「グローバルな舞台で、企業の根幹に関わる戦略策定に携わりたい」
「実行までコミットする、真に価値あるコンサルティングを追求したい」
そんな高い志を持つ皆さんにとって、A.T.カーニー(KEARNY)は非常に魅力的な戦略コンサルティングファームの一つでしょう。しかし、その選考、特にケース面接は一筋縄ではいきません。
この記事では、実際にMBB(マッキンゼー、BCG、ベイン)の内定を獲得した筆者が、過去10年にわたるA.T.カーニーのケース面接の出題傾向を徹底的に分析。さらに、カーニーのファームとしての特徴、ケース面接における評価ポイント、そして具体的な過去問(例題)を用いたフェルミ推定とケース面接の解き方をステップバイステップで詳解します。
カーニーのケース面接は、時にオーソドックスなビジネスケースとは異なるアプローチが求められることもあります。本記事を通じて、カーニー特有の傾向を掴み、万全の対策で選考突破を目指しましょう。
それでは、まずA.T.カーニーというファームがどのような特徴を持つのか、その魅力と共に見ていきましょう。
1. A.T.カーニー(KEARNY)とは?ファームとしての特徴と魅力
A.T.カーニーは、1926年に米国シカゴでアンドリュー・トーマス・カーニーによって設立された、世界有数の歴史を持つ経営コンサルティングファームです。マッキンゼーから独立したコンサルタントによって創設されたという経緯を持ち、戦略策定から実行支援まで、幅広いサービスを提供しています。
A.T.カーニーの主な特徴と魅力:
- 「実行」への強いコミットメントと「Tangible Results(目に見える成果)」:
カーニーは、単に戦略を提言するだけでなく、その戦略がクライアントの現場で実際に機能し、「目に見える成果」を生み出すことに強いこだわりを持っています。そのため、オペレーション改善やコスト削減といった、より実行に近い領域でのコンサルティングにも強みを持ち、クライアントと深く、長期的な関係を築くことを重視しています。机上の空論ではない、地に足のついたコンサルティングを志向する人にとっては非常に魅力的な環境です。 - 「One Global Team」としての協調性:
世界40カ国以上にオフィスを展開し、グローバルなネットワークを有していますが、カーニーは特にファーム全体としての「一体感」や「協調性」を大切にする文化があります。オフィスや専門領域を超えた知識・経験の共有が活発で、個々のコンサルタントがグローバルな知見を活用しながら、クライアントにとって最適なソリューションを提供できる体制が整っています。 - 「人間中心」のカルチャーと人材育成:
カーニーは、コンサルタント一人ひとりの成長を重視し、手厚い人材育成制度と協力的なカルチャーで知られています。「ファミリー感がある」「面倒見が良い」といった声が多く聞かれ、若手でも安心して挑戦し、早期から責任ある仕事を任せてもらえる環境があります。また、ダイバーシティ&インクルージョンにも積極的に取り組んでおり、多様なバックグラウンドを持つ人材が活躍しています。 - 幅広い業界・テーマへの対応力:
製造業、消費財・小売、金融、通信・ハイテク、エネルギー・プロセス産業、ヘルスケア、官公庁など、多岐にわたる業界に対してサービスを提供しています。また、戦略、オペレーション、デジタル、組織・人事、サステナビリティなど、企業が抱える様々な経営課題に対応できる専門性を有しています。特に、サプライチェーン改革や調達コスト削減といったオペレーション領域では、伝統的に高い評価を得ています。 - 「尖った人材」を歓迎する風土(日本オフィス特有の可能性も):
ESの設問がユニークであることからも伺えるように、画一的ではない、個性や独自の強みを持つ人材を評価する傾向があると言われています。論理的思考力はもちろんのこと、それ以外の「何か光るもの」を持つ人材が求められるかもしれません。
これらの特徴は、A.T.カーニーのケース面接においても、評価のポイントとして反映される可能性があります。論理的な思考力に加え、実行可能性を意識した現実的な提案、チームで働く上での協調性、そしてあなた自身のユニークな視点や強みを示すことが重要になるでしょう。
2. A.T.カーニー ケース面接の出題傾向分析(過去10年)と評価ポイント
