【限定公開】ケース面接の教科書|MBB面接官監修|内定者を量産したノウハウを大公開|初心者→内定確実レベルまで
Chapter0:本書の概要と位置づけ
本書は、ケース面接対策を始めたばかりの皆様に向けて、ケース面接に関する一般的な知識を身につけていただくことはもちろん、それ以上に、「ある程度の流れはわかったけれど、実際どう考えたら良いの?どうしたら合格できるの?」という実践的な悩みを解決するために執筆しました。
本書では、豊富な具体例とともに、優秀な内定者が「どのように思考しているか」を、実際の流れを追体験しながら学んでいただき、今後の実践演習に生かしていただきたいと考えています。
また、本書は定期的なアップデートを予定しております。現在鋭意執筆中ですので、お楽しみに!
Chapter1:ケース面接とは何か?
ケース面接は、主に以下の3パターンに分類されます。
- 「フェルミ推定」+「ケース問題」の2問構成
- 「フェルミ推定」のみ
- 「ケース問題」のみ
本書において「ケース面接」と記載している場合は、狭義の「ケース面接」、すなわち「ケース問題」に関する部分を指すとお考えください。フェルミ推定については、別途『フェルミ推定の教科書』にて詳細に解説しておりますので、そちらをご参照ください。
「ケース面接」では、代表的な課題解決型(ビジネスケースや、社会課題の解決をテーマにした公共系ケースが主)が全体の約8割を占めていますが、その他にもさまざまなバリエーションが存在します。ただし、どのような出題形式であっても、面接官が見ているポイントや、採用したい人物像は共通しているため、形式の違いに惑わされる必要はありません。
では、具体的にどのような問題が出題されるのかを見ていきましょう。
ex1)ビジネスケース
- エニタイムフィットネスの売上を向上させるには?
- ビジネススーツシェア1位企業の成長戦略を立案せよ
- 東京タワーの売上を向上させるには?
ex2)公共系ケース
- 空き家問題を改善するには?
- 交通渋滞を改善するには?
- 花粉症問題を解決するには?
ex3)その他特殊系ケース
- 定義系
- ハマるとは何か?
- 論点設計系
- 〇〇社は新規事業として事業Aをするべきか?
- 発展系
- 〇〇の10年後の姿は?
これらさまざまな問題に共通して見られている能力は、主に以下の2つです。
① 思考力
② 伝える力
これらの力を、ケース面接における基本動作を通じて面接官に示すことが求められます。詳細は次章で解説します。
Chapter2:ケース面接に合格するには?
この問いに対するショートアンサーは、Chapter1で述べた通り、「ケース面接の基本動作」を通じて①思考力 ②伝える力を面接官に示すことが、合格への鍵となります。この章では、それぞれの要素について大まかに理解できる構成となっています。
本章は以下の構成で進みます。

2-1:ケース面接の基本動作とは何か?
ケース面接の基本動作とは、面接が進行するプロセス、そして各プロセスで行うべき動作のことを指します。これを適切に実行することが、ケース面接という舞台において評価されるための第一歩です。これができていなければ、そもそも評価対象にすらなりません。
初心者のうちから正しい動作を学ぶことで、後から余計なアンラーニングをせずに済むため、非常に重要です。
基本的なプロセスは以下の通りです:
- 出題・質疑(1〜2分)
- 思考(0〜5分)
- デリバリー(0〜3分)
- ディスカッション(15〜30分)
想像よりもシンプルな流れで進行することがわかるかと思います。
出題・質疑(1〜2分)
面接官に対して質問を行い、思考の材料を集めるフェーズです。「質問することは悪いこと」と思い込み、遠慮してしまう方も少なくありませんが、質問はむしろ積極的に行うべきです。質問せずに不明点が多いまま思考に入るのは、貴重な思考時間を無駄にすることと同義です。
思考(0〜5分)
ここでは、問いに対するファーストアウトプットを構築します。この時間の使い方が非常に重要です。
理想的な思考時間の配分は以下のようになります:
- 仮説創出(思考時間の60%)
- 前提の明確化
- 議論対象の分析 - 構造化(思考時間の40%)
- 切り口の明確化
- 根拠づけ、絞り込み
ここで「おや?」と思われた方も多いでしょう。「いきなり仮説を考えるの?」と。
