は1つではありません。もれなく重なりなく(MECEに)分けるのは最低条件で、そのうえでどの切り口を選ぶかが問われます。選ぶ前に、まず切り口の引き出しを持っておきましょう。Strategistsの「ケース面接の教科書」から、よく使うものを引用します。

切り口分け方の例
顧客の属性男女、年齢、新規と既存
収益の構造客数×客単価、事業別の収益、式による分解
時間時間帯(朝・昼・夜)、曜日(平日・土日)、季節
需要と供給営業時間、キャパシティ、稼働率
購買のファネル認知→興味・関心→比較・検討→購買
対になる言葉外部と内部、量と質
フレームワーク3C、4P など

引き出しの種類は多くても、1問で実際に使う切り口は少なく、いくつかを組み合わせてツリーを作ります。2つの例で見てみます。

例:エニタイムフィットネス全店舗の売上向上

24時間営業のジムで、「筋トレブームでとりあえず入会した人たちが辞めているのでは」という仮説が浮かんだとします。この仮説は、新規会員が入ってこないことより、既存の会員が抜けていくことが課題だという主張なので、新規と既存の切り口が合います。そのうえで抜けもれを確かめると、会員数の話しかしていないので、会員単価を上の段に足します。

仮説「入会した人が辞めている」をツリーに落とす

  • 売上
    • 会員数
      • 新規会員の入会
      • 既存会員の流出
    • 会員単価抜けもれを確かめて足した
  • 売上
    • 会員数
      • 新規会員の入会
      • 既存会員の流出
    • 会員単価抜けもれを確かめて足した

例:ヤマト運輸の売上向上

物流業界の構造的な課題について新聞で読んだことを思い出し、「ドライバー不足が課題では」という仮説が浮かんだとします。ドライバー不足でなぜ売上が下がるのかを言葉にすると、本来運べた荷物が運べず、機会損失が出ている、つまり供給能力の不足です。同じ段には、運ぶ荷物がないという需要の問題も並びます。これだけでは配達の件数の話なので、上の段に1件あたりの単価を足します。さらに供給能力も、ドライバーの数だけでなく、1人が運べる量や稼働日数に分けられます。

仮説「ドライバー不足」をツリーに落とす

  • 売上
    • 配達完了件数
      • 供給能力の不足
        • ドライバーの数
        • 1人が1日に運べる量
        • 稼働日数
      • 需要が少ない
    • 1件あたりの単価
  • 売上
    • 配達完了件数
      • 供給能力の不足
        • ドライバーの数
        • 1人が1日に運べる量
        • 稼働日数
      • 需要が少ない
    • 1件あたりの単価

最初の仮説はドライバーの数だけでした。式で分けると「1人が運べる量」や「稼働日数」にも余地があると分かり、積載率や再配達といった次の仮説につながります。

仮説と構造化は行き来する

この記事では分かりやすくするために「仮説を出してから構造化する」と説明しましたが、内定者の頭の中では、この2つを何度も行き来しています。ヤマト運輸の例のように、構造化する中で気づいていなかった論点に気づき、また仮説を立てる。通勤ラッシュの例も、構造を見直したことで新しい仮説が出てきました。

構造化にはもう1つ利点があります。面接官と議論するときの共通の地図になることです。

斉藤(元BCG面接官)

元BCG面接官斉藤

自分の仮説を面接官に否定されたとき、仮説しか持っていないと、焦って一から考え直すことになります。構造化しておけば「そうではないんですね。では一度戻って、この構造でもう一度課題のレバーを特定しましょうか」と、一歩引いて一緒に議論できる。議論が締まるんです。仮説でスタンスを取りつつ、構造でも示してあげると、議論する相手にとってもとても心地いいと思います。

仮説をすばやく構造化する精度と速さは、経験で決まる部分が大きいです。ケースの練習では、仮説を考えて終わりにせず、必ず構造化して発表するところまでやりきってください。構造化は比較的再現性高く身につく部分なので、説明してフィードバックをもらうことを繰り返せば、着実に磨かれます。

ケース面接の解き方でよくある質問

3Cや4Pのようなフレームワークは使わない方がいいですか
使って構いませんが、並べて終わりにしないことです。この記事では、4Pは前提を固める道具、ロジックツリーは仮説を伝えるための構造化の道具として使っています。枠から入るのではなく、仮説を出してから、それを支える形で枠を使う順番です。
仮説が思いつかないときはどうすればいいですか
多くの場合、前提が曖昧なままです。お題を「渋谷スクランブル交差点のスターバックス」のように具体的に決め直すと、材料が出てきます。それでも出ないときは、5つの格言のどれか一つを当ててみてください。引き出しは才能ではなく数なので、日常で「なぜ」を考える習慣で増やせます。
面接官に仮説を否定されたら、どう立て直せばいいですか
構造化した枠に戻ります。「客数と客単価に分けて、客数の中の回転数に課題があると考えました」と伝えてあれば、否定されたのは回転数の仮説だけです。残りのどこに課題がありそうかを、面接官と一緒にツリーの上で探し直せます。構造化は、そのための足場です。

動画で見る

この記事のもとになった講座の動画です。講師2人の掛け合いで、例題の考え方をより詳しく話しています。

  1. 0:44ケース面接の基礎
  2. 6:14教科書的な解き方と内定者の解き方
  3. 13:37前提を固める
  4. 17:07仮説を出す:5つの格言
  5. 30:38仮説の引き出しを日常で増やす
  6. 39:34構造化して伝える

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まとめ:ケース面接の解き方のコツ

内定者は、お題を具体的に決めて前提を固め、そのお題ならではの仮説を出し、仮説を伝えるために構造化します。仮説の出し方に唯一の正解はありませんが、5つの格言を引き出しとして持ち、日常で考える習慣を続ければ、筋のいい仮説は誰でも出せるようになります。

斉藤(元BCG面接官)

元BCG面接官斉藤

コンサルやケース面接のスキルは、特別な才能ではないと思っています。客観的に、論理的に考えることは、やればやるほど伸びる。正しいやり方で時間をかけて対策すれば、ケース面接は誰でも必ず伸びます。

監修

斉藤(元BCG面接官)

斉藤元BCG面接官・Strategists講師

ボストン コンサルティング グループで面接官としてケース面接を担当。Strategistsでは講師として、本記事のもとになった講座「ケース面接完全攻略」に登壇し、記事の内容を監修。

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本ページは、Strategistsの講座動画「ケース面接完全攻略」(2026年10月公開)をもとに再構成しています。