A.T.カーニーのケース面接は、MBB他社と比較していくつかの特徴的な傾向が見られます。過去10年程度の出題傾向を分析すると、以下のようなポイントが浮かび上がってきます。
A.T.カーニー ケース面接の主な出題傾向:
- 「実行」を意識させるお題が多い:
カーニーが「Tangible Results(目に見える成果)」を重視するファームであることから、単に戦略を考えるだけでなく、「どうすればその戦略を実行できるのか?」「実行上の課題は何か?」「どのように成果を測定するのか?」といった、実行可能性や具体的なアクションプランにまで踏み込んだ思考を問われるお題が出やすい傾向にあります。- 例:「〇〇企業の売上向上施策とその実行プランを考えてください」「新規事業のアイデアだけでなく、初期の立ち上げフェーズで最も重要なことは何ですか?」
- オペレーション改善・コスト削減系のテーマも頻出:
伝統的にオペレーション領域に強みを持つため、サプライチェーン改革、調達コスト削減、業務効率化といったテーマが比較的多く見られます。これらのテーマでは、現状のプロセスを深く理解し、具体的なボトルネックを特定し、実現可能な改善策を提示する能力が求められます。- 例:「〇〇工場の生産性を20%向上させるには?」「企業の調達コストを10%削減するための具体的なアプローチは?」
- 公共系・社会課題解決型のテーマも一定数存在:
民間企業だけでなく、官公庁や社会課題をテーマとしたお題も出題されることがあります。今回の例題である「ビニール袋削減」もこのカテゴリーに属します。この場合、多様なステークホルダーの存在や、経済合理性だけではない価値観(公平性、持続可能性など)を考慮した多角的な視点が重要になります。- 例:「地方都市の観光客誘致戦略を考えてください」「日本のフードロスを削減するには?」
- 特定の業界知識がなくても思考力で対応可能なお題が中心:
基本的には、特定の業界に関する深い知識がなくても、その場で提供される情報や一般的なビジネス知識、そして何よりも論理的思考力と仮説構築力で対応できるお題が中心です。ただし、日頃から幅広い業界や社会の動向に関心を持っておくことは有利に働きます。 - フェルミ推定とビジネスケースの組み合わせ:
BCGと同様に、まず市場規模や数値を推定させ、その結果を基に具体的な戦略を考えさせるという流れも一般的です。フェルミ推定の精度だけでなく、その数値をどう解釈し、ビジネス上の示唆に繋げるかが問われます。 - 時に「なぜ?」を深掘りする問いかけ:
あなたの出した結論や仮説に対して、面接官は「なぜそう考えたのか?」「その根拠は?」「他に選択肢はなかったのか?」といった質問を重ね、思考の深さや論理の整合性を確認します。安易な一般論や思いつきでは通用しません。
A.T.カーニー ケース面接の主な評価ポイント:
Strategistsの分析では、A.T.カーニーは特に以下の点を重視して評価していると考えられます。
- 構造的思考力と問題解決能力:
複雑な問題を的確に捉え、本質的な論点を見抜き、論理的に分解・整理し、実現可能な解決策を導き出す基本的なコンサルティングスキル。 - 「実行」への意識と現実感覚:
提案する戦略や施策が、絵に描いた餅ではなく、実際に現場で機能し、成果を生み出すことを意識できているか。オペレーションレベルの課題や実現へのハードルを具体的に想像できるか。 - 結果へのコミットメントと当事者意識:
クライアントの課題を自分事として捉え、「目に見える成果」を出すことに強くコミットする姿勢。困難な状況でも粘り強く解決策を模索するタフさ。 - コミュニケーション能力と協調性:
自分の考えを分かりやすく伝える力はもちろんのこと、面接官との建設的なディスカッションを通じて思考を深められるか。カーニーの「One Global Team」の精神にも通じる、チームで成果を出すための協調性や人間性。 - 知的好奇心と学習意欲:
未知の業界やテーマに対しても積極的に学び、本質を理解しようとする姿勢。新しい知識やスキルを貪欲に吸収し、成長し続けられるポテンシャル。 - (公共系の場合)多角的な視点とバランス感覚:
経済合理性だけでなく、社会的意義、公平性、実現可能性など、多様な観点から物事を評価し、バランスの取れた判断ができるか。
特に、「本当にそれは実行できるのか?」「それで具体的な成果は出るのか?」という視点は、カーニーのケース面接対策において常に念頭に置くべき重要なポイントです。