実はこれが非常に重要なポイントです。上級者になるほど、「因数分解や論点の絞り込みを経て仮説を導き出す」のではなく、「お題と前提から仮説を立て、そこに後付けでロジックを構築していく」というスタイルを取る傾向があります。
仮説の粒度には幅がありますが、代表的なスタイルは以下の2つです:
- トップダウン型:大まかな方向性を定めてから構造化する
- ボトムアップ型:施策に直結するような仮説を先に立ててから構造化する
これまでの指導経験において、内定を得る「ケース強者」は例外なく、仮説先行型の思考スタイルを採っていました。
本書を通じて、皆様にもこの思考スタイルに慣れ、身につけていただきたいと考えています。
※ファームによっては、思考時間が設けられていない場合(ノータイム)もありますが、そのような状況でも、思考力と伝える力が備わっていれば十分に対応可能です。
デリバリー(0〜3分)
自身の考えを面接官に伝えるフェーズです。わかりやすく、簡潔に伝えることが重要です。冗長な説明は、聞き手の集中力を奪い、肝心な部分が伝わらなくなります。
ただし、構造化されていればある程度の長さは許容されます。大切なのは「短さ」ではなく、「わかりやすさ」です。
ここで重要なのが、「考える順番」と「話す順番」は異なるということ。初心者の方にありがちなのが、考えた順番にそのまま話してしまうことです。これでは論理が飛び散り、面接官に伝わりにくくなります。
デリバリーの目的は、「論理的かつわかりやすく伝えること」であり、「考えたことをすべて伝えること」ではありません。
ディスカッション(15〜30分)
面接官と議論を交わし、より良いアウトプットを導くフェーズです。ファーストアウトプットの質が評価の大部分を占めると思われがちですが、実際はディスカッションこそが評価の本丸です。
つまり、ファーストアウトプットで多少ミスをしても、ディスカッションで十分に挽回可能なのです。

2-2:身につけるべき力は何か、それをどのように身につけるか?
繰り返しになりますが、ケース面接で求められる力は、①思考力 と ②伝える力 の2つです。
ここでは、それぞれの力をもう少しブレークダウンして解説していきます。
【全体構造】
思考力
- 思考法
- 仮説思考
- 論点思考 - 知識
- ビジネス知識・経営知識など
伝える力
- 人間面
- チャーム
- マチュアさ - 議論面
- スタンス
- ドライブ
◆ 思考力
思考力とは、正しい思考法を基盤に、知識と組み合わせて、より良いアウトプットを導く力を指します。ケース面接における思考力は、大きく以下の二つの要素から構成されています
- 思考法(仮説思考・論点思考)
- 知識(ビジネス知識・経営知識など)
● 思考法
思考法とは、問いに対して仮説を立て、構造的に整理しながら答えを導く思考スタイルです。ここでは、ケース面接で特に重要とされる「仮説思考」と「論点思考」について解説します。
※注意点
これらの思考法についての詳しい解説を読んでも、ケース面接で使える粒度まで落とし込むのは非常に難しいです。
私たちは、ロジカルシンキングを座学で詰め込むのではなく、ケース面接を通した日々の実践の中でこれら思考法を扱う力を醸成し、理解を深めていくべきだというスタンスをとっています。本書では、実戦で活かせる「本質」に絞って記述し、他の部分の解説は名著に譲ります。
■ 仮説思考
仮説思考とは、情報が不十分な段階から「仮の答え」を立てて、思考を前に進めていくスタイルです。
仮説とは、「今ある情報をもとに導き出した仮の答え」のこと。ケース面接的に言うと、「きっとここが問題なんだろう」「ここを改善したら売上上がるんじゃない?」というのが仮説になります。
仮説を持つ最大の意義は、思考の収束点をつくることです。
仮説を持たずに考えると、情報に振り回され、
思考が発散してしまい、問題の本質にたどり着けません。
「とりあえず仮説を立てる」ことによって、
- 思考の焦点が定まる
- 次に取るべきアクションが明確になる
- アウトプット全体の納得感が生まれる
というメリットがあります。仮説が外れることは問題ではありません。
仮説には、以下のような三つの層があります
- 切り口仮説:問題をどの構造・観点で整理するか
- 課題仮説:どこにアップサイドやボトルネックがありそうか
- 施策仮説:課題をどう解決すべきか