3. 【フェルミ推定 例題解説】「日本国内で1日に新たに配られるビニール袋の枚数は?(企業間除く)」
ここからは、A.T.カーニーのケース面接で出題される可能性を想定したフェルミ推定の例題を解説します。このフェルミ推定は、次の章で解説するケース問題「日本で使われるビニール袋の数を減らすには?」への導入となる可能性も意識しています。
お題:日本国内において、1日に新たに配られているビニール袋の枚数は何枚でしょうか?(企業間のやり取りは含まないものとする。制限時間:5分)
フェルミ推定の心構え(カーニー対策を意識して):
- 結論(数値)を出すこと: 時間内に必ず最終的な枚数を算出します。
- 構造の明確さと妥当性: どのようなアプローチで、何を要素として分解するのかを明確に示します。特に「企業間のやり取りは含まない」という条件をどう解釈し、構造に反映するかがポイントです。
- 仮定の現実感: 各パラメータに設定する数値は、現実的な範囲で、かつ簡単な根拠と共に説明できるようにします。
- ディスカッションへの意識: 面接官からの深掘り(例:「その数値の根拠は?」「他にビニール袋が使われる場面は?」)を想定します。
ステップ1:前提確認とアプローチ設定(思考時間:〜30秒)
まず、お題の定義とスコープを明確にします。
- 「ビニール袋」の定義:
- 主に小売店などで商品購入時に提供される持ち運び用のプラスチック製袋を指す。
- レジ袋有料化後の状況を考慮する。
- ゴミ袋や、商品パッケージとしてのビニール袋(例:パンの個包装)は除く。
- 素材(例:バイオマスプラスチック配合)や厚みは問わない。
- 「1日に新たに配られている」の定義:
- 消費者が最終的に受け取る枚数。
- 「企業間のやり取りは含まない」の解釈:
- BtoCの場面で消費者に渡されるものに限定。BtoBでの部品輸送用などは除外。
- 「日本国内」:
- 日本全国。
- アプローチの選択:
- 需要ベース(消費者起点):
- 人口 × 1人あたり1日の買い物回数 × 買い物1回あたりのビニール袋取得率 × 1回あたりの取得枚数
- このアプローチが最も直接的で、仮定を置きやすそうです。
- 供給ベース(小売店起点):
- 小売店舗数 × 1店舗あたり1日のレジ通過客数 × ビニール袋提供率 × 1回あたり提供枚数
- 店舗数や店舗ごとの客数データが不明確なため、難易度が高い。
- 需要ベース(消費者起点):
面接官への確認(例):
「ここでいうビニール袋とは、主に小売店で商品購入時に消費者に渡される持ち運び用のプラスチック製袋と理解し、レジ袋有料化後の状況を前提とします。企業間取引での使用は除外するとのことですので、日本国内の個人消費者が1日に受け取る総枚数を推定します。アプローチとしては、日本の人口を起点に、1人あたりの買い物回数と、その際のビニール袋取得率・枚数を掛け合わせる形で考えたいと思います。」
ステップ2:分解と構造化(思考時間:〜1分)
需要ベースのアプローチを、計算可能な要素に分解・構造化します。
1日あたり配布ビニール袋枚数 = ①対象人口 × ②1人あたり1日の平均買い物回数 × ③買い物1回あたりのビニール袋取得率 × ④1回の買い物あたりの平均取得枚数
ここで、各要素をさらに具体的にします。
- ① 対象人口: 日本の総人口。
- ② 1人あたり1日の平均買い物回数:
- 毎日買い物する人もいれば、週に数回の人もいる。主に食料品や日用品の購入を想定。
- ③ 買い物1回あたりのビニール袋取得率:
- レジ袋有料化により、マイバッグ持参が増え、取得率は低下している。
- 店舗業態(スーパー、コンビニ、その他小売店)によっても異なる可能性。
- 商品の種類や量によっても変わる(少量なら不要、嵩張るなら必要など)。
- ④ 1回の買い物あたりの平均取得枚数:
- 基本的には1枚だが、複数枚必要な場合も稀にある。
ステップ3:数値設定と計算(思考時間:〜2分30秒)
各要素に具体的な数値を設定し、計算します。
- ① 対象人口: 約1.2億人
- ② 1人あたり1日の平均買い物回数:
- 毎日買い物をする人が3割、2日に1回が4割、週に1回が3割と仮定。
- (0.3人 × 1回/日) + (0.4人 × 0.5回/日) + (0.3人 × 1/7回/日)
- ≒ 0.3 + 0.2 + 0.04 ≒ 0.54回/人・日
- ざっくりと、2日に1回(0.5回/人・日)程度と仮定しても良い。(時間優先)
- ③ 買い物1回あたりのビニール袋取得率:
- 有料化後、大幅に低下。コンビニではまだ取得する人が多いが、スーパーでは少ない印象。
- 全体として、マイバッグ持参や「袋不要」が増え、20%(5回に1回程度)と仮定。
- (内訳例:コンビニ取得率50%、スーパー取得率10%、その他小売店取得率20%とし、各チャネル利用頻度で加重平均するイメージだが、時間がないので直感で設定)
- ④ 1回の買い物あたりの平均取得枚数:
- 基本は1枚。複数枚もらうケースは少ないとし、平均1枚/回と仮定。
計算実行:
1日あたり配布ビニール袋枚数 = 1.2億人 × 0.5回/人・日 × 20% × 1枚/回
= 120,000,000 × 0.5 × 0.2 × 1
= 120,000,000 × 0.1
= 1,200万枚/日
ステップ4:リアリティチェックと結論(思考時間:〜1分)
算出した「1,200万枚/日」という数値の妥当性を検証します。
- 金額ベースに換算:
- 有料化後はビニール袋1枚当たり平均3円だと仮定すると、1,200万 × 3 × 365 = 131.4億。つまり年間約131億円分のビニール袋が配られていることになる。一般的な消費財の一部分と考えると、大きくズレている感覚はなさそうか。
- 1人あたりに換算:
- 1,200万枚 ÷ 1.2億人 = 0.1枚/人・日。つまり、1人あたり10日に1枚程度ビニール袋をもらっている計算。これも感覚的に大きくはズレていないか。
面接官への報告(例):
「日本国内で1日に新たに配られているビニール袋の枚数は、約1,200万枚と推定しました。
算出の根拠としましては、まず日本の総人口を1.2億人と設定いたしました。
次に、1人あたりの1日の平均買い物回数を、様々な頻度の方を考慮し、平均して0.5回と仮定しました。
レジ袋有料化後の状況を踏まえ、買い物1回あたりのビニール袋取得率を20%(5回に1回程度)、そして1回の買い物での平均取得枚数を1枚と置きました。
これらを掛け合わせ、1.2億人 × 0.5回 × 20% × 1枚 で、1日に約1,200万枚のビニール袋が配られていると推定いたしました。」
ディスカッションのポイント:
- 「企業間のやり取りは含まない」という条件をどう解釈したか、その理由。
- レジ袋有料化の影響をどのパラメータにどのように反映させたか。
- 買い物回数や取得率の仮定の根拠(年齢層別、店舗業態別などの深掘りも可能)。
- この推定値を次のケース問題にどう繋げるか(例:この枚数を減らすことのインパクトは?など)。
カーニーの面接では、単に数値を出すだけでなく、その数値の背景にある社会情勢や人々の行動様式の変化をどれだけ考慮できているかも問われる可能性があります。
4. 【ケース面接 例題解説】「日本で使われるビニール袋の数を減らすには?」
前章のフェルミ推定「日本国内で1日に新たに配られるビニール袋の枚数は?」の結果(約1,200万枚/日)を踏まえ、今度はそのビニール袋の使用量を削減するための施策を考えるビジネスケースです。A.T.カーニーで出題される可能性のある公共系・社会課題解決型のテーマと言えます。
お題:日本で使われるビニール袋の数を減らすには、どのような施策が考えられますか?(制限時間:思考5分、ディスカッション15-20分程度を想定)
ケース面接の心構え(カーニー対策、特に公共系テーマを意識して):
- 課題の再定義と目標設定: 「ビニール袋の数を減らす」とは具体的にどういう状態を目指すのか?(例:〇年で△%削減、有料袋の販売量削減、無料配布の撲滅など)。誰が主体となって取り組むのか?(政府、自治体、業界団体、個別企業、消費者など)。
- 多角的な視点: 環境問題としての側面だけでなく、経済への影響(小売店のコスト、消費者の利便性)、社会的な公平性(例:マイバッグを持てない人への配慮)なども考慮する。
- 実行可能性とインパクト: 提案する施策が、現実的に実行可能か、そして実際にビニール袋削減にどれだけ貢献するのかを意識する。カーニーの「Tangible Results」の精神。
- 構造的アプローチ: 問題の構造を明らかにし、打ち手を網羅的かつ体系的に検討する。