これらを順番に、または行き来しながら練っていくのが仮説思考の基本です。
仮説思考を身につけることで、
- 納得感あるストーリーライン
- 精度の高い切り口設定
が可能になります。
■ 論点思考
論点思考とは、「仮説をもとに、議論すべき内容(論点)を構造的に整理する」ための思考法です。
答えにたどり着くためには、「この観点を掘れば答えに近づく」という重要論点を立てる必要があります。
論点とは、「相手と議論すべき観点・ポイント」です。
仮説をもとに論点を切り分けるというのはどういうことかを、以下の具体例で皆さんに実感していただきたいと思っています。
【具体例①:弁当屋チェーンの売上向上】
- 課題仮説:「単価向上が売上向上の鍵ではないか」
- ⇒ 売上を「客数」「単価」に分解して検討
- 別仮説:「市場全体の縮小により新規事業展開が必要ではないか」
- ⇒ 売上を「既存事業」「新規事業」に分けて検討
【具体例②:医師不足の課題を解決するには?】
- 仮説:「都市部と地域で差があるのでは?」
- ⇒「都市」「地域」に分解して検討
- 別仮説:「診療科毎にも差があるのでは?」
- ⇒「どの科が不足しているのか」を考える
このように、仮説によって、その仮説を切り出すための論点構造が変わることがわかります。
● トップダウンとボトムアップ
仮説思考・論点思考を進めるうえで大切なもう一つの概念が「トップダウン型/ボトムアップ型」の使い分けです。
トップダウン型
切り口仮説(方向性レベル)を立て、そこから段階的に掘り下げていくスタイルです。
【例③:地方ショッピングモールの活性化】
- 切り口仮説:「売上停滞の原因は、来館者数低迷にありそう。ということは、売上を来館者数と客単価に分解して、来館者数を選択すればよさそうだな」
- 課題仮説:「来館者数の低迷の原因は、競合モールの増加による人流の減少ではないか」「競合に比べてターゲットへの訴求が弱いのではないか」
- 施策仮説:「ターゲットに合わせたイベントや店舗誘致」
このように、大枠を置いてから、段階的に細かく掘っていくのがトップダウン型です。
(例はあくまでイメージです。詳しい仮説の創出法などはChapter3で深堀ります。)
ボトムアップ型
具体的な課題仮説・施策仮説を最初に持ち、そこから構造を整理していくスタイルです。
【例④:スポーツジムの売上向上】
- 課題仮説:「初心者は入会にハードルがあり、取り切れていないのではないか」
- 切り口仮説:「初心者が取り切れていない」という仮説を切り出すため、新規入会者を初心者と経験者に分けてアプローチすればよさそう」、さらにこれを切り出すため、「客数を新規入会者と既存会員に分ければよさそう」、ということは「売上は客数と単価にわければよさそう」
- 施策仮説:「初心者を取りきるには、経験者の友達と一緒に体験できるようにすればよいのではないか」
切り口を考える部分で、仮説を切り出すため、下からの構造化を行うイメージです。
状況や自分の知識量に応じて、両アプローチを柔軟に使い分けることが重要です。
◆ 知識
思考力を支えるもう一つの要素が「知識」です。ここでいう知識とは、仮説構築・論点設定の材料となる引き出しのことです。
ケース面接で必要なのは、高度な理論や専門知識ではなく、シンプルで応用可能なビジネス知識です。
● 知識の鍛え方
- ケース演習で出た知識を抽象化してストックする
- 演習後、実際の業界事例や施策を調べる
- シンプルなビジネスモデルをまとめた本を読む
【例⑤:ホテルの売上向上】
ホテルの売上向上というケースを練習し、稼働率が重要ということがわかったとします。
それを「ホテルでは稼働率が重要」で終わらせるのではなく、「なぜホテルでは稼働率が重要なのか」と考えましょう。
この理由は、箱型のビジネスであり、設備、空間、キャパシティなどの「固定リソース」を持っているため、それをどれだけ使い切るかが大切だからですね。これを抽象化してストックします。
この視点を応用すれば、たとえば「新幹線の売上向上」でも、「席=固定リソース」として稼働率を仮説に据えることができます。単なる暗記ではなく、なぜそうなのか?を考え、応用できる形にすることが肝要です。
ただし注意すべきは、知識を思考停止で当てはめてしまうことの危険性です。
【例⑥:高級ホテル】
高級ホテルの売上向上というケースにおいて、先ほどの「稼働率が重要」というのは正しいでしょうか?