ステップ1:前提設定、問題の背景の言語化(思考時間:〜1分)
まず、問題のスコープと目標を明確にします。
- 「日本で使われるビニール袋」の範囲:
- フェルミ推定と同様、主に小売店で消費者に渡される持ち運び用のプラスチック製袋とする。
- 企業間のやり取りは除外。
- ゴミ袋など、最初から別の用途を目的としたものは除く。
- 「数を減らす」の目標レベル:
- 具体的な数値目標は設定されていないため、例えば「今後3年間で、現在1日あたり約1,200万枚配布されているビニール袋を、30%削減し、840万枚にすることを目指す」など、仮の目標を設定する。
- 施策の主体:
- 政府(国、自治体)、業界団体、個別企業(小売、メーカー)、消費者など、多様な主体が考えられるが、今回は「政府(環境省や経済産業省など)が主導して推進できる施策」を中心に考える(面接官に確認・提案しても良い)。
- 問題の背景(なぜ減らす必要があるのか):
- 海洋プラスチックごみ問題、地球温暖化対策(石油資源の使用量削減)、生態系への影響、リサイクルコスト、景観問題など。これらを意識することで、施策の説得力が増す。
面接官への確認・宣言(例):
「本件は、日本国内で主に小売業から個人消費者に配布されるビニール袋の枚数を削減するための施策を考える、という理解でよろしいでしょうか。目標としては、例えば今後3年間で、現在1日あたり約1,200万枚と推定される配布枚数を30%削減することを仮置きしたいと思います。施策の主体としては、政府が主導できるものを中心に検討します。背景には、海洋プラスチック問題や地球温暖化といった環境問題への対応があると考えます。」
ステップ2:仮説創出のための現状分析(業界・社会構造、ステークホルダー分析)(思考時間:〜1分30秒)
なぜビニール袋が使われるのか、現状の削減努力と限界は何か、関係者は誰か、などを分析し、施策の方向性に関する仮説を立てます。
- ビニール袋が使われる要因(現状の構造):
- 消費者側:
- 利便性(軽い、丈夫、無料または安価で手に入る)。
- マイバッグ持参の習慣化が進んでいない(忘れる、面倒、衛生面懸念)。
- 有料化後も、少額なら気にせず購入する層がいる。
- 濡れたもの、匂いのあるものを分けたいニーズ。
- 小売店側:
- 顧客サービスの一環(特に有料化以前)。
- レジ効率(袋詰め)。
- 衛生管理(商品を直接触れさせない)。
- 万引き防止(袋に入れることで購入済みとわかる)。
- 有料袋の販売が新たな収益源になっている側面も。
- 消費者側:
- 現状の削減施策とその効果・限界:
- レジ袋有料化: 一定の効果はあったが、削減は頭打ちの可能性。価格設定が低い(数円程度)ため、抑止効果が限定的。
- マイバッグ推進: 啓発活動は行われているが、持参率はまだ向上余地あり。
- バイオマスプラスチック配合袋: 環境負荷低減にはなるが、「数」の削減には直接繋がらない。
- ステークホルダー分析:
- 消費者: 利便性と環境意識の間で揺れる。負担増には敏感。
- 小売店: コスト、オペレーション効率、顧客満足度、法的規制への対応。
- ビニール袋メーカー: 事業への直接的な影響。代替素材開発の動き。
- 政府・自治体: 環境目標達成、国民・事業者への啓発と規制。
- 環境団体: より強力な削減策を求める。
分析からの仮説(施策の方向性):
現状の有料化だけでは限界があり、「消費者の行動変容をさらに促す」ことと、「小売店側のインセンティブ設計や代替手段提供」が重要ではないか。また、「そもそもビニール袋を必要としない仕組み」も検討すべきではないか。
ステップ3:論点の構造化、◎⚪︎△×でのイシュー絞り込み(論拠含む)(思考時間:〜1分30秒)
ビニール袋削減の施策を、影響を与える対象やアプローチ方法で構造化し、優先的に検討すべき論点を絞り込みます。
ビニール袋削減施策の構造(例):
- 消費者へのアプローチ(行動変容促進)
- 経済的インセンティブ (◎):
- レジ袋価格のさらなる引き上げ(例:1枚30円など、明確な負担感)。
- マイバッグ持参者へのポイント付与や割引強化。
- 論拠: 現在の数円程度の有料化では効果が限定的。より直接的に行動に影響を与える価格設定やインセンティブが有効。
- 意識啓発・情報提供 (⚪︎):
- 環境問題への理解促進キャンペーン。
- マイバッグ利用のメリット(節約効果、環境貢献など)の可視化。
- 論拠: 長期的には重要だが、即効性は低い。経済的インセンティブとセットで効果を発揮。
- 利便性向上 (△):
- マイバッグの貸し出しサービス、シェアリングエコノミー。
- 論拠: アイデアとしては面白いが、運用コストや衛生面での課題が大きい。
- 経済的インセンティブ (◎):
- 小売店へのアプローチ
- 規制強化・義務化 (⚪︎):
- 特定の業種や規模の店舗でのビニール袋提供禁止(海外事例あり)。
- より環境負荷の低い代替素材への切り替え義務化(コスト増の課題あり)。
- 論拠: 強制力があり効果は高いが、小売店の負担増や消費者の反発も予想される。段階的導入や支援策とのセットが必要。
- 代替手段の提供支援 (△):
- 紙袋やリユーザブルバッグへの切り替え補助金。
- 量り売りシステムの導入支援。
- 論拠: 小売店の自主的な取り組みを促すが、効果は限定的か。
- 規制強化・義務化 (⚪︎):
- 製品・仕組み自体の変革
- そもそも袋が不要な商品・包装の推進 (△):
- 商品の個包装削減、バラ売り推奨。
- 持ち手付きパッケージの開発。
- 論拠: 長期的視点では重要だが、商品メーカー側の協力が不可欠で、政府主導だけでは限界。
- リサイクルシステムの高度化 (×→論点外):
- これは「使用量を減らす」とは直接結びつかないため、今回のスコープからは外す。ただし、広義の環境問題解決には重要。
- そもそも袋が不要な商品・包装の推進 (△):
【絞り込み結果】
1〜3年という期間で政府が主導して効果を出すには、①消費者への経済的インセンティブ強化(有料袋の大幅値上げ、マイバッグインセンティブ強化)を最重要イシュー(◎)とし、次いで②小売店への段階的な規制強化(例:特定業態での提供禁止、代替素材への移行促進)と③国民的な意識啓発・情報提供の強化を重要イシュー(⚪︎)として取り組むべきと判断する。
ステップ4:打ち手の考案(公共系ケース特有の視点)(思考時間:〜1分)
絞り込んだ論点に対する具体的な施策を考案します。公共系ケースでは、公平性、合意形成、副作用への配慮などが特に重要になります。
- 消費者への経済的インセンティブ強化(◎):
- 施策1:レジ袋一律価格の大幅引き上げ: 現状数円のレジ袋価格を、例えば1枚30円~50円程度に引き上げる。これにより、消費者の「無料ならもらう」「数円なら気にしない」という意識を変え、マイバッグ持参を強力に促す。
- 実行上の考慮点: 低所得者層への影響、小売店での価格設定の自由度との兼ね合い、国民の理解を得るための丁寧な説明と段階的導入。
- 施策2:マイバッグ持参インセンティブの全国的な制度化・強化: スーパー等で実施されているマイバッグ持参者へのポイント付与や数円引きを、より多くの小売店で、より魅力的な水準(例:購入金額の数%割引など)で実施できるよう、政府がガイドライン策定や一部補助を行う。
- 実行上の考慮点: 小売店のシステム改修コスト、不正利用防止策。
- 施策1:レジ袋一律価格の大幅引き上げ: 現状数円のレジ袋価格を、例えば1枚30円~50円程度に引き上げる。これにより、消費者の「無料ならもらう」「数円なら気にしない」という意識を変え、マイバッグ持参を強力に促す。
- 小売店への段階的な規制強化(⚪︎):
- 施策3:特定業態・規模の店舗におけるビニール袋提供の原則禁止: 例えば、大手コンビニエンスストアやスーパーマーケットチェーンに対し、数年後の目標を設定し、ビニール袋の提供を原則禁止(例外措置は設ける)。代替として紙袋やリユーザブルバッグの有料提供を促す。
- 実行上の考慮点: 中小零細小売店への配慮、代替品の安定供給、業界団体との十分な協議。
- 施策4:環境配慮型素材への切り替えロードマップ策定と支援: バイオマスプラスチック比率の高い袋や、よりリサイクルしやすい素材への切り替え目標を設定し、技術開発支援や導入補助を行う。
- 実行上の考慮点: コスト上昇分の価格転嫁の問題、素材の安定供給。
- 施策3:特定業態・規模の店舗におけるビニール袋提供の原則禁止: 例えば、大手コンビニエンスストアやスーパーマーケットチェーンに対し、数年後の目標を設定し、ビニール袋の提供を原則禁止(例外措置は設ける)。代替として紙袋やリユーザブルバッグの有料提供を促す。