一見箱型のビジネスモデルですが、無理に部屋を埋めると客層を崩してしまい、ブランドを維持できなくなる恐れがあります。その結果、単価が減少し、長期的に成長できなくなります。高級ホテルにおいて重要なのは稼働率ではなく、「圧倒的なブランド力からくる単価の高さ」です。
したがって、「このビジネスに本当にその知識は適用できるか?」を常に問い直す必要があります。
思考力を鍛えるには?
思考法は座学だけでは身につきません。以下のサイクルを、実践の中で繰り返すことが何よりのトレーニングです。
- 仮説を立てる
- 論点を設定する
- 施策を考える
名著を読む、講義を聞くといった学習も有効ですが、ケース面接との接点が見えづらいこともあります。
結局のところ、「繰り返しケースに向き合い続ける」ことが、最も効果的な習得法です。
伝える力とは何か?
「伝える力」は、「思考力」と並んでケース面接において極めて重要な評価ポイントです。
ここでは、伝える力を以下の2つの側面から整理し、それぞれの要素について具体的に解説します。
【伝える力の全体構造】
■ 議論面
- スタンス
- ドライブ
■ 人間面
- チャーム
- マチュアさ
このように、「伝える力」は主に以下の4要素で構成されています
① スタンス:仮説を表明する力
② ドライブ:議論を前に進める力
③ チャーム:一緒に働きたいと思わせる魅力
④ マチュアさ:クライアントの前に出せるかという成熟度
議論面の力
● スタンス:「自分の仮説を表明できるか」
スタンスとは、自らの仮説をしっかりと表明する姿勢のことです。
これは質疑・ディスカッションなど、すべての場面で求められる基本姿勢であり、常に意識しておくべきです。
ケース面接では、あらゆる場面で「自分はこう考える」「仮説は○○である」と、明確なスタンスを持つ必要があります。
勇気をもって自分の意見を提示することが、すべての議論の出発点になります。
間違っているかもしれないなどと不安になる方もいらっしゃるかもしれませんが、仮説の正しさよりも、仮説を持っていること自体が重要です。
仮に仮説が的外れだったとしても、面接官が修正を促してくれることも多く、そこから建設的な議論に発展することもあります。
スタンスを表明することで議論の“たたき台”ができ、評価の対象にもなります。
● ドライブ:「議論を前に進められるか」
ドライブとは、議論を前に進める力のことです。
面接官の指摘を受けて、その先に進む道筋を自ら提案する姿勢とも言えます。
受け身ではなく、面接官を“使って”より良いアウトプットを目指すスタンスが求められます。
有効なフレーズとしては以下のようなものが挙げられます。
- 「次はこの点を考えたいのですが、よろしいでしょうか?」
- 「ご指摘いただいた点を踏まえて、ここを改善したいと思っていますが、違和感ありませんか?」
このような提案型のやり取りを多く行い、議論を主導できれば、ドライブ力を高く評価されます。
人間面の力
● チャーム:「一緒に働きたいと思えるか」
チャームとは、一言で言えば「一緒に働きたい」と思わせる魅力です。
これは、先天的な要素が大きいとして軽視される、ないしは改善が難しいとされがちですが、戦略的に要素を考えることで、十分に面接官に伝えることが可能です。
チャームを面接官に感じさせるには、以下3つのポイントを意識しましょう。
- 議論そのものを楽しめているか
- 面接官にストレスを与えていないか
- 指摘を受け入れる素直さがあるか
① 議論を楽しむ姿勢
コンサルタントは常に考え続ける仕事です。議論を楽しむ姿勢を見せることで、思考力のポテンシャルや適性が自然と伝わります。
② 面接官への配慮
面接官がストレスを感じる要因には、以下のようなものがあります
- デリバリーが冗長
- 論点が整理されていない
- 質問に対して答えていない
特に「整理されていない筋の悪い話を延々と聞かされる」ことは大きなストレスです。
構造化された端的な説明や、「ここまで大丈夫でしょうか?」など適宜の合意形成が効果的です。
少しでも「話長いかもな」と思ったら、「ここまで大丈夫でしょうか?」「ここまで違和感ないでしょうか?」など適宜面接官に合意を取りながら話すなども、面接官のストレスを取り除く手段です。