- 国民的な意識啓発・情報提供の強化(⚪︎):
- 施策5:効果的な広報キャンペーンの実施: ビニール袋削減の環境へのポジティブな影響、マイバッグ利用のメリット、代替品の選択肢などを、分かりやすく魅力的な形で、多様なメディアを通じて発信する。成功事例の共有や、国民参加型のイベント開催。
- 実行上の考慮点: ターゲット層に合わせたメッセージング、継続的な情報発信。
- 施策5:効果的な広報キャンペーンの実施: ビニール袋削減の環境へのポジティブな影響、マイバッグ利用のメリット、代替品の選択肢などを、分かりやすく魅力的な形で、多様なメディアを通じて発信する。成功事例の共有や、国民参加型のイベント開催。
ステップ5:学びの抽象化、今回の問題を通じて伝えたいこと
- 公共系ケースのアプローチ: 社会課題解決型のケースでは、単一のKPI(売上など)だけでなく、環境負荷、経済合理性、社会的公平性、実行可能性といった多面的な評価軸で施策を検討する必要がある。
- ステークホルダーの複雑性: 消費者、事業者、政府、NPOなど、多くの関係者が存在し、それぞれの利害や動機が異なるため、合意形成やインセンティブ設計が重要になる。
- 行動経済学的な視点: 人々の行動は必ずしも合理的ではないため、単なる情報提供だけでなく、ナッジ(そっと後押しする)やインセンティブ設計によって、望ましい行動を促す工夫が有効。
- 規制と自主的取り組みのバランス: 規制は効果が高い反面、反発も招きやすいため、事業者の自主的な取り組みを促す支援策や、段階的な導入、十分な周知期間といった配慮が求められる。
ステップ6:差がつくポイント、元面接官からのコメント
- 「なぜ減らすのか」の腹落ち感: 環境問題への意識の高さや、課題の重要性に対する自分なりの理解を示せると、議論に深みが増す。
- フェルミ推定との連動性: 前段のフェルミ推定で算出した「1日に配られるビニール袋の枚数」を念頭に置き、提案する施策がどの程度の削減インパクトをもたらし得るのか、概算でも良いので意識できると良い。
- 施策の多面的な評価: 提案する施策のメリットだけでなく、デメリット、実行上のハードル、考えられる副作用、それらへの対策まで言及できると、思考の深さを示すことができる。
- カーニーらしさ(実行可能性と成果への意識): 「それは本当にできるのか?」「具体的にどうやって進めるのか?」「それによって本当に袋の数は減るのか?」といった、実行と成果にこだわるカーニーのスタンスに合致する提案か。
- ディスカッションでの柔軟性: 面接官から「その施策は〇〇という問題があるのでは?」といった指摘があった場合に、固執せずに受け止め、建設的に議論を発展させられるか。公共系のテーマは特に多様な意見が出やすいため、柔軟な対応力が求められる。
以上が、A.T.カーニーのケース面接を想定した「ビニール袋」に関するフェルミ推定とビジネスケースの解説です。
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我々のマンツーマン指導プログラムについて
サービス開始の2022年以来、少数精鋭ではありながら、
累計で受講生の戦コン内定率が約43% (新卒約45%/既卒約40%)
(通常、戦コン志望者のうち内定を取れるのは数%程度とされます)
という驚異的な内定者輩出実績を誇る我々Strategistsが
多数の受講生の指導や教材制作を経て蓄積・言語化してきたオリジナルのノウハウを基に、本番での評価ポイントを熟知したMBB面接官経験者の視点も組み込みながら、最強のケース対策プログラムを制作しました。
我々のプログラムの最大の特長は、
・ケース面接初心者や苦手意識のある方であっても
・再現性高く、最短距離で、最高峰(内定レベル)のケース力
を習得することができる点です。
実は我々のお客様の63%は入会時点で
「一才対策はやってない」or「市販の書籍を読んだ程度」
の「初心者」ないし「初級」のお客様です。
再現性高く、最短距離で、内定を取れる理由
最高のケース面接対策プログラムの設計を始めたとき、
我々のチームが最初に考えたのが
「理想的な上達プロセス」についてでした。
スポーツでも勉強でも、何か新しいことを始めるとき
「最短距離で最高峰を目指そう!」と思ったら
どういうやり方をするのが正解なのだろうか?