また、重要な要素として、「問いにきちんと答える」ということも挙げられます。当たり前だと思う人も多いと思いますが、意外とできていない人も多い印象です。問いにきちんと答えられないと判断された場合、一発アウトとなる面接官も少なくありません。今何を問われていて、何を答えるべきなのか常に自問自答しましょう。
③ 素直さと柔軟性
「指摘を受け入れる素直さがあるか」は「自分の意見に固執していないか」とも言い換えることができます。自分の意見を保守するのではなく、面接官の指摘を受け入れ、より良いアウトプットを目指す姿勢を持ち続けましょう。
ただ、一方で指摘を受けたとき、すぐに「おっしゃる通りですね」と思考停止してしまうのは逆効果です。
一方的に迎合するのではなく、「おっしゃっていただいたことを踏まえると、このように考えられるため、〇〇について考えたいです」と対話を深める姿勢が大切です。
● マチュアさ:「クライアントの前に出しても問題ないか」
マチュアさとは、社会人としての成熟度や落ち着き、自信の表れを指します。
プロフェッショナルファームを受ける以上、クライアント対応が前提となるため、面接官も「この人を安心して現場に出せるか」を重視します。
マチュアさが不足していると判断される例としては以下のようなものが挙げられます。
- 「わからないんですけど……」「自信ないんですけど……」といった言い回し
- 詰められたときに思考停止し、「おっしゃる通りですね……」と黙ってしまう
- 過度に緊張し、表情が硬い・おどおどしている
こういった部分は、ケース面接の実戦を重ね、慣れることで解決できます。
特に録音して自分の発話を確認する作業は、非常に有効な対策です。

Chapter3:実際の流れ
3-1:出題・質疑
■ 出題フェーズ
出題フェーズでは、さまざまなお題が提示されます。
構成要素としては、大きく以下の4つに分類できます:
①問題の内容
②期間
③向上幅
④追加情報
なお、②〜④は問題によっては提示されないこともあります。
特に注意していただきたいのが「②期間と③向上幅」です。
これは主に「売上向上系」のお題で設定されるもので、たとえば「3年で1.5倍の売上を目指してください」といった形で出題されます。
初心者の方に多い誤解として、この「1.5倍」を定量的に計算しようとするケースがありますが、そうした数値にこだわる必要はありません。仮に計算しても机上の空論になるし、それで地頭が面接官にアピールできるかを考えてほしいです。
この数値はあくまで、「これぐらいの規模感の施策を考えてね」という目安と捉えてください。
- たとえば、3年で1.3倍程度なら既存事業の拡張で実現可能
- 一方、1年で2倍以上を求められる場合は、ビジネスモデル自体を変革するような大規模施策が必要
このように、向上幅と期間は施策のレベル感・粒度感をつかむための指標となります。
重要なのは、「なぜその施策を選んだのか」「その施策にどんな意図・効果を見込んでいるのか」といった定性的な説明です。
定量的な計算(例:「この因数が○○倍になるから…」)は本質的な議論から逸れてしまうため避けましょう。
ケースはあくまで仮想問題であり、実際に誰も正確な倍率などはわかりません。面接官が評価したいのは、思考のプロセスや構造化の力です。
■ 質疑フェーズ
質疑フェーズでは、提示されたお題に関して、自分の理解を深めるために面接官に質問を行うことができます。
「え?お題について質問していいの?」と驚かれるかもしれませんが、むしろ質問しない方がリスクが高いのです。
理解が曖昧なまま思考時間に入り、筋の悪いアウトプットを出してしまうことの方が大きな減点になります。
分からない点は積極的に質問し、思考の材料を揃えてから考え始めることが鉄則です。
また、積極性をアピールするためにも最低1つは質問をするべきです。
● 質疑の目的:3つの視点
質疑には、以下の3つの目的があります:
①思考の材料を揃える
②前提をすり合わせる
③面接官の仮説を探る
どれも大切ですが、特に①と②が重視されます。
この目的を理解した上で、「どのような質問をすべきか」を考える必要があります。
① 思考の材料を揃える質問
商材・サービスの詳細や、ビジネスモデル(お金の流れ)について不明点がある場合は、必ず明確にしましょう。これが理解できていないと、適切な仮説も立てられません。