それについて考えるところから始まりました。
結論、我々が辿り着いた答えは
①学習する:プロから正しく学ぶ
②練習する:繰り返し練習し学んだことを自分の体に染み付かせる
③実践する:実践で到達度や課題を明確化する
→①②に戻る
というサイクルを回すことが
「理想的な上達プロセス」なのではないか?ということでした。
そこで、この「理想的な上達プロセス」に沿う形で
さまざまな教材・トレーニングメニューを綿密に設計・用意し
「内定レベルのケース面接」を最短距離で習得できるカリキュラムが完成しました。
プログラムの全体像はこちらです。
①正しく学ぶ
Strategistsのオリジナル教材、教科書・動画講座を使って
必要な思考法や知識を体系的にインプットしていただきます。
②反復練習で定着:課題ケース演習
厳選した良問を、自主課題としてメンターが指定。
時間制限を設けず熟考する形式で自主演習し、
さらに専用フォームに筆記ケース形式でアウトプットしていただきます。
教科書や動画講座で学んだ思考法や知識を思い返しながら
実際の過去問を題材に試行してみる。
あなたの思考力が”変わる・鍛えられる”のが
このトレーニングの役割です。

③実践&現状把握:模擬ケース面接
専属メンターと模擬面接を実施。
詳細なフィードバックをもらうことで
現状を把握し、弱点・課題を発見できるのはもちろん
内定レベルの解答例や思考のポイントなど
1問を題材に「次に活かせる」学びを詳しく解説します。

メンタリングの質へのこだわり
皆さんは『メンタリングの質』というものについて考えたことはありますか?我々は『問題を解き→フィードバックをもらい→模範解答を見る』というプロセスを経ての成長幅こそが『メンタリングの質』だと考えています。
『メンタリングの質』はメンターの質はもちろん、扱う問題と模範解答の質によって決まると考えており、我々のサービスでは厳選された問題からしか出題を行いません。メンタリングでの使用を構想してから実際にお客様にお出しする「デビュー」までに数ヶ月かかることも多いです。
我々はケース対策における「良問」を
・得られる学びが深くて多い
・抽象化して次に活かせる普遍性がある
・これまでのお題とも次回以降のお題とも被らない新たな学びがある
と定義しています。各問題が単に「マッキンゼー対策」「公共系」のような表面的なジャンル分けにとどまらず、「BSとPLの構造理解」「”実現可能性とインパクト”の落とし穴」「サブスク事業のキードライバー」など裏テーマが設定してあります。
ケース対策は量よりも圧倒的に質です。
質の高いメンター×体系的な基礎インプット×良問での演習で確実に内定をGETするなら我々にお任せください。

復習にご活用いただけます
※現時点では、扱う問題によって資料が無い場合もございます。
初回体験を申し込む
ここまで読んでいただき、マンツーマン指導に興味を持っていただいた方は、まず初回メンタリングをお受けください。無理な勧誘等は一切ございません。お気軽に申し込みください。
模擬面接+FBはもちろん、参加特典としてMBB過去問を題材に
『再現性高くライバルに差をつけるアウトプットを出す方法』
を徹底解説したPDF資料をプレゼント!
単なる”模範解答例”ではなく、問題のポイントや次に活かせる学びをまとめています。
我々の初回メンタリングはありがちなサービス勧誘・営業の場ではなく
本プログラムの 『0講目』の扱いですから、
「これがStrategistsのクオリティか」とご実感いただける機会になることをお約束します。