- 商材の特性(誰が買うか、どうやって届くか等)
- ビジネスモデル(収益源、コスト構造)
ここは「最低限、合意・確認しておくべきポイント」です。
思考の土台がここで決まると言っても過言ではありません。
② 前提をすり合わせる質問
これは、面接官との認識のズレを防ぐために必要な質問です。
「自分は何を問われていて、どのようなアウトプットが求められているのか」を明確にしておく必要があります。
よく使われる質問例:
- 「○○について、XXという形でアウトプットすればよろしいでしょうか?」
- 「本ケースでは△△について考え、◎◎は対象外という理解で合っていますか?」
また、前提確認だけでなく、自ら方向性を提案する質問も効果的です。
- 「〇〇は影響が少ないと考え、XXに焦点を当てたいのですが、よろしいでしょうか?」
- 「△△の方向性と◎◎の方向性がありますが、理由から△△で進めたいと考えています」
このような質問は、自ら議論をコントロールできるという点で評価されやすくなります。
③ 面接官の仮説を探る質問
この目的は優先度はやや低いですが、できれば行いたい質問です。
面接官の頭の中にある「仮説」に触れることで、より評価されやすい方向に議論を進めることができます。
たとえば
- 「売上が低下した何らかの要因があって依頼があったという認識で問題ありませんか?」
面接官がこの質問に合意した場合、仮説の方向性がある程度見えてきます。
否定された場合も、「今は顕在化していない課題への可能性」を見出せるため、いずれにしても有益です。
質疑の絶対原則:仮説を持って質問する
質疑において、最も重要な原則は
「仮説を持って質問する」こと です。
(=スタンスをとった質問)
要は質問は全てクローズドクエスチョンにしましょう、ということです。
悪い例:
- 「〇〇って何ですか?」
- 「△△について教えてください」
- 「詳しく知らないので教えてほしいです」
これらは思考放棄と見なされ、面接ではマイナス評価となります。
良い例:
- 「〇〇について、XXと理解しましたが、他に考慮すべき観点はありますか?」
- 「△△について、◎◎と捉えていますが、この認識でよろしいでしょうか?」
このように、自分なりの考えを持ったうえで質問することで、主体性・思考力の高さ・議論力を同時にアピールできます。
最低限自分で考えつくしたうえで、それを面接官にぶつけて確認するという姿勢を忘れないようにしていただきたいと思います。決して面接官に知識そのものを求めないようにしてください。
まとめ:質疑フェーズだけでも差がつく
質疑フェーズでは、以下を意識してください
- 最低1つは質問する(積極性のアピール)
- 3つの目的に応じた質問を行う
- 思考の材料:商材・ビジネスモデルの確認
- 前提の確認:お題のサマリー・アウトプット範囲の合意
- 仮説の探り:依頼背景に関する質問 - すべての質問は、仮説を持って行う
ここまで深く質疑に踏み込んで考えている受験者は、実はほとんどいません。
質疑の精度と質で、大きく差別化を図ることができるのです。

3-2:思考
ケース面接において本当に問われているのは、
「限られた情報をもとに、どう思考し、問題に向き合うか」です。
つまり、
仮説を立てる → 構造化する → 論点を選択する → 解決策に落とす
という一連のプロセスを、
その場で動的に回せるかどうかが勝負になります。
仮説には三つの層がある
改めてになりますが、ケース面接における仮説は、大きく以下の三層に分類できます。
1. 切り口仮説
問題をどう切り分けるべきか?という仮説です。
思考を構造化するための最初の切り口を決めます。
例)
- 売上=客数×客単価で分解すべき
- サービス利用者=新規+既存で切るべき
- コスト=固定費+変動費で分けるべき
いわゆるMECEが、切り口仮説を考える際には重要です。この「切り口仮説」がないと、無数にある可能性を無秩序に追いかけることになり、結果的に思考が広がりすぎてしまいます。
2. 課題仮説
どこに問題・ボトルネック・アップサイドがありそうか?という仮説です。
課題仮説を持つことで、思考のフォーカスが定まり、掘るべき論点が明確になります。
3. 施策仮説
課題を解決するためには、どのような施策が有効か?という仮説です。
施策仮説を持つことで、問題解決に直結する具体的な提案へとつながります。
具体的な問題の解き方
ここで重要なのは、
問題の解き方は一つではないということです。
問題に対して、
- トップダウン型で考える場合
- ボトムアップ型で考える場合
この2つのスタイルが存在します。
思考の流れ(トップダウン型とボトムアップ型)
では、トップダウン型とボトムアップ型では、思考の流れはどのように異なるのでしょうか。
ここで整理しておきます。
トップダウン型の思考フロー
- 切り口仮説を立てる
(問題をどう切り分けるべきか仮説を置く) - 構造化する
(仮説に基づき、問題を論点に分解する) - 優先順位をつけて論点を絞る
(どこを深掘りするか選ぶ) - 深掘りして施策仮説を立てる
ボトムアップ型の思考フロー
- 課題仮説・施策仮説を直感的に立てる
(まず「ここに問題がありそう」「こんな施策が有効かも」と仮説を出す) - 仮説を支える構造を逆算で描く
(思いついた仮説を支えるロジック・構造を後付けで整理する) - 論点を精緻化しながら施策を磨き込む
では、この2つの考え方によって、どのようにアプローチが異なるのか、具体例を踏まえながら見てみましょう。
【ボトムアップとトップダウンの比較】大学学食の売上向上
ボトムアップ型
初期仮説:
- 「建物前でお弁当販売を開始すれば、来店者が増えるのでは?」
流れ:
- まず施策仮説(お弁当販売)を思いつく
- この施策は客数向上施策なので、客数を増やす方向でロジックを整理
- お弁当販売に行きつくように、論点を取捨選択していく
トップダウン型
初期仮説:一旦シンプルに客数or客単価で分ける。(理由としては、時間帯ごとの差、顧客属性毎のニーズの差など、客数客単価で分けたときによくあらわれる問題がなさそうだから)
流れ:
- 売上=客数×客単価でまず切り口仮説を立てる
- 学食の性質(低単価・学生メイン)を考慮すると、単価向上は難しいとして客数向上を選択、単価向上を棄却
- 続いて、客数について、ユニーク客数×来店頻度で切り口仮説を立てる
- ex)学食に行く習慣のない学生や教職員はまだまだ多そうだからアップサイドがありそう。ユニーク客数という論点を切り出せると筋がよさそうだな
- 来店頻度は、基本昼食に利用するもので、利用する顧客は毎日利用していそうとして、ユニーク客数を選択、来店頻度を棄却
- 以下施策が思いつく粒度まで繰り返し

このように、
最終的なアウトプット(施策)が同じでも、
思考のプロセスはまったく異なることがわかります。
ケースごとに、どちらのスタイルで考えるべきかを柔軟に見極める力が求められます。どのように選択すればよいのでしょうか。
トップダウンとボトムアップの選択は、最初に置けている仮説の粒度にあります。
- トップダウン
問題の全体感は見えるが、どこに課題があるかはまだ粗い状態。
だからまず「この切り口で分けよう」という仮説を置き、サブ論点を一段一段検証していく。 - ボトムアップ
切り口だけでなく、課題仮説・施策仮説までかなり具体的に見えている状態。
だから仮説を起点に一気に検証と施策設計に進む。
どちらを選ぶかは、「今自分が持っている仮説の粒度」で判断します。
粗ければトップダウン、深く刺さればボトムアップ。
必要に応じて途中で切り替えてもよい。というか切り替えることを推奨しています。
トップダウンで降ろしつつ、具体が見えたらそこからボトムアップで今まで作ってきた構造につなげる。
ボトムアップで考えつつ、考慮漏れがないかトップダウンで降ろしてきて確認する。
このように、それぞれを切り替え柔軟に思考することが重要です。
どちらが良い・悪いではない
ここで強調したいのは、
トップダウン型とボトムアップ型に優劣はないということです。
- 課題や施策が直感的に見えないならトップダウン
- 課題や施策が直感的に見えたらボトムアップ
この判断軸に則った判断を徹底していただければと思います。
では、ここから具体例をもとに、思考の流れを体感していただければと思います。
